バブルの発生と崩壊は全部アメリカのせいなのか?
バブルが崩壊してから失われた二十年が到来し、今に至っておりますが。
かなりの時間が経ったので、あの時のことを知らないかまたは忘れてしまった人も多いと思います。
あれは何だったのか?
原因は何だったのか?
そのことを『中田敦彦のYouTube大学』の記事で勉強させて頂きました。
『【政治経済】バブル崩壊とリクルート事件〜前編〜バブルとは何だったのか?』(中編と後編は割愛、上記リンク先からお願い致します)
ありがとうございました。
で、ですね。
「バブル発生とその崩壊をアメリカのせいだ」という人も多いんですよね。
確かに「プラザ合意とBIS規制」という、アメリカの政策によるところは大きいです。
それは確かに大きな理由ですけれども、全部ではありません。
何が一番の原因だったかと言えば、やはりそれは我々にあったわけです。
バブル発生時にできた余剰資金が、何で土地(不動産)と株に集中して向かってしまったのか?
当時、様々な分野での起業や新規参入が少なかったのは何故なのか?
その大きな理由の一つは規制によるものでした。
規制緩和とか自由化とか、良く言われていますよね。
これらも行き過ぎると弊害もあるでしょうが、あの当時は必要なものでした。
上記リンク先の動画でも、ダイエーの故中内氏が規制のことも含めて松下電器や商工会などと争った話が出てきますが、そういう規制によって誰が損をするのかと言いますと、消費者なんですね。
そしてもう一つ、あの当時の銀行では「お金を貸すのは土地を担保にするのが当たり前」でした(事業内容よりも優先で)。
確かダスキンの創業者の話だったと思うのですが(うろ覚えですんません)、創業時に一円も貸してくれなかった銀行が、ある程度経営が上手くいって事業を拡大できた後で「お金を借りてください」と頭を下げて来たことがあったそうです。
その社長さんが「今さら何の用だ。資金はもう必要ない。見る目がないにもほどがある」と断りましたが、その銀行の人は「そこを何とか」としつこく食い下がります。
社長さんは断り続けましたが、挙句の果てにその人は「見る目がないから銀行にしがみついとるんや。見る目があったらあんたみたいにとっくに起業しとるわ!」という内容の捨て台詞を吐いて帰ろうとしました。
そしたら社長さんはその台詞を気に入って、お金を借りてあげたそうです(なんでやねん)。
というわけで、既存の大企業は本社や主な支社が東京や大阪などの都会にありますから、自社ビルを担保に入れるといっぱいお金を貸してもらえるわけですよ。
そのお金で設備投資などして頑張ると、会社は大きくなって業績も右肩上がりになって、それが株高の一因になります。
また、企業の中には「不動産は儲かる」ということで、多角経営で不動産事業に乗り出すところも出てきました。
すると会社の資産が増えるわけですから、銀行はさらにいっぱいお金を貸してくれるようになります。
つまり、土地と株に集中してお金が入っていったわけですが、バブル発生時に核となるのは「土地」の方です。
そしてここに「バブル発生と崩壊の最も大きな原因」があると思うのですが、それは以下の誤った考えです。
「日本は国土が狭い上に平地が少ない。だから土地の値段は上がる一方で、下がることは絶対にない」
いわゆる土地神話というものです。
この誤った考えをほぼ全国民が持っていたからこそ、バブルの発生と崩壊が起きてその後えらいことになったわけです。
では、何でこの誤った考えが正しいとされたのか?
それは我々の歴史と国民性によるものです。
江戸時代の石高制とその前の戦国時代、あるいはさらに前の時代からずっと、土地は(米などの資産を生むことのできる)資産であると日本人の誰もが認識していたからです。
この「土地(不動産)は資産である」という認識が、あまりにも強すぎて裏目に出た(資金は土地やその周辺に集中し、他の分野への投資や内需拡大を阻むことになった。そしてそれが後に誤りだとわかった時のショックが大きかった)、これこそがまさに「バブルの発生と崩壊で大きな痛手を受けた原因」であると私は思っています。
我々日本人の何が悪かったのか?
それを考えずに全部アメリカのせいにするのは、明らかに間違っています。
失敗を全部他者のせいにしてしまうと、その失敗で学んでその先に進むということができなくなりますから。
これは何もこのことだけの話でなく、すべてのことに当てはまることだとは思いますけどね。
(そしてこの「日本人は“土地(不動産)は資産である”という認識が強い」ことは、日本で住居費が高いことなど他の問題にも繋がっているのではないかと、個人的には思っています)
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