追記)バブルの発生と崩壊は全部アメリカのせいなのか?
前回の記事の最後に「我々(その当時の日本人)の何が悪かったのか?」を問い、答えの一つとして「それまで信じていた土地神話が誤りだった」ことを挙げました。
誤りを信じ込んでいた我々は、愚かでした。
しかし当時はそれが常識でしたし、なおかつインターネットも存在しません。
(「せやから、しゃーないやん!」とも、思ってますけど)
つまり、逆に言えば「過ちを二度と繰り返さないためには、常識と言われていることでも妄信しないことと、インターネット等を駆使して勉強することで回避できる」ということでもあると思います。
と、こう書けば当たり前の話ですが、意外とこれは難しいことですし、できていない人が今も非常に多いのではないかと個人的には思います。
それが日本の凋落の一因にもなっています。
そしてさらに言えば、そのことに気付いてすらいない人も非常に多いのではないかとも思いますね。
特に、私と同じかその上の世代の人に多いです。
ネットどころかリアルに口に出して、以下のようなことを言う人がいます。
「あの頃は良かった。戻りたい」
「今の若い子はお金がなくてかわいそう。私たちの若いころは~」
「こうなったのはアメリカが悪い」
「こうなったのは政府が悪い」
(下の二つは前回の「失敗を全部他者のせいにしてしまう」の例ですが)
率直に申し上げて、私には「あの頃から何も進歩していない残念な人」としか思えません。
(ただ「仕事や子育て等で忙しかったから仕方がない」という理由もあるかと思います。
そういう「考えるための時間や心の余裕がない」ことも含めて、問題を解決しなければならないでしょう)
上記の何が悪いのか?
まず「あの頃は良かった」の「あの頃(の、あの状態)」は、全然良いことではありません。
何故ならば「あの(バブルの泡の部分だけがあそこまで膨らんだ)状態になってしまったからこそ、その後の二十年がえらいことになった」からです。
(泡の部分だけではなく実体経済もある程度伴っていたならば、あんなえらいことにはなっていません)
そして「今の若い子はお金がなくてかわいそう」については、私はそこまでかわいそうだとは思っていません。
(私はむしろ、かわいそうなのはこのようなことを言う人の方だと思います。このことについては後述します)
下の二つについては、前回と同じ「その考え方だと人は進歩しない」というのが最もダメな理由ですが、実はそれだけではありません。
そもそも一番悪いのは誰なのか?
私は「誰も悪くない」と考えています。
何故日本が衰退している(他国に比べて成長していない)のか、その理由は「時代が進歩したから」であり、その進んだ時代の流れから見て「日本人の持つ国民性が、明らかに向いていないから」です。
向き不向きは仕方がありませんが、向いていないことを意識して考えて行動することで、結果はかなり違ってくるはずです。
しかしこの「今、これからの時代に向いていない」ということを理解している人はかなり少ないのが現状です。
確かにアメリカや政府の政策にも問題がありました。
でも、全部アメリカや政府のせいではありません。
さて、後述するとした「今の若い子はお金がなくてかわいそう」について。
はっきり言って、私はむしろ「今の若い子が羨ましい」です。
何故か?
「インターネットがあるから。
そのインターネットがあって当たり前の状態となっていることで、今の若い子は皆、昔よりも賢くなっているから」
(趣味で「音楽や動画などのコンテンツが劇的に安くて、しかも選び放題になっている」というのもありますけども)
自慢じゃないですが、若い頃の私は「どこに出しても恥ずかしいアホ」でした。
あの頃は確かに、ちょっとがんばって働けばかなりのお金を稼ぐことはできたし、そのお金で旅行に行ったり美味しいものを食べたり、いろいろと好きなことができたわけですけれども。
その好きなこととは、今と比べてかなり割高なものでしたし、必要ではないものがたくさん含まれていました。
例えば自動車とか。
都会に住んでいたら要らないですよね。
なのに昔の若者は、賢い広告代理店やテレビ局の偉い人に騙されて、そういう要らんもんを買わされていたわけですよ。
私なんぞはその中でも選りすぐりのアホでしたから、特に(例えばミュージシャンになりたい等の)これといった目的もないままにフリーターになって、その後に痛い目を見ることになりました。
しかし良いことばかりではありませんで、そういう合理的な考え方が広がって物やサービスがどんどん売れなくなって、若者も含めた皆の所得も低くなってしまったわけですが。
なら、昔に戻れば良いのかと言えば、戻れるわけがありません。
昔に戻るとは、若者も含めて国民全員アホに戻れということでもあります。
そもそも戻るのは不可能ですが、戻りたくもありませんし。
それに日本の国民全員がアホに戻ったら、日本以外の他国民はより賢い状態になりますから、そこで外資の餌食になって終了でしょう。
なら、じわじわ衰退するこの状況を打破するにはどうすれば良いのか?
それは「国民全員がもっと賢くなること」です。
無駄なものを買わない節約志向そのものは、悪いことではありません。
しかし同時に、その「節約志向は絶対的に良いことでもない」のです。
節約して貯めたお金は、投資しなければなりませんが。
(投資には、通常の金融商品への投資と「自分への投資」が存在し、「自分への投資」は、傍目から見ると通常の消費と区別がつきません)
この投資ができないから、日本は他国ほどの成長ができないのです。
(参考:幻冬舎ゴールドオンラインより『家計金融資産が20年で3.3倍の米国 1.5倍の日本と何が違う?』)
そうそう、この「自分への投資」はお金だけではありません。
今はインターネットがありますから、時間をかけて勉強することで自分への投資をすることができます。
……ええなぁー、今の若い人は。
私はテクノロジーの進歩によって「(お金よりも)時間をこのような使い方ができるようになった、まさにその時に若い状態である」ということを、非常に羨ましく思っているのです。
さらに、上記の「今の若い子はお金がなくてかわいそう」と言う人はそれがわからない、相変わらずお金が一番大事だった時代の価値観を引き摺っている、そういう人だからかわいそうだと思うわけです。
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