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憑き物(2022/12/24の日記)

 義実家での奇妙な共同生活にも慣れてきた。

 今日も義弟は出勤とのことで、6時半頃出ていった。彼に訊くことがあってその時刻に自分も起きたが、用が済んだ後でまた寝た。そうして8時頃に起きて活動開始するつもりでいたのに、目覚めたら10時で驚いた。

 明日は義父の法事だがコロナのおかげで妻子は出られず、義母・義弟・自分だけが出席する。
 先述のとおり義弟は仕事なので、自分が義実家を掃除した。
 義弟はしょっちゅう細かなところまで念入りに掃除しているが、全体として見るとやはり男やもめの住まいである――むしろ、特定の部分だけを気にしてきれいにしているのかもしれない――。
 まぁしかし、自分が独身の頃に住んでいたワンルームなんてこんなものではない、もっと大変な汚さだったものなぁ、と昔のことを思い出した。

 昔、ゴミ屋敷一歩手前ぐらいの状況で生活していたことがある。
 一応正確に言っておくと、ゴミはまめに捨てていたものの、片付ける場所がない "ゴミではないもの" が部屋中に散らかっていたのである――もっとも、後に一念発起して片付けた際にその大半は捨ててしまったから、「結局はゴミだった」と言えないことはない――。これでは掃除もそうそうできるものではない。

 表向きは真っ当な社会人を装っていたが、私生活がこんなではいずれ社会から抹殺されるんじゃなかろうかといった不安にあるとき駆られ、生活の一新を決意した。

 それから一カ月ばかり、休みの度に断捨離と部屋の掃除を進めた。
 一日で終わらせようとせず、今日はこの区画、来週はあっちの区画と分けてやったのがうまく進められた要因だと思っている。
 使っていないものをバシバシ捨てた。捨て方がわからないものもネットで調べたらたいていわかった。壊れた電子レンジが燃えないゴミでOKだったのには驚いた。
 風呂もトイレもピカピカにした。トイレはいわゆる "さぼったリング" が普通の掃除でとれなかったので、ビニール手袋と研磨剤を買ってきてガリガリやった。
 一度きれいにすると「せっかくここまでやったし」という思いが働き、ゴミ部屋に戻ることはなかった。退去の際、あまりのきれいさに大家の老人が感嘆し、保証金を満額戻してくれた。

 どうもあの時期を境に自分の中の何かが入れ替わった気がしている。あるいは憑き物が落ちたのかもしれない。

 娘は小5だが、妻がいまだにサンタの正体を明かさない。近頃は娘もかなり訝しんでいるけれど、それでもエアメールでサンタの手紙が届いたりもするものだから半信半疑でいる。

 今日は義実家で、クリスマスプレゼントに添える名指しのカードを作った。
 手書きだと筆跡やインクの色(自分は万年筆を使っている)でバレかねないので、PCで作らなければならない。義実家にはそういうインフラがないので、ノートPCを持ち込んで印刷はコンビニでした。

 今のコンビニ印刷は用紙も選べるし、随分進化している。印刷なんて大概自宅でやってしまうから最新のコンビニ印刷機の使い方がわからず、少々たじろいだ。画面の指示に従いながらも、「なんじゃこりゃ、わからんぞ〜、おい、わからんぞ~」と心の中でつぶやいていた。これではデジタルに弱い初老そのものだと思った。
 途中で小包を持った人が後ろについたので焦った。もたもたして他人を待たすのは好きじゃない。

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