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読書記録

■トリニティ/窪 美澄

仕事、結婚、男、子ども……私はすべて手に入れたい。欲張りだと謗られても――。1960年代、出版社で出会った三人の女。ライターの登紀子は、時代を牽引する雑誌で活躍。イラストレーターの妙子は、才能を見出され若くして売れっ子に。そして編集雑務の鈴子は、結婚を機に専業主婦となる。変わりゆく時代の中で、彼女たちが得たもの、失ったもの、そして未来につなぐものとは。

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同じ職場で出会い同じ時代を生きた3人の女性をそれぞれの視点から描く物語。
今の時代は女性が働くこと、起業すること、フリーランスで働くことは個人の自由として尊重されているが、この物語の時代(戦後の昭和時代)はその考え方はまだ浸透されていなかったように感じたました。
女性はまだまだ男性と同等の仕事はできず、鈴子のように専業主婦になるのが普通だった時代に、朔と登紀子は働く道を選ぶ。
周りからは「成功者」と思われていた二人も、確実に「失われたもの」があり、その残酷なまでの姿がありのままに書かれていて後半は読んでいてなんとも言えない気持ちになりました。
女性として”生きるとは”・”働くとは”・”幸せとは”という「価値観」が変わる1冊でした。

■不審者/伊岡 瞬

家族4人で平穏に暮らす里佳子の前に突然現れた1人の客。夫の秀嗣が招いたその人物は、20年以上音信不通だった秀嗣の兄・優平だと名乗る。しかし姑は「息子はこんな顔じゃない」と主張。不信感を抱く里佳子だったが、優平は居候することに。その日から不可解な出来事が続き……。家庭を侵食する、この男は誰なのか。一つの悲劇をきっかけに、すべての景色が一転する。暴かれる家族の秘密と、衝撃の結末。『悪寒』『代償』の著者が放つ、驚愕のサスペンス&ミステリ。

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読み始めから不穏な空気がすごい。
タイトルからも「突然現れた一人の客」が超絶に怪しい。
話が進めば進むほど怪しくて気づけばその客のことばかりが気になっていた。
ところが…最後の最後に想像もしていなかった「どんでんがえし」が!!
それも自分が想像もしていなかったところから…。
そうくるか…伊岡さん。
最後もしっかりと伏線回収してくるあたりもさすがです。
苦手な方もいるかも知れないですけど、私には大好物の1冊でした(笑)

■ファーストラヴ/島本理生

夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは? 「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。

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考えていたよりも重たい話だったというのが第一印象。
臨床心理士の目線を通じて容疑者と向き合ってくというもの斬新で、普通の刑事モノよりも心理的な部分まで深く表現されていたような気がしました。
読み進めるほどに湧き上がる”違和感”。
容疑者の中の”普通と異常”。
10代という少女と大人の間にある女性にとって”性虐待”についてどこまで理解できていたのか?
”性”に対してまだ深く理解できていない少女には自分がされていることが良いことか悪いことかの判断がつかない。
周りの大人達に言われるがままにされてきたことで、”なんとなく嫌なことだけど悪いことではない”という異常な空間の中にいたのかもしれないと思うとなんとも複雑な気持ちになりました。

■電子の子 池袋ウエストゲートパークⅣ/石田衣良

失踪した親友の行方を追って、山形からマコトを訪ねてきた引きこもりのテル。“人体損壊ショー”のアングラDVDと秘密クラブの関係は? マコトが身体を張る表題作「電子の星」ほか、ビルマから来た14歳の男娼をめぐる「黒いフードの夜」、通り魔にギャングの息子を殺されたタクシー運転手に告げられた悲惨な真実……「ワルツ・フォー・ベビー」、Gボーイズから足を洗ってラーメン屋を始めた双子ツインタワーが活躍する「東口ラーメンライン」の全4篇。

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今までのシリーズよりも若干グロさが多かった印象です。
基本1話完結の話なので、全部が全部そうだということはなく基本は読みやすいんですが1話ちょっと思い描写がありました。
それにしても、主人公のマコト。いや、主人公だから仕方ないかもしれないけれど、彼は毎度事件を呼びますね。
彼のいるとこ必ず何かが起きる、そんな感じ(笑)
毎度ハズレくじをひく彼がだんだん可哀想にも思えてきてしまう…。
でも、実際事件が起こるとみんなと協力してスッキリ解決してくれるから読んでる側としてはそれが楽しみなんですけど。

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