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Common Sense / Community / Communication

※この記事は2023年の6月18日に公開されたものです。

イキったタイトルからこんにちは、Gussanです

こんなタイトルの癖して雑記です。最近、やたらと考えているネットワーク効果やコミュニケーションツールとしてのNFTに関する雑記です。

毎度のことながらまとまりはありませんし、僕も模索中なのでご意見ある人は是非ディスカッションしたいです。


コミュニケーションについて

NFTの話をする前にコミュニケーションの話です。
私たちは大量のコミュニケーションネットワークにいます。コミュニケーション(Communication)というのは決して言語を介した意思受伝達のことだけではありません。コミュニケーションの語源は、ラテン語のComm(共に)とUnio(一致)に由来して「同じものを持つ、あるいは共通したもの」という意味からきているそうですが、「同じもの」をその共同体におけるコモンセンス(Common Sense)、そのコモンセンスを持つネットワークをコミュニティ(Community)と解釈しており、コミュニケーションは、コモンセンスに依拠するコミュニティ内の独自の意思疎通方法と考えています。

つまり、日本語による言語のコミュニケーションは、今読んでいるみなさんが日本語という同様の言語(コモンセンス)ネットワークの中にいるゆえに行えるコミュニケーションです。言語以外にも我々は遥か昔に定義されたコモンセンスを通じてあらゆるコミュニケーションをおこなっています。

例えば、「貨幣」です。みなさんは当然のように価値保存のツールとして日頃から利用していると思います。「ある商品を1000円札で買った」という事象は、「1000円が「円」という評価軸のもとで価値を保存できる」というコモンセンスが前提にあり、「1000円とこの商品が交換できます」という意思表示に対して「1000円を支払う」という行為で自分の買取意思を伝達します。この一連の流れは貨幣が価値交換を行える媒介物であるというコモンセンスの上に成り立つコミュニケーションと言えます。

他にも「時計」(というか時間)があります。みなさんは時計の読み方をx時y分z秒というように当然のように定義しています。これは世界中のみんなが地球が太陽を回る期間を1年とし、1年は365日で、1日は24時間で、1時間は60分で、1分は60秒…という間隔のコモンセンスを理解しているゆえに成立しています。なので「深夜の2時」といえばだいぶ夜が深いねとか勝手に解釈してくれます。つまり、みんなに普遍的に流れている「時」という概念に「間隔の長さ」のコモンセンスを形成したことで時に関するコミュニケーションが行えるようになりました。

上記を整理すると、コミュニケーションは、ネットワーク内で特定のコモンセンスを共有した上で成立する意思伝達であると整理できます。

コミュニケーションツールとしてのブロックチェーン

事例として実世界のものを出してきました。具体的なブロックチェーンやNFTの話に移ります。ご存知の通り、ブロックチェーンのあらゆる情報は公開情報で誰でも検証・検閲できます。Bitcoinは、この誰でもトランザクションを検証・検閲できる特性ゆえに分散型の電子通貨システムを確立することができています。これはBitcoinの仕組み全体やBitcoinネットワーク上の取引履歴というものはコモンセンスになっていると言い換えられます。ゆえに、誰がBTCをいくら持っていて、誰に、何を、いくら送っているという通貨伝搬のコミュニケーションが行えるようになっています。

また、情報を公開することでコモンセンス化し、そのコモンセンスに対してのアクション(改善案の提出やネットワークを利用した新たなプロダクトの開発)を起こす事もできます。ブロックチェーンの公開性というのはさまざまなコミュニケーションを引き起こす非常に重要な効能があることがわかります。

ブロックチェーン上でコモンセンスを構築し、コミュニケーションを行うネットワークにこそブロックチェーンの真価があります。
では、NFTはどうでしょう。NFTはネイティブトークンやFTと一つ明確に違う点があります。

それは格納する情報が量的な情報に限らないところにあります。文字、音、絵、なんでもOKです。この手広さがNFTの難しさが極まる原因になります。格納した情報はオープンなソースとして公開され、新たなコミュニケーションが発生します。そして、NFTはそのユニーク性を担保するコミュニケーションの財になります。ただ、何を媒介してどんなコミュニケーションを発生させるのかという前提をいかに設計するかがとても難題になります。

ブロックチェーンは、ネットワーク効果製造機

ある方が「ブロックチェーンは、ネットワーク効果製造機」ということを言っていました。ブロックチェーンの真価であるネットワーク形成の最大の効果はネットワーク効果ですので、これを一度整理します。

ネットワーク効果は、使う人が増えれば増えるほど指数関数的にサービスの効用が高まっていくというものです。ブロックチェーンの情報の公開性は爆発的なネットワーク効果をもたらします。

ブロックチェーン上の取引の公開情報を検証・検閲することにインセンティブを与えることでネットワークへの参加者を増やし、強化させることで動き続ける分散性を構築します。また、公開されたコードやコントラクトをもとに大量の開発者があらゆる改善案の提出や新規サービスをデプロイすることでブロックチェーン上のパフォーマンスが上がったり、ブロックチェーン上で使えるライブラリ的なものが指数関数的に急増していきます。

これはブロックチェーンを介したコミュニケーションの伝達者がn人いるのに対して、受信者も同様にn人いるためで、ネットワークに参加者の数が大きければ得られる利得が指数関数的に増加します。ブロックチェーンがネットワーク効果製造機である所以はここにあります。

NFTがもたらすネットワーク効果

ご多分に洩れず、ブロックチェーン上のNFTという存在もネットワーク効果製造機の一部になります。

NFTは、どんな情報を格納するか(オンチェーンに載せるか)によってコミュニケーションの方向性を決定します。公開された情報がネットワーク参加者に対して多方向に発信されることで、その方向に則った新たなユニークな情報がオンチェーンに乗ります。先述の通り、ブロックチェーンのコミュニケーションネットワークは、発信者n人に対して受信者も同様にn人いるので、ネットワークへの参加者が増加すればするほどネットワークが強化されていきます。これはNFTの内部に格納された情報がもたらすコミュニケーションなので、内部のネットワーク効果と呼びます。内部のネットワーク効果は、格納する情報をいかに設計するか(どのようなコミュニケーションを引き起こすかの設計と同義)というのが重要な鍵になります。

格納したユニークなインプットをNFTとして受け取り、NFTが持つ拡張性が新たなコミュニケーションを仕掛けます。これが外部のネットワーク効果になります。外部のネットワーク効果は、NFTの拡張性やコンポーザビリティの設計するかというのが重要な鍵になります。

この内部と外部、それぞれでネットワーク効果を働かせることでブロックチェーンの効用が最大化しますが、ネットワークへの参入コストを限りなくハードルを下げた情報設計と外部とのコミュニケーションネットワークを構築できる拡張性のバランスをうまく調整する必要があります。これが超難儀だと思っています。

これ重要

  • 内部ネットワークのための情報設計

  • 外部ネットワークのための拡張性

僕の好きなプロジェクトのphiはこのネットワーク効果が遺憾無く発揮されています。phiのオブジェクトは「OOswapで5回swapする」や「XXprotocolでstakingする」といったオンチェーンの活動履歴をコミュニケートする媒介物としてオブジェクトNFTが出力されます。言ってしまえば、プロトコルとプロトコルユーザー間のコミュニケーションネットワークです。この場合、発信者はphiのネットワーク参加者のn人とphiのネットワークに参加するプロトコルm件のコミュニケーションになるはずです。「OONFT持っている」=「OOswapで5回swapする」が成立するので、phiのネットワーク内ではそれぞれのオブジェクトを持つためのタスクをコモンセンスにしています。

さらに、このオブジェクトを自由に使って、自分の活動履歴の箱庭を作れる装置を用意することでユーザーは箱庭を自慢するために発信したり、箱庭を接続したり、箱庭で絵を描いたりと箱庭を通した新たなコミュニケーションを起こします。結果的にコミュニケーションのネットワークをさらに強化していきます。

NFTを使って何をコミュニケートするのか

まとめに入ろうと思いますが、何をまとめるのかわからなくなってきたので、これまでの話を整理して終わります。

  • コミュニケーションは、ネットワーク内で特定のコモンセンスを共有した上で成立する意思の受伝達である

  • ブロックチェーンは情報を公開することでネットワークにコモンセンスを構築している

  • ブロックチェーンは構築されたコミュニケーションネットワークはネットワーク効果を生み出す真価がある

  • FTは貨幣の伝搬を行うコミュニケーションツールとして機能する

  • NFTの格納する情報次第でコミュニケーションの方向性を決定する(内部ネットワーク効果)

  • NFTのコンポーザビリティや拡張性で外部とのコミュニケーションを図り、さらにネットワークを強化する(外部ネットワーク効果)

オンチェーンに刻むというのはコミュニケーションを行うことであり、コモンセンスを作ることであり、コミュニティに参加するということですね。(雑)

ビジネスサイドの人間は、どんな情報をオンチェーンにして何をコミュニケートするのかの設計を徹底的に考え抜く必要があります。それやらないと何をやってるのかよくわかりません。ここは大量のリサーチに裏打ちされた提案事業者の腕の見せ所になります。

Twitter:@0xguss3

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