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喫煙者(2023/06/26)

 出勤途中、信号待ちで前に停まっている車から、火がついたままの煙草が転がってきた。大きく会社名が書かれた車なのによくやるものだと感心した。
 ちょっと気になって後から調べてみたら、「この会社の運転手は運転マナーが最悪だ」というようなコメントがいくつか散見された。大きな会社ではないようだから同一人物か、あるいは一人親方なのかもしれない。
 ついでに当該企業のウェブサイトから連絡しておいたが、これはきっと余計なお世話だったろう。

 喫煙をやめて久しいが、最初に煙草とライターを買った時には何だかわくわくしたのを覚えている。確か、阪急山田駅の売店で買ったように思う。
 以来、火を点けて煙を吐き出すのが何だか格好いいようだったから吸っていたけれど、今にして振り返ると別段何も格好良くない。全体、余計な金を払って臭くなるのだから意味がわからない。随分無駄なことをしたものだと思う。

 社会に出てすぐ、山口県の少年自然の家で2週間ばかり新卒者研修を受けた。
 ある時、休憩時間にバスケをやったら、ものの15分でかつてないほどの息苦しさに囚われて動けなくなった。他の同期も大概そんな感じでそこらに転がって喘いでいたが、中に1人だけ高卒の子がおり、彼だけが「先輩、もっとやりましょうよ」と目をキラキラさせながら言う。なるほど、煙草はここまで人の健康を蝕むものかと得心した。

 32歳の時、友人らと大勢でガストに行ったら禁煙席しか空いていなかった。仕方がないから食後の一服を店の入口付近でつけていると、友人の一人がやって来て「やっぱり煙草は、やめられまへんな」と言って嬉しそうに煙を吐き出した。そのニセ関西弁が随分癇に障ったから禁煙することにした。

よかったらコーヒーを奢ってください。ブレンドでいいです。