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夜雨

「傷付けないでくれ」と懇願する誰かのこと
どんな風に引き留められるだろうな
今頃どんな気持ちで過ごしてる
どんな歳の取り方をしているの
「引き止めないでくれ」と示したこと
振り切って行ってしまった背中のこと
どんな風に守ってあげられるだろうな
どんな風に思い出せば正解なんだろうな

このくらい道をずっと進んだ先に何があるの
滲んだ視界を突っ切ってこのまま何処へ行くつもりなの


雨の夜

余分に伸びた光の束を見ている



「傷付けないでくれ」と懇願する誰かのこと
どんな風に思い出してみようかな
ハンドルを握る手は冷たいまま
ブレーキにかけた足先までそのまんま
「置いていかないで」と想像したこと
誰の横顔が頭に浮かんだのかなど
隠し方はもう大体決まっているから
逸らし方も似たようなものでしかないから


あの子もこんな気持ちで泣いていたんだろうか
あの子もこんな気持ちで一人で泣いていたんだろうか


雨の夜
余分に伸びた光の束を見ながら
次の夜
また一つ増えたこと考えながら
滲んでいく
乾き切った空の下でも同じ
滲んでいく
朧に揺れる輪郭に似ている


今さら何を話せるというの
忘れたことなんて少しもないけど
あれがあって
これがあって
身の程知らずの絵空事が
身の程知らずの絵空事は
今さらどうして心配できる
振り切っていく勇気が足りなかった


今頃どうしてる?

苦しんではいない?

アナタ声を掛けることもできない


もうこのまま進むしかない


このくらい道をずっと進んだ先になにがあるの
滲んだ視界を突っ切ってこのまま何処へ行くつもりなの
この くらい 道をずっと進めば何かに気付けるの?
滲んだ視界を突っ切って突っ切って
そうすればようやく説き伏せられる?

「傷付けないでくれ」と懇願する誰かのこと
どんな風に引き留められるだろうな
今頃どんな気持ちで過ごしてる
どんな歳の取り方をしているの
「引き止めないでくれ」と示したこと
振り切って行ってしまった背中のこと
どんな風に守ってあげられるだろうな
どんな風に思い出せば正解なんだろうな


雨の夜
余分に伸びた光の束を見ている

雨の夜

滲んで伸びた光の束を

滲んで伸びた光の束を



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(2017.12.19) 


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