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百卑呂シ言行録

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日常を切り出して再構築したもの。
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#休日のすごし方

神と婆さん(2024/04/20)

 土手道を歩いて眼科へ行った。  今日は土手に座って弁当を食っているおじさんがあった。先日何もせずに川を眺めていたのと同じ人のようだった。ことによると、この川の神なのかも知れない。そう思ったら急にそんなふうに見えてきた。  眼科は、今日は随分進みが遅かった。  待ち時間はnoteの執筆に充てるので、自分は一向苦にならないけれど、隣に座った婆さんはどうやらじりじりしている様子である。  じきに、車椅子に乗った別の婆さんが名前を呼ばれた。車椅子の婆さんは何だかもぞもぞしたと思っ

うさぎとMacBook(2024/03/10)

 まともに休める休日は久し振りだから、珈琲を飲みながらベランダでうさぎと遊んだ。  このうさぎは、元々の気性の荒さに近頃いよいよ磨きがかかったようで、普通に餌をやっているのに噛みついてきたりする。随分油断がならないから、用心しながら頭を撫でてやった。  撫でられるのは好きなようで、そうすると頭を下げてじっとする。やめると、もっとやれとばかりに鼻でつついてくる。  そうしていたら娘が出てきて、うさぎの耳の間をわしゃわしゃと撫で始めた。 「この子はこうするのが好きなんだよ。お父さ

土手を歩いて眼科へ行った(2024/03/02)

 網膜剥離の経過観察のため、土手を歩いて眼科へ行った。天気が良いから歩いていても気分が良い。  眼科はいつも混んでいるが、今日は存外空いていた。これなら早く終わるかも知らんと思いながらゆったり座って待っていたら、受付から「飛蚊症が急に増えたんです」と聞こえてきた。  どうやら同年代の女性である。きっと自分と同じことになっているのだろう。不安げな様子を見て、何だか急に、一段上に立ったような心持ちになった。  その人が隣に座ったから「同じですよ」と言いたくなったけれど、「え、そ

溺れる子供(2024/02/24)

 午前中に眼科へ行った。随分混んでおりまた遅くなるかと思ったが、経過は幸い順調で、写真を撮るだけで昼前には終わった。  昼間に少しうさぎと遊び、その間はぽかぽかしていたのだけれど、夕方になると段々寒くなったから、久し振りにスーパー銭湯へ行くことにした。このところ、休みの日は夜まで家で仕事をしているか安静にしているかだったから、久しく銭湯へも行っていなかったのである。  銭湯は存外混んでいた。  ジェットバスに浸かってから露天岩風呂に入り、外の壺風呂でのんびりするのがいつもの

関節を決めながら(2024/02/10)

 目の奥を焼いた後を診てもらいに眼科へ行くと、どうも厄介な方向へ進展していた。それで再度同じ手術をして、連休明けにまた診察を受けることになった。  前回よりも施術時間が長く、少しくつらかった。これでも駄目なら連休明けに外科手術なのだそうだ。  外科手術となるとちょっと怖いし、noteの毎日更新どころではなくなる。今回ので片付くよう連休中は安静にしていることにした。  帰宅後は妻が敷いてくれた布団に入り、終日寝た。  寝ている間に、セイブというプロレスラーの引退試合に立ち会う

ガラスとはんぺん(2024/01/03)

 義父から誘われて、みんなで南知多へ行って食事をご馳走になった。  店に着くと満席で、受付で名前を書いたら、あんまり感じの良くない女将が一時間待ちですと云う。それで待っている間、店の前の海で娘が貝殻を探すのに付き合った。  あいにくフジツボとかサザエばかりで、娘が求めるきれいな貝殻はあんまり見当たらない。一方、自分は、はんぺんを焼いたような石を見つけて「どうだね、はんぺんみたいだろう」と妻に見せた。妻は「面白いから持って帰りゃぁ」と云い、それならと持って帰ることにした。

新装(2024/01/02)

 広島から名古屋へ戻った。  往路は一刻も早く到着するつもりで早い時間に出たけれど、帰りはそんなに急ぐ理由もない。夕方着けばいいだろうと午前10時に出発したら、まんまと渋滞に巻き込まれた。結局帰り着いたのは午後8時だったから、とても夕方どころではない。大いにげんなりした。  荷物を下ろした後、妻に連れられてクローゼットへ行くと新しいコートが掛けてあった。妻が娘の卒業式に着て行く服を買う代わりに買っておいてくれたのだという。 ※  社会人一年目の冬に黒いトレンチコートを買

緊急放送(2024/01/01)

 昨夜、noteの下書きがあらかたできて布団の中から公開するつもりでいたのだけれど、そのまま寝てしまったらしい。  夜中に一度目覚めたら、何だか胃が痛かった。揚物の食べ過ぎに違いない。  胃薬を飲もうにも、帰省中で親が胃薬をどこにしまっているのかわからない。それで夜中に起こすのも気の毒だし、随分心配されても面倒だ。今のところはまだ我慢できるレベルだからと、しばらく様子を見るうちにまた寝てしまった。  次に目覚めたら朝で、胃はすっかり何ともなくなっていた。  町で一番大きな

椅子と歴史(2023/12/02)

 朝食後に妻子が出かけたから、洗濯物を干して、うさぎが足元に寄ってくるのを撫でていたら11時になった。今日も持ち帰った仕事をやるつもりでいたけれど、何だかやる気が薄れてしまった。  全体、副業はともかく、本業を持ち帰ってやったって何の手当もつかないのだから、いかにもバカバカしい。会社でやり切れないほどの仕事はそもそもできないのである。  と云ってやらないわけにいかないから、最低限のことだけやって終わりにした。 ※  先日イゴールさんが退職した。  地元へ帰るところを見送っ

雨と憤怒(2023/11/18)

 家で仕事をしていて、気付いたら雨が降り始めていた。見ると洗濯物が庭とベランダに干したままだったから、急いで取り込んだ。うさぎのケージが洗って干してあったのも組み立てて入れ、うさぎ自身もベランダから部屋に入れた。  全部片付いたところへ妻から、「雨だから洗濯物入れといて」と電話が入った。  洗濯物を家の中に干して仕事に戻ったら、何だか随分日が照ってきた。  雨雲レーダーを確認すると今日はもう雨雲は来ないらしい。それでまた洗濯物を外に出した。急いで取り込んだのが損をしたようにも

本、BGM、頭蓋骨(2023/11/05)

 司馬遼太郎の『城塞』を読みたくなって、BOOK OFFの100円コーナーへ探しに行った。  以前、山岡荘八の『徳川家康』全26巻をBOOK OFFの100円コーナーで揃えて読んだことがある。あれに比べたら『城塞』の上中下巻ぐらいは余裕だろうと思っていたけれど、行ってみたら1冊もなかった。  状態が良い方の棚にはあったからそっちを買おうとしたら、なんと500円もする。全巻揃えたら1,500円だ。売れる本ほど高値になるのはしようがないが、中古の文庫本にそこまで出すのは何だか面白

時代、修理、バッテリー(2023/11/03)

 娘のシャープペンシルが壊れて芯が出なくなったと云うから見てやった。数年前のホワイトデーに自分が買ってやったものだ。  自分も小学生の頃にシャープペンシルが壊れて、父に直してもらったことがあり、さすがはお父さん、と随分感心したのを覚えている。  今思えば、壊れたといっても折れた芯が口金に詰まっただけのことだったろう。それなら針金を差し込んで掃除してやればすぐに直るのだから、何も感心するほどのことではない。  娘のシャーペンもそのつもりでいたのだけれど、実際に分解してみると

記憶とチュロス(2023/10/01)

 夕食の後で娘が急にチュロスを作ると云い、タブレットを持ってキッチンに立った。近頃は不意に思い立って何かを作り出す。先日はオムライスを作った。存外美味かったものだから妻と褒めたところだ。  娘は油を熱しながらホットケーキミックスを溶き始めた。どうやらこれを揚げるらしい。そうしてじきに「できた」と言った。  見た感じはチュロスと聞いて思い浮かべるのとはちょっと違うようだった。絞り出す口金がなかったから、スプーンで油の中に垂らしたらしい。 「これは、何だか丸亀製麺の鶏天みたいだ

泥、羊羹(2023/09/24)

 近頃は気を抜くと休みの日もずっと仕事をしているが、今日はしなかった。  昨日は昼間に太陽光発電の売り込みが来てその対応で随分時間を取られたのと、妻が明日は庭の芝刈りをしたいと云うからどうでも土曜の内に片付けてしまおうと思ったのとで、キリが付いた時には23時を回っていた。今日の分まで昨日済ませた格好である。 ※  うちの芝刈機は芝の上をゴロゴロ押して回るタイプである。率直に云って使いにくい。買う時にも円盤状の刃が付いているタイプの方がシンプルで使いやすいだろうと思ったが、