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分身(2023/07/13)

 今日は問屋のスミスさんと一緒に隣県の店を回る約束だから、朝から現地へ直行した。
 スミスさんは自分の中では “大津さん” になっているから、彼の名前を言う時はいつも意識して脳内で変換する。
 初めて会った時は大津だったはずなのに、全体いつから彼はスミスになったんだろうかとネルソン氏に言ったら、「君は何を云っているのかね、スミスさんは初めからスミスさんだったよ。全体、大津さんとは誰なんだい?」と呆れた顔をされた。
 それでよくよく頭の中を整理してみたら、大津とは自分の高校時代の友人の友人だと思い出した。たまたま両者が似ていたのである。

 今日のスミスさんはどうやら多忙なようで随分急いでおり、予定していた店を昼過ぎには全部回り終えた。

「百さん、今日はありがとうございました。私はこれから別件でさらに奥地へ踏み込んで行かなければなりませんので」
「ではここで解散ですね」
「はい、ご機嫌よう」
「ご機嫌よう」

 自分は自分で別の店に用があったから、そこへ寄ったらちょうどいい時間になった。
 昨日の時点で会社には直行直帰と伝えてあるが、実際のところ直帰するほどの時刻でもない。報告がてら、会社へ戻ることにした。
 そうしてYou Tubeでネオホラーラジオを聴きながら、ブラックサンダーを食いながら帰った。

 定時を少し回ったぐらいに会社に着くはずだったが、道を間違えたおかげで遅くなった。これから事務所に顔を出すと、きっとますます遅くなる。それはあんまり望むところではないから事務所には行かず、昨日置いて帰った自分の車に乗り換えてそのまま帰宅した。

よかったらコーヒーを奢ってください。ブレンドでいいです。