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あなたが隣にいる限り

ふふふ、と楽しそうに笑う声。
「幸せ」という言葉を体現したみたいな表情。
優しく私の手を包む、愛おしげな手のひら。

1日の終わり、2人で入るお布団の中。
彼の笑顔がふわりと咲く。

「福永せんせ、上機嫌ですね」
そう微笑みかければ

「うん!当たり前だよ」
そう言って目の前の表情がますます和らぐ。

「だって、こんなにたくさんお祝いしてもらえるなんて、思わなかったからさ。しかも君と仲のいいあのご夫妻も来てくれて!」

そういえばそうだったなぁ、とお昼のひと時を思い出す。

私の仲良くしている友人夫婦がお祝いにと、お昼に花束やケーキを持ってきてくれたのだ。
柔らかな花の香りとケーキの甘い匂い、そして2人の優しい祝いの言葉が、今もありありと浮かんでくる。

花束を見て嬉しそうに微笑む彼も、ケーキを頬張る彼も、全てが喜びに満ちていて愛おしくて。
彼に幸せを届けに来てくれた二人には、本当に感謝してもしきれない。

つくづく、良い友人にめぐりあえたものだ。
福永せんせに釣られて、私も思わずふわりと喜びが満ちる。

「それにさ、君もたくさん色々と作ってくれただろう?プレゼントだって用意してくれて」

「えへへ…そう言ってもらえて、嬉しいですよ」

火傷しながら作ったローストビーフと、
なかなか卵が上手く焼けず四苦八苦したオムライス。
ミネストローネは母に送ってもらったレシピと何度もにらめっこして。

試行錯誤して何とか完成させた料理を、彼はぺろりと平らげてくれたのだ。
「ご馳走様!」の声には、思わず嬉し泣きしてしまって。

「……ほんと、初めてなりに頑張りましたもん」

「そうだねぇ。ちゃんと、全部伝わったよ」

ありがとうね、と手をぎゅっと握られる。
嬉しくて、私もその手を握り返す。

あたたかくて、私よりも大きな手。骨ばった指。
柔らかく優しい言葉も相まって、指の先まで愛おしくなる。

「ねえ、」
福永せんせの、柔らかい声。

「来年もさ、その先も、こうして…」

「たくさんたくさん、僕の誕生日を祝ってくれるかい?」

柔らかな、愛おしい問い。
もちろん答えはひとつしかなくて。

「当たり前じゃないですか。…ずっと、ずぅっと、隣でお祝いしますよ」

幾つになっても、福永せんせが隣にいる限り、ずぅっと。
そう付け加えれば、彼の目が少し潤んで。

「ありがとう。……約束だからね?」

そう言いながら私を引き寄せて、額にそっと口付ける彼。
あたたかな、優しい体温が、どこまでも愛おしくて。

「ええ、約束ですよ。ずっとの約束」

またひとつ増えた愛おしい約束を噛み締めながら、彼の唇に、同じくらいあたたかく優しく口付けた。

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