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軽いからってしんどくない訳じゃない

今回は妊娠3か月のころを振り返ってみる。といっても、この時期の記憶は曖昧としている。つわりのピークだったからで、喉元過ぎれば熱さを忘れるとはこういうことかも。近いうち経験するはずの出産の痛みも、そうやって忘れていくんだろうな。

ただ食べて眠るだけのことがつらい

つわりには種類がいくつもあって症状は人それぞれ、さらに第一子と第二子でも違うことがあるらしい。無症状のこともある。出てみなければ分からないガチャポンのような仕組みのなかで、私は食べつわりと眠りつわりを引き当てた。

このコンボだとどうなるかというと、まず朝は空腹が原因で寝起きから気持ち悪い。それを枕元に置いておいた飴で誤魔化して、起き上がれるようになったらご飯を食べる。が、胃が満足し始めると今度は急激な眠気がやってくる。“うとうと”みたいな幸せなやつじゃなくて、高熱を出したときの“横にならないとやばい”やつに似ている。この眠気に抗うと気持ち悪くなること必至。しかし寝たら寝たで、目が覚めたときには空腹で気持ち悪い……。このループである。つらい。

味覚の気まぐれに振り回される

食べられるものも一気に少なくなった。妊娠前はよく食べていた鶏もも肉(肉の脂身)とうどんに拒否反応が出るようになってしまったし、食べている最中に食欲が急降下して完食できなかったり、そのときどきで食べられるものが違ったり。食べられそうと思って準備したものも目の前にするとやっぱり無理……となって、食事を残すことが重なれば、罪悪感でじわっと精神が削られていった。

逆に頻繁に食べたくなったものは、セブンプレミアムのパウチタイプの豚汁と、かっぱ巻きなどの酢飯、ソース焼きそば。口にできる食事にありついたときの、最初の数口の充足感たるや。「これこれ!」って感じ。それも束の間の休息で、あとは大体気持ち悪いのだけど。起きている間のほとんどを乗り物酔いのような状態で過ごしていたと思う。

外出の際はカロリーメイト(チョコ味)がお守り代わりだった。途中で気分が悪くなりませんようにと祈るような気持ちとともに。

軽い・重いとは別のところで

病院では、苦しむ妊婦を見慣れた助産師たちが「つわり軽いほうだね」と私の症状を朗らかに笑いとばしてくれて、これが意外に良かったように思う。専門家に言われればそんな気がしてくる。

たしかに人と会っているときは気が紛れて症状も軽かったし、専業主婦生活で細かいスケジュールに縛られなかったのも幸いした。ただ、不調によって生じる気持ちはあくまで主観的なもので、人と比べて軽い・重いは関係ない。つらいものはつらいし、しんどいものはしんどいのだ。軽かったからといって、記憶が曖昧になっているからといって、再び体験したいものでは決してない。

自分が経験したことで、つわりを乗り越えた人/これから立ち向かう人たちが一気に眩しく見えるようになった。つわりのメカニズムが解明され、はやく特効薬が出ますように。私自身については、目下のところ妊娠後期につわりがぶり返さないよう祈るしかない。

妊娠4か月、友人に報告した際のことは次回に。

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