栗鼠とハムスター
小一の時、貯金してリスを買った。
警戒心の甚だ強いやつで、ケージに手を入れると巣の中に隠れて出て来ない。だから随分頑張って貯金をした割に、結局一度も触れなかった。
おまけに警戒の一環なのか、ケージに取り付けた回し車も使っているのを見たことがない。
そんなだから一向愛着も湧いてこない。ただ家にリスがいて、毎日ヒマワリの種を食っているというばかりである。
そのうち一年ほどで死んでしまったので庭に墓を作った。埋葬する時に初めて触った。
後年、鎌倉の鶴岡八幡宮へ行ったら、野生のリスが寄ってきて人の手からどんぐりを食べていた。リスがこんなに懐くものとは知らなかったから随分驚いた。
小五の時にまた貯金して今度はゴールデンハムスターを買った。
こいつには初日に指を噛まれて大いに痛かったから、やっぱり不用意に手を出さないことに決めた。それでまたしても、死ぬまで触れなかった。
先のリスよりもアクティブなやつで、ケージの内側をよじ登ったりぶら下がったりしているのはよく見たけれど、どういうわけかこいつも回転車では遊ばなかった。
ハムスターも一年ほどで死んでしまった。目を閉じて、ケージの床に伸びたまま動かなくなっていた。それでまた庭に墓を作った。
リスもハムスターもケージから出すときっとどこへ行ったかわからなくなるので、一度も出していない。
今考えると、仲間もいないまま狭いケージに一生閉じ込められていたのだから、随分可哀想だったと思う。
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