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狂文

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#帰る

絶対に帰る(2)

この星へ降り立って、まず俺はしょんべんをした。
尾籠な話でごめんなさいね。
けど、何もおかしいことは無い。
数時間の乗り物の後、トイレにまず行きたくなることはよくあるだろう?
それはよく覚えてる。

その後、「移民おめでとう」とかなんとか、セレモニーみたいのがあって、それから自分のアパートへ案内された。
もう夜だった。
アパートはまぁ、そこそこなとこだった。
地球で住んでた団地アパート、それとそん

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絶対に帰る(1)

どれくらいになるだろう。
俺たちがここへやって来てから。
昨日のことのようにも思えるし、もう随分たったようにも感じる。

俺たちは、移民だ。
俺たちがこの星へやって来た理由、それは簡単だ。
過剰な人口の増加、そして、俺たち自身が貧乏だったからだ。
金がある奴らは、移民になんかならない。
当たり前だ。
しかし俺たちは、迫害されてここへやって来たわけじゃない。
むしろ、時の政府たちによって奨励されたく

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