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~忍者増田の『QUESTER』制作者インタビュー~後編でござるよ

前回に引き続き、『QUESTER』のゲームデザイナー・加藤ヒロノリさんと、プロデューサー・桑原敏道さんにお話を伺います。今回は拙者の要望をぶつけたり、今後の展開を聞いたりしてみました! 取材日は2022年11月25日なので、V3完成後に話しています。

登場人物

インタビュイー/加藤ヒロノリ(ゲームデザイン)、桑原敏道(プロデュース)
聞き手/忍者増田(ライター)

攻略ミニ情報! 食料100は3日で確保可能?

―― ここで『QUESTER』プレイヤーとして、攻略に関する質問をいくつかしてみたいと思います。「スキル」はランダムに覚えるのですか?
加藤 ランダムですね。なので、初回の成長が気に入らんかったから、違う乱暴者も育ててみよう……というのをやってほしいなと思いますね。

レベルアップ時にどんなスキルを覚えるかは、ランダムらしい。

―― 食料確保に関する質問です。食料は、食料スポットと、エネミースポットと、戦闘で入手する方法がありますが、食料スポットって何回か掘れるじゃないですか。日をまたぐと食料スポットが復活していますが、掘った回数や、日数の経過などによって、前よりは採れにくくなってるんですか?
加藤 いや、もう完全ランダムですね。
―― では、食料スポットの場所さえ覚えとけば、掘った回数や日数経過は関係なく、そこで初回と同じ条件で回収できると?
加藤 そうですね。なので、残り3日ぐらいあれば、0からでも頑張って100くらい集まるんじゃないですかね。(※編集部注:クローズドβテスト V3での設定)
―― へぇー。3日で100採れるんですねえ。
加藤 3か所ぐらい確保しといたらですよ。毎回、1発で壊れるというパターンを繰り返す可能性もあるから100パーセントではないですけど(笑)、大体いけるんじゃないかなあ。
桑原 僕は、食料集めは5日ぐらい余裕持っとかないと不安でしょうがない(笑)。
―― 右に同じく(笑)。7日目ぐらいになって、食料がノルマ果たしてると、「あー、あと探検だけだ。楽だー」みたいな大いなる開放感を持って冒険できます(笑)。
桑原 ちなみに、上田和敏さん(現サウンドゲームズ取締役)は少し辛そうでした(笑)。「食料が腐るー」と。

中央のガリガリクリーチャー「TWD」は、食料を減らしてくる。時には逃げよう。

―― あ、食料をダメにする敵はイヤらしくてスリリングですよね(笑)。金庫破りの成功率は、どの能力値が関係するんでしょうか?
加藤 「技量」ですね。あと、泥棒だけ「解錠」ってスキルを覚えるんですよ。それを覚えた時だけ成功率はグンと跳ね上がるんですけど、それ以外は、技量の高さだけしか見てない。泥棒だから開けやすいわけじゃないし、レベルも関係ないです。
―― 僕、エッジがよく死ぬんですけど、ヘイトの溜まり方って基本的に、いい攻撃してる奴に溜まってくようなイメージなんですか?
加藤 基本はまずスキルにごとに設定されてるヘイトが増えるんですよ。例えば、乱暴者の「雄叫び」を使うといくつ増えるとか決まってるんですけど、それ以外は、与えたダメージ分だけ増えますね。だから、エッジがスローイングダガーなどで複数の敵にバシバシとダメージを与えたら一気に溜まります。
―― じゃあ、ヘイトが溜まる奴は、それに相当する活躍をしてるということなんですね。
加藤 そういうことです。それだけ敵にダメージを与えたってことですね。

プレイして気になった点も遠慮なく指摘しちゃうの術

―― 今のV3版をプレイしての僕の要望といいますか、感じたところを言いますね。メインのバトル画面あるじゃないですか。自キャラのグラフィックが左側に5人並んでいて、メッセージをまたいで敵のグラフィックが右側に出ていて。あのグラフィックの部分に、キャラや敵の名前表示を入れてほしいなと思うんですけど、どうでしょうか?

ここにキャラと敵の名前が入っていたら嬉しいなと、増田が写真に赤い四角を入れてみました。

加藤 なるほど。敵の場合は名前が長いというのもあるんですよね。10文字ぐらいの奴もいたような気が。
―― スペース的にちと苦しいんでしょうかね。僕はそのほうが瞬時に名前を把握しやすいというか。メッセージにも名前は表示されていますし、気にならない人は全然ならないと思うんですが……。で、それプラス、自キャラの名前は、変更できると嬉しいです。
加藤 ああ、そうですね。元々『ウィザードリィ』が基本なんで。予定では25人までキャラクターが増えて、あとはもう好きにパーティを構成してもらって、名前も好きにつけてくださいっていうスタイルにするつもりです。やっぱ、プレイヤーそれぞれが想像力を活かせる下地は重要だと思うんで。
―― やっぱ『ウィザードリィ』の良さってイメージが固定されないところですもんね。名前はデフォルトで決まっててもいいんですけど、『ポケモン』と同じように、ニックネームを変えられる、みたいな。あと、1日が経過して拠点に着いた時に出る、画面右側の大きなグラフィックがありますよね。そこにも今の拠点名を入れて欲しいです。

赤い四角の部分に、現在の拠点名が入っていたら嬉しいなと。

桑原 ギンザとかオオテマチとか、そういう表示を入れるということですよね? それはできそうですよね。
―― 今いる場所を把握しやすくなるかなと。まぁ、そんなのなくてもわかる人はわかるんですけど(笑)。
加藤 あるほうが雰囲気出ますしね。拠点ごとに違う絵があったらもっといいんですけどね(笑)。
一同 (笑)
桑原 リアルな普通の風景ならいいんだけど、廃墟になってないといけないから(笑)。廃墟AIとかあったらいいなあ(笑)。
―― あと、細かいんですけど、壁にぶつかった時に、壊せない壁の場合……要するに何も起こんなかった時は、燃料消費ナシってのはダメですか?(笑)
加藤 あー。確かに少し減るようになってますね。そこは消費0にしましょうかね(笑)。ご指摘ありがとうございます。
―― 間違えてぶつけちゃっても減るので。0にしても、そんなにバランスが崩れるわけではないですよね?
加藤 崩れないです。むしろ誤操作でも許してもらえるほうがいい。
桑原 「ミスしないで遊んでください」みたいな設計思想って本作にはないですもんね。
加藤 ないですないです。もう僕が記憶力悪いし、ミスしまくる人なんで。
―― あとこれは難しいのかもですが、戦闘のメッセージをもう1回逆スクロールさせて読み返したいなと。
加藤 一応、バトルメッセージは、ボタン押してのコマ送りに切れ変えられるんですけど、終わった後に見直したいということですよね。
―― はい。最初から1個1個コマ送りで見とけって話なんですけど(笑)。
加藤 確か、以前も内部でそういう話が出てたんですよ。その時、プログラマーさんとの話し合いで、結局やめた記憶がありますね。
桑原 そこは「結構負担が高いからやめたい」って話でしたね。まぁ今後はわかんないですが。
―― あと、キーボードのみの操作ってのは難しいでしょうかね。
加藤 あ、マウスのみではなく……?
―― はい、逆に「マウスがいらない」操作です。
桑原 あー、自分もその派なんですよね(笑)。
加藤 僕、逆にマウスだけでやりたい派なんで、そっちは強く推したんですけどね(笑)。
一同 (笑)
桑原 僕と増田さんは、マウスが標準じゃない時代にPC弄っている人だからそうなるのかもですね(笑)。
―― ああ、そういうことか(笑)。そうかもしれないです。多分、桑原さんも僕と同じで、パソコンのアクションゲームもジョイスティックよりテンキーやカーソルキーで操作していたタイプ……?(笑)
桑原 そうです(笑)。
加藤 はいはいはい(笑)。
―― ま、一度キーボードに置いた手を、マウスに切り替えたくないっていうだけなんですけどね(笑)。もちろん、コントローラーで操作すれば問題ないんですけど。
加藤 わかります。僕が反対にマウスだけでやらしてほしいのも、そういうことですし。Yボタン押しに行きたくないんですよ(笑)。
桑原 それもわかりますね。
加藤 でもレトロっぽさっていう意味でもキーボード派の意見はわかりますよね。ゲーム本編とは関係ないところでも昔を思い出せますし。
―― あ、コントローラーでいえば、ボタンのカスタマイズをしたいです(笑)。
加藤 それはやりたいです(笑)。とりあえず、決定とキャンセルを変えられるだけでも。
―― はい、それだけでも僕は十分です(笑)。

今後の展開にも注目! 「転職」や「武器合体」の要素も!?

―― V3では、キャラの「転職」の要素は実装はされてないですが、今後転職ができるようになる可能性はありますか?
加藤 あるんですが、V4でもとりあえず、転職は見送ろうかって話になってます。やりたいんですけどね、最終的に。
―― では、言い替えると、転職の実装は今のところ「未定」という考えたほうがいいでしょうかね?
加藤 そうですね。初めの仕様書にも転職の要素は入ってて、本来職業も『ウィザードリィ』に合わせた8種類なんです。今んとこ「乱暴者」「和尚」「博士」「泥棒」「機動隊」の5種類ですが、これからどこまで増やすかはまた今後の相談ですね。
桑原 多分、残り3つの職業も登場してからじゃないと、転職も寂しいかな、と。
加藤 そうですね。5つだけでもまぁできるんですけどね。
―― 今のバージョンで5職が明らかになっていて、次のバージョンでその他の3職が明らかになると……?
桑原 うーん。クローズドβテストの期間中は出てこないですね。今後の、もうちょっと大きな展開をする時に入れてこうって話にはなっています。
加藤 『ウィザードリィ』でいう、「侍」と「ビショップ」と「忍者」がまだいないんですよね。
―― 言わば、「乱暴者=戦士」「和尚=僧侶」「博士=魔術師」「泥棒=盗賊」「機動隊=君主」ですもんね。
加藤 装備のアイコンだけは、もう全部載ってるんですけど(笑)。

確かに「装備可能」の欄に8つのアイコンが。他の職業の登場も待たれる。

桑原 「なんのこっちゃ」ですよねアレ(笑)。
―― そっか、今表示されてますよね(笑)。僕も転職は楽しみなので、導入は大変でしょうけど、期待したいところです。
加藤 ちなみに転職すると、『ウィザードリィ』のようにレベル1に戻るのではなく、そのレベルのまま転職します。そして、覚えるスキルと装備できるアイテムが変わる。例えばレベル20の乱暴者が機動隊に転職したら、レベル20までの乱暴者スキルを受け継いで、機動隊になります。だから、転職のやり方によって、プラスのスキルをいくつも習得していける。
―― 『ウィザードリィ』の転職システムで言えば、スキルを呪文のように受け継いでいけるということですね。そして『ウィザードリィ』の転職に比べると、急にレベル1になって弱くなっちゃったりはしない、と?
加藤 そうですね。ま、それをやってもいいんですけど、まだ試案中で、今言った方をまず試してみたいかなって感じです。余談ですが、各職業の能力値には「成長率」が設定されていて、それぞれの職業で上がりやすい能力値が異なるということを付け加えておきます。
―― 今後、武器を合体して強化させるような要素も入っていくと聞いたのですが……。
加藤 はい。同じ品を合体させると「+1」になって、「+1」と「+1」を合体させると「+2」になって、「+2」と「+2」を合体させると「+3」。そこまで強化可能になる予定ですね。
―― いい意味で、横道にドンドンそれることができそうでヤバい(笑)。それは、『ウィザードリィ』にはなかった楽しみですね。
加藤 そうですね。『ウィザードリィ』だと、村正を侍の人数分見つけたら、もうそれ以上いらないじゃないですか。そこに「もうちょっと続くんじゃよ」みたいな要素をあげたいなと。
―― 同じアイテムをたくさん見つけすぎても、無駄にはならないわけですね。
加藤 そうですね。「+3」になるまでは、全然いけますよ的な。
―― 話せる範囲でいいんですが、他にも新しく入れていく要素はありますでしょうか?
加藤 まだ確定ではないですけど、「ランダム湧き」を入れたいですね……。ワケのわからん強敵がポンと湧いてきたり、全然見たことのないピンクの宝箱が出てきたりとか、そういうのもやりたいなと。
―― 『ウィザードリィ』もそうですけど、やっぱそういったランダム性っていいですよね。
加藤 ランダム性、僕もめちゃめちゃ好きです。ランダムは、ええ感じのことが起きると、他人に自慢できるじゃないですか。ゲーム全体としては結構ちっちゃな要素だけど、喜びとして大きいのかな、と思いますね。
―― 他の人の冒険と同じにならないっていうのがドラマ性がありますしね。
加藤 そうですね。それがいいですよね。修正については、僕がゲームをプレイしながら思いついた要素を、そのつどプログラマーさんに入れてもらったりしてるんですよ。だから今後も、またいいアイデアが出てきたら足していきたいですね。
―― 最後にユーザーさんに一言、お伝えしたいことがあればお願いします。
加藤 じわじわ楽しんでほしいですね。焦って急いでやるゲームではないので。無理して眠い目を擦りながらボーッとしてる時にやっても、全滅してゲームオーバーになる可能性もあるゲームなんで(笑)、自分のペースでゆっくりやってください。そして、グラフィックがすごいゲームとかではないので、初めからそういう当たり前を期待せずに、初めて遊ぶおもちゃ的に楽しんでいただけると嬉しいですね。
―― 今回インタビューさせていただいて、V4以降のアレンジ、そして完成が楽しみになりました。今後も、作り手の皆様のご無理のない範囲で頑張ってください。期待しています!

V4では、クリーチャー図鑑も実装。今後の展開も楽しみだ。

※記事の内容はクローズドβテスト中の仕様を元に書かれております。今後変更になる可能性がございます。


QUESTERとは?

 『QUESTER』は、漫画家・萩原一至が新たに構築した退廃未来の世界観です。ゲームデザイナー・加藤ヒロノリと共に、サウザンドゲームズは1年間かけて、ダンジョン探索RPGのプロトタイプをつくりました。

 現在、クローズドβテストを開催中です。今回は、その中間報告として、この「制作者インタビュー」を公開させて頂きました。

 このプロジェクトを気に入ってくれた方は、ぜひTwitterのフォローをお願いします! 2023年1月15日(日)に開催予定の『インディゲーム展示会 | 東京ゲームダンジョン2』にも出展予定です。よろしくお願いします!

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