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女性のキマった前髪と男の髭のダンディズム

男女とは理解しえない生き物である――長らく語られてきた男女関係の真理である。

確かに、女性はいきなり不機嫌になったり、感情的になったりと、男性から見てよくわからないところも多い。
かたや男性も謎のコレクション(プラモとか)をしたり、付き合っているのに浮気をしたりと、女性から見て理解できないことも多い。

そういう「理解できないもの」はこの世にたくさんあふれている。代表的なもののひとつにあるのが、女性の髪のコンディションと、男性の髭のダンディズムではないか、と思うのだ。

まず女性の髪についてである。
髪は「たった一つのお上品なところ。というのは、はだかを隠してくれるから」(『たんぽぽ娘』)なんて洒落た言葉もあるくらい、女性にとって極めて重要なもののひとつである。

ちょっと髪を切ったとか切っていないとか、そういうことにとかく鋭敏で、何も言わず気づかないと機嫌を損ねたりすることもある。
なお、私はほとんど気づかないタイプの人間である。もし気づいてもらいたいなら頭を刈り上げたほうがいいとよく奥さんにも言っているくらいなので、だれが髪を切ってもあまり気づかない。最近では奥さんのほうから髪を切った宣言をしてくるようになった。
こういう人間なのに適当に「髪切った?」と言おうものなら女性側は1mmも髪を切っていないことがしばしばであり、宝くじのように「『髪切った?』チャレンジ」をよく外してしまうので最近気を遣うのはあきらめている。

ほかにも、朝方に前髪がバチッと決まったりすると非常に女性はテンションが上がるらしい。はたから見ているとなかなか前髪が決まっているのか決まっていないのかはわからないので、心から理解をするのはなかなか難しい。


逆に、男性にとってはうなずけても女性には意味不明なものの一つが「髭のダンディズム」である。
男性は髭がぼうぼうと生えているのがなんだかカッコいい、とする感性を持っているものだが、女性からすると「汚い」「ジョリジョリして嫌だ」と言われて終わりである。
山田孝之さんや竹野内豊さんなんかは髭が結構濃くて女性が「カッコいい…」となっていたりもするが、あれはあくまで山田さんや竹野内さんだからであって、市井の私たちの髭の有無とは無関係である。

世の中、お互いを理解し合いましょうという考え方がトレンドである。とはいえ理解できることばかりではないし、むしろよくわからないことも世の中にはあふれている。
「まあよくわかんないけど…」と、理解できなくても存在を否認するわけでもなく、ただそこにあまり理解できないものがあるという状態をありのまま見つめ続ける精神的な態度が、実は私たちには求められているのではないか。1mm切られた髪にも意味もなく伸び続けた髭にも、確かに毛として存在している事実に疑いをはさむ余地は、どこにもないのだ。

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