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1000回ストリートライブの季節 〜いつも路上にいた3年11ヶ月〜

【お客さんが教えてくれた】#07

1000回ストリートミュージシャンの
きたむらたかしです。

今回は、印象に残っている
お客さんたちのことを
書いてみようと思います。

【Kさん】
Kさんは、
まだ1000回ストリートライブを
はじめて間もないころに
出会ったお客さんです。

初期のレパートリー曲だった、
猿岩石『白い雲のように』の
カバーをとても気に入ってくれ、
来るたびにリクエストしてくれました。

ある台風が迫る土砂降りの夜、
僕は帰りの電車の心配があったので、
ストリートライブを
休むことにしました。

次の日の朝、Kさんから、
ゆうべは歌ってなかったですね、
というメールがありました。

なんと、あの土砂降りの
暴風雨の中、
Kさんは僕の歌を
聴きに来てくれたのでした。

それも、
電車を途中下車してまで、
です。

僕はそれをとても
ありがたいことと受け止め、

これからは
よほどの理由がない限り
休まないとこころに誓いました。

Kさんは、仕事の関係で
来れなくなってしまいましたが、

休まずに歌いに行く、
ということを
教えてくれたお客さんでした。

【名もなきミュージシャン】
あるストリートの夜、
3人組の男性が
立ち寄ってくれました。

ひとりが看板を見て、
おっ!ミスチルの『名もなき詩』を聴きたい!とリクエストしてくれました。

『名もなき詩』の1番を
歌い終えると、
男性は、うまいね!
と言ってくれました。

が、仲間のモジャモジャ頭の
ミュージシャン風の男性が、

そうかな?
と言うと、
オリジナル曲を
聞かせてくれとのこと。

僕は『白昼夢』を歌いました。

歌い終えると、
モジャモジャ頭の男性は、
歌ってくれた勇気に!
と投げ銭を入れてくれました。

そして、

お兄さん、もっと声出るでしょ。
もう1音上げて歌ってごらん(やってみる)
ほら、声も楽になるでしょ。

カバーは適当でいいけど、
オリジナルだけは
しっかり歌わないと!

僕はお礼を言い、
お名前を聞かせてください!
と問いかけると、

いつかもっと大きな舞台で会おう!
と言い残し、
去って行きました。

一度聴いただけの歌の
適切なキーを言い当て、

同業者として敬意を示しながら、
厳しくも温かいアドバイスを
くださった、名もなきミュージシャン。

僕もああなりたいなと
思わせてくれた方でした。

【Hさん】
Hさんは、
ストリートライブを
はじめて間もないころに
出会ったお客さんです。

Hさんは、
いつもホロ酔いの日に
寄ってくださり、

仕事のことや恋愛のことなど、
いろんな話をしてくれました。

お客さんゼロ、
投げ銭もゼロの
泣きたくなるような夜、

不思議とそんな夜ほど
Hさんは顔を見せてくれました。

まずは投げ銭をちゃりーん
という感じで入れてくれ、
次に新しい恋バナを話してくれます。

そして、最後にふたりで
いっしょに『ひまわりの約束』
などを歌って締める感じでした。

こんなささいなHさんの
来訪に救われた夜が
何度あったかわかりません。

その後もHさんは、
ワンマンライブや
999回&1000回目など、
節目節目にかならず
顔を見せてくれます。

僕にとって、
いつも励ましをくれる、
友人みたいな先輩みたいな、
とても大切な方であります。

【Rさん】
ある寒い夜、
そろそろあがろうかな
と思っていると、
ひとりの女性がやって来ました。

なにか誕生日の歌を歌ってください、
とのリクエストで、
僕は♪ハッピーバースデートゥーユーを
歌いました。

その涙を流して聴いてくれた
方が、Rさんでした。

僕は1分足らずの
バースデーソングに
涙を流すRさんを見て、

しっかりした
バースデーソングを
書こうと決めました。

ひょっとしたら、
誰にも気づかれず、
お祝いの言葉も祝宴もなく、

さびしく去ってしまう
誕生日を過ごしているひとに
向けた歌にしよう、と思いました。

そうやって書かれた歌が
【Everyday is birthday】です。

その歌をRさんに
聞いてもらうこともできました。

ストリートライブを
続けていてよかったと
思った瞬間でした。

【小山田壮平さん】
その日、最後の歌を
歌おうとしていたとき、

その人はすーっとやって来て、
僕の正面の位置に
腰を下ろしました。

手には、
缶チューハイを持っていて、
僕はどこかの酔っ払いの
学生さんかなと思いました。

お客さんはその人だけで、
僕は彼に向けて
【光景】を歌いました。

歌い終えると、
その人はこちらにやってきて、
僕も同じギターを使ってる、
と僕のギターを指差しました。

その人も音楽をやってること、
来月に弾き語りの
ワンマンライブをやること、

いま新しいバンドをやってること、
などをぽつぽつと話しました。

すごく不思議な感じの会話で、
僕はそんな人と話をするのが
はじめてのような気がしていました。

上とか下とか、
初めてとか肩書きとか、
社会的に必要とされる、

「うわべ」を取り払った、
目線で話をしたように
感じたのです。

彼は、買おうかな、
と言って、
僕のカバーアルバムを
買って行ってくれました。

その人と別れたあと、
名乗った「小山田壮平」を
検索してみると、

あぁ!!andymoriの
小山田壮平だったんだ!
と気づきました。

僕はandymoriは
知っていたけど、
小山田さんの名前や顔を
はっきり把握してなかったのです。

でも、あのとき
小山田壮平さんと
気づかずに歌えて
よかったなと思いました。

もし気づいてたら、
震えてうまく
歌えなかったと思います。

僕はやはり、
小山田壮平さんみたいな人とは、
これまでも、これからも
会ったことがないなという気がしています。

最後まで読んでいただき、
どうもありがとうございます!

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こころに響きましたら、
サポート(投げ銭)いただけると、
すごくうれしいです。

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