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【fromラボ】「カレー」をよく食べる中高年ほど認知機能が良好?

長期にわたってカレーをよく食べる中高年ほど認知機能が良好―

 食品大手のハウス食品グループ本社はこのほど東京大学の五十嵐中客員准教授、二松学舎大学の小久保欣哉准教授との共同研究で、50歳以上の日本人を対象にカレーの摂食状況が認知機能と関係があるかを調査したところ、カレーを長期的かつ頻繁に食べる食習慣は良好な認知機能と関係していることを確認した。同社は、「引き続きカレーやスパイスの摂食が他の健康機能に及ぼす良い影響について研究していく」としている。

 もはや日本の“国民食”ともいえるカレーには、健康増進に効果があるとされる様々なスパイスが使われている。スパイス由来の抗酸化物質や抗炎症物質が多く含まれていることから、健康に良い食品と考えられている。シンガポールの疫学研究の結果では、カレーの摂食頻度が高い高齢者は認知機能が良好に保たれていることが報告されている。同社はこの研究結果に着目し、日本人ではどのような結果になるのか調べることにした。

 今回の研究では50歳以上の一般生活者を対象に、「調査直前1年間」(短期)と「成人以降で調査1年前まで」(長期)のカレー摂食頻度について、認知機能との関係を明らかにした(図1)。調査直前1年間のカレー摂食頻度に基づき、月2 回以上を「高頻度群」、月2 回未満を「低頻度群」とし、両群間で性別、年齢、BMI(ボディマス指数)、CCI(併存疾患の指数)、職業の分布が等しくなるよう層別マッチングを行い、各群1002人ずつを対象とした。認知機能の測定は認知症の総合的アセスメントツールである「DASC-21」を用いた。

 長期のカレー摂食頻度では、「月1回未満」を 1 とした場合の認知機能スコアのリスク比が「月1回」で 0.834、「月2~3回」で 0.754、「月4回以上(週1回以上)」で 0.718と有意に低くなった。つまり、長期的にカレーの摂食頻度が高いほど、認知機能が良好だったといえる(図 2)。一方で、短期のカレー摂食頻度と認知機能の間には関係が見られなかった。

 また、短期のカレー摂食頻度では「高頻度群(月2回以上)」、「低頻度群(月2回未満)」で同様の解析を行った。高頻度群においても、長期の摂食頻度が「月1回未満」より「月1 回」で有意に認知機能が良好だったことが分かった。一方で、低頻度群では長期のカレーの摂食頻度と認知機能との間に関係が見られなかった。長期のカレー摂食頻度と認知機能との関係については、短期のカレーの摂食状況も重要であることが分かった。

 今回の調査により、カレーを長期的にかつ高頻度に摂食してきた習慣は良好な認知機能と関連する可能性が示唆された。同社は「カレーの摂食が認知機能に及ぼす影響について詳細に検討する予定だ」としている。この研究成果は、2021年11月21日に開催された「第28回 日本未病学会学術総会」で発表した。


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