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メディアが読者に媚びても仕方ないし、読者はメディアをあてにしても仕方ない

新聞やテレビなどのマスメディアに勤める人間は高給取りとして有名だが、メディア業界も時代の中で大きく変化してきている。

紙の新聞は売れず、テレビもいよいよ見られないなかで、隆盛を極めているのはインターネット関連のメディアだ。インターネットテレビやネットニュース関連のメディアが伸びてきている。

インターネット関連のメディアの登場で、メディアが発信する内容にも大きな変化が生まれる。すなわち「読まれる記事が書かれる傾向が強まった」ということだ。この理由は簡単で、収益源が広告料収入にあるためだ。順を追って考えてみよう。

①ネットメディアの収入の多くは広告料収入(購読の有料化などは最初から行ってもうまくいかない場合が多いため)
②広告料収入の単価を上げるためには視聴者数を増やしたりアクセス数を増やすことが求められる
③記事や番組などのコンテンツはアクセス数を稼げるネタになる

わけだ。
では、読まれる記事とは何か。要は「どんな記事をふとクリックしているか」といってもいい。

男性ならエッチなニュースのURLを押すと相場が決まっているが、女性であれば芸能人の噂話とかスキャンダルとか不倫・浮気ネタとかそういうものだろうか。男女問わず炎上系の人間の記事なんかもアクセスは稼ぎやすい。
要はゴシップや下世話な記事が読まれる。

今後は新聞のようなオールドメディアが、電子版で下世話な記事を配信し続ければいいのか。それで多少は生き残れるのかもしれないが、しかしそれではならん、という抵抗をしたい。
そこにこそ硬派な教養を知らしめること、たとえば社会・政治・経済に関する報道の価値を見出したいのである。

ではなぜ金も稼げないのに、硬派な何かを書くべきだと考えるのか。
それは(一応)現代社会が民主主義だからに他ならない。
民主主義である以上、人々が自分たちで政治家という国を動かす人たちを選ぶ必要がある。大げさに言えば国の未来を決定する権利を持っている。
その際に何も勉強しないで適当に票を入れるわけにもいかない。

では、その際に勉強すべきことは何かといえば、社会のことであり経済のことであり政治のことであり歴史のことであり、つまるところの「硬派な教養」である。
だから根本的に、新聞などの情報機関というのは、情報を通じてしっかりとものを考える「人を作る」仕事を担うべきだと私は思う。スクープを追ったり、スキャンダラスな話ばかりを追って見出しを立てているようではいけない。その機能を失ってまで金儲けに走るなら、世の報道に価値はない。

逆に、読者はメディアのバカみたいな記事や誤った記事に惑わされず、そして「質の低いメディアなど見るに値しない」と、断固として読まない高潔さを身につけることが大事だ。
次第にどうしようもないメディアは次第に駆逐されていくはずだ。

マスメディアに文句を言うのは簡単だが、実はそれこそがマスメディアを利することになるし、マスメディアの金になる。
そして文句を言っても、マスコミの偉い連中は変革の意志も持ち合わせていないし、批判を受け入れる柔軟さなど持ち合わせていない。
一切相手にしないほうがダメージは大きいものだ。

マスコミの中にいる人間としてこんなことを言うのもなんなのだが、マスメディアの質を高めるために、肝になるのは読者サイドの賢さである。
確かな教養を身につけて自らでメディアを取捨選択せねばならない。

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