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【経済】「日本経済の成長は無理」って本当なのか

最近、2023年7~9月期の国内総生産(GDP)がマイナス成長になったとかどうたらこうたらということで少しニュースになった。
このGDPは国の経済規模を考えるときに使われる、重要な概念だ。ざくっというと「国内で生み出された付加価値の総額」とされている。

たとえば、日本のお菓子工場でチョコレートを100円で仕入れ、うまいこと加工してナイスでおしゃれなチョコレートを作ったとしよう。そのナイスでおしゃれなチョコレートを100円で売ったらただのお人よしなので、120円とかにして売る。
このときの20円分が「付加価値」である。こうした付加価値が日本中でどのくらい生まれたのかをいろんな計算式を使って推定・算出していくと、GDPという経済指標が作れる。

今のところ、日本のGDPは550兆円くらいで、「名目GDP600兆円」という目標を政府なんかが掲げている。2016年からこの目標はあるが、なかなか達成されることはないまま今に至っている。もっとも、目標が達成できないと、すぐ「日本経済はすでに成長の限界にある」「世の中の人口も減るので成長は無理だ」と悲観的なことを言う人たちが出てくる。
確かにそういう風に思いたくなる気持ちもわかるのだが、数字を見ると実は一応成長はしている。

例えば、名目GDPをみてみると、2012年は500兆円だったが2022年は556兆円にまで伸びた。途中確かにコロナや消費税率の引き上げによって足踏みをしてしまった時期はあるのだが、それでも「成長の限界にある」というのは(一応)成長していることを踏まえれば、数字を見ていない悲観主義者のウソである。

ならこれでいいのかというとそんなことはない。問題は、あまりにも低成長すぎることだ。世界ではだいたい年2~3%くらいの成長をしているので、少なくともそのあたりの水準を日本は目指す必要がある。

ではどうしたらよいのだろう。先ほどGDPは付加価値の合計だという話をしたので、ポンポン付加価値の高いものを作り続ければいい。
ただ、その付加価値の高いものを買う人がいなければ意味がない。となると、結局は個人が消費を積極的にできる状態が必要だ。
一生懸命作ったモノやサービスが売れない状態になるので、段々モノやサービスの価値が下がっていってしまう「デフレ」に陥る。労働者が一生懸命頑張っているのにデフレが続いているので「日本の構造がおかしい」などと言いだし、労働改革などを訴え出す専門家がいるが、そんなに難しい話ではなく、単純に需要が足りないのである。

ではひとはどんなときにお金を使うのか。簡単な話で、金があれば金を使うし、金がなければ節約するのだ。「もしウン億円あったら何に使う?」といったときに、多少は貯金するにしてもあれこれと使いたいものがだれしもあるはずだ。それこそがまさに「金があれば金を使う」典型だ。
誰しも学生の時分なんかに金がなくてもやしを食べつづけた日があったろうが、まさにそんな感じだ。
となれば、いかにして需要が高い状態を作るか=お金が手元に余る状態を作るかということが重要になる。すなわち、税負担や社会保障の負担を減らしたり、賃金を引き上げたりすることが重要だ。

財務省が算出している「国民負担率」という数字がある。これは自分が稼いだ給料のうちどのくらいが税金や社会保障費に持っていかれてしまうのかを示す指標だが、今現在この水準が50%弱にまでのぼっている。1970年には25%程度だったので、50年でおよそ倍増している計算になる。
要は、私たちの手元からとられるお金は50年をかけて倍増し、逆に私たちの手元に残るお金は50年をかけてじわじわと減っていったということだ。
この調子では日本経済が成長するわけはない。

我々若者のあいだでは「成長なんか無理なのでは」と悲観的な未来を抱く人も多いように思う。成長しない日本に生きていれば当然の話であると思う。少しでも経済的に希望ある未来を実現したいと思うのであれば、我々から自由に使えるお金を奪うあらゆる増税に反対することが必要だ。
そして我々が少しずつ「ちょっとお金を使ってみよう」と心の底から思えるようになったとき、漸進的に日本経済は成長に向かっていくはずである。

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