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ブックデザイナー・佐藤亜沙美さんと祖父江慎さんの対談覚え書き

佐藤亜沙美×祖父江慎「本とデザイン、紙と文字の素敵な関係」『MdNデザイナーズファイル2024』(エムディエヌコーポレーション)刊行記念

4月12日(金)本屋B&Bで行われた、二人のブックデザイナーのトークイベントが心から「申し込んでよかった!」と思える内容だったので、その備忘録です。

まず佐藤さんが、祖父江さんから話を聞き出すのがすごく上手だった。
佐藤さんは祖父江さんが代表を務める会社コズフィッシュで8年間勤務し、その後独立して10年目だそう。師弟関係といってもいいのかもしれない。
そして今回は、祖父江さんと仕事をしていたときのことをよく覚えていて「あのとき、こう言ってましたよ」「祖父江さんからこういう話を聞きましたよ」って話を広げてくれていた。
デザインのこと、デザイナーのこと、経営のことまで幅広いトークでした。

以下、お二人が(基本は祖父江さん、そして佐藤さんが合いの手で補足してくれていた)話していたことの抜粋。うろ覚えメモです。

黒い表紙の本を普通に作れると思ったら大間違い! スミベタやると指紋がつきやすいしPPかけてもキズが見えやすくなるからなかなか作れない。

広告の世界ではアートディレクションってよく言うけど、(自分は)本でそれをやってる。

企画も仕掛けも、狙ってつくるかんじは不自然で嫌い。(仏師のように)木の中に仏の形を追い求めて、「あ、こんな姿をしてたんだね」っていうふうにしたい。だからコズフィッシュでは本文デザインを先にやって、最後にカバーに取りかかる。子ども(本)を東大に行かせるように育てるんじゃなくて、その子(本)にとっての幸せを考えてデザインしていく。

責任は蹴りをつけるというんじゃなくて、向き合い続けるという意味。そしてデザイナーは向き合い続けないといけない仕事だよね。

ほかにも昭和時代のエピソードだったりブックデザインの実践的な話だったり、ぜんぜん飽きない2時間でした。

全体を通して思ったのは、祖父江さんの人材育成力が高いということ。
リスクを面白がる懐の広さがあって、「いいね、やっちゃおう!」と後押ししてくれる(さすがに無理だと分かっているときは止めてくれる)上司、すごく良い。
今回の対談相手が佐藤さんだったから、きっとそういう面がよく見えたのだと思う。
祖父江さん、デザインでも人材育成でも「はみ出しっこ」の魅力を引き出すのが巧いんだなあ、と感じました。
そして佐藤さん、今回の対談でお話がすごく論理的で分かりやすく、聡明さが伝わりました。佐藤さんのトークイベントがまたあれば聞きたい。

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