【経済】株主総会における珍妙な株主提案をみて笑顔になろう~前編~
企業で一番偉い立場と言われると普通は「社長」と答えがちだが、実は違う。
株式会社で一番偉いのは株主だ。
株式会社であれば、社長はあくまで仕事を進める上で一番偉い立場であって、経営の大事なことを最終的に決定するのは株主である。それだけに社長を含めた取締役の人事を承認するのは社長ではなく、株主の集まる株主総会なのだ。そんな株主総会は決算期の兼ね合いもあり、日本の場合は5~6月ごろに集中している。
株主の中には意見のあるひともいる。会社側に「こんな取り組みをしろ」とか「これをやらないと取締役の人事に反対するぞ」などと言い出すのだ。
それだけに、企業にとって株主とどうコミュニケーションをとるのかは重要な課題のひとつだ。
そう聞くと「株主総会は極めて真面目にあれこれ議論しているのだろう」といった印象を持つ人もいるだろう。ただ、全部が全部真面目な話をしているばかりではない。
中にはハチャメチャな株主の提案もある。
有名なのは野村証券などを傘下を持つ野村ホールディングスの株主総会(2012年)だろう。
株主一人が異常な量の提案をしているのがわかるが、どうやらこの株主は野村ホールディングスの社名を「野菜ホールディングス」にせよと求めている。
そのうえで「当社の日本国内における略称は『YHD』と表記し、『ワイエイチデイ』と呼称する。営業マンは初対面の人に自己紹介をする際に必ず『野菜、ヘルシー、ダイエットと覚えてください』と前置きすることとし、その旨を定款に定める」と、営業員の自己紹介の文案についても定款で盛り込むことを提案している。
他にもトイレは全て和式にしろといった巨額の設備投資を要する提案もあるなど、読んでいるだけで笑いが止まらない。
なお、似たような社名変更を求める事例としていよぎんホールディングスの株主総会(2023年)があり、「いよぎん内部留保第一主義リアルエステート」への商号変更を求めている。
トイレについては三井金属の株主総会(2020年)で、排便後にはお尻を固い新聞紙で拭くよう求め、出血を伴ったとしても「気合さえあれば乗り切れることの模範とならなければならない」と厳しく求社員に求めている。昭和のブラック企業も真っ青な企業体質だが、こうした提案で経営改善が実現するのかは謎である。(つづく)
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