森の中から
花狩人の森で啓示が降る
誤配された手紙に導かれて迷い込んだ森
そこには記憶の樹々が鬱蒼と茂っていた
自らの指に火を灯し、少女を探す少年
じりじりと燃えてゆく爪に宿るは太古の女神達
彼女らは両の腕に愛し子を抱きかかえ、焼け爛れた蛋白質の瓦礫の中で
立ちつくす
そして、血のこびりついた鉄条網の向こうで、かぎ裂きの肌をした兎達
は鮮血の目で微弱すぎる電気の泡を喰う
瘦せ細った兎達
やがて開かれる名前を喪った者達の夜宴
磁気嵐を起こした実験室で、言葉たちがDanse Macabreを舞い、気のいい
クレタ人は互いの首筋を剃刀で切りあう
そんな光景を彼は、気のふれた詩人を真似るべく、光る苔に刻もうとし
たが、その度にその手は石膏と化した
そうするうちに秘め事は逃れ去り、蛍石の翼をもった小鳥達が、その軌
跡を輪切りにした
殺人犯の女の腕の中で、夜毎半ダースもの夢を見た
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