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⑥HACCPのハザード分析の進め方
今回は、食品安全のHACCPのハザード分析の進め方についてです。
今回の内容は、これからHACCPに取り組む食品工場の方に向けた内容で投稿します。読みやすいように用語解説も少し入れながら書いていこうと思います。
結論として、ハザード分析を進めるためには、
≪ステップ①≫製造工程のハザードを書き出す
≪ステップ②≫ハザードが重要なものか判断する
≪ステップ③≫重要なハザードを管理する方法を決める
という流れになります。
≪用語の解説≫
◆「ハザード」とは?
HACCPにおける「危害要因」の別名です。
「危害要因(ハザード)」とは、食品安全に影響を与える危険なものや、危険を引き起こすものです。
◆「ハザード分析」とは?
HACCPにおける「危害要因分析」の別名です。
「危害要因分析(ハザード分析)」とは、食品にどのような危険性があるか調べることです。
【ステップ①】
≪製造工程のハザードを書き出す≫
ハザード分析を進めるためには、まず、製造する流れのなかでどのようなハザードがあるか書き出していきます。
ハザードを書き出していくのは難しくないので、以下のようなイメージで考えていくといいと思います。
それぞれの製造作業のなかで、
・管理が失敗した場合にどのような問題が生じるか?
・管理していても取り除くことが難しい問題としてどのようなものがあるか?
というイメージで書き出していくといいと思います。
≪管理が失敗した場合の具体例≫
・「刃物類でカットする作業」
⇒管理を失敗すると「金属片の混入」が発生する可能性があります。
・「金属検出器の検査作業」
⇒管理を失敗すると「金属異物を除去できない」が発生する可能性があります。
・「加熱の作業」
⇒管理を失敗すると「病原微生物を殺菌できない」が発生する可能性があります。
≪管理していても取り除くのが難しい場合の具体例≫
・「原材料の受入作業」
⇒管理していても「病原微生物(例えばサルモネラなど)が存在している」が発生する可能性があります。
上記のような考え方で、
・「刃物類でカットする作業」⇒『ハザード:金属片の混入』
・「金属検出器の検査作業」⇒『ハザード:金属異物を除去できない』
・「加熱の作業」⇒『ハザード:病原微生物を殺菌できない』
・「原材料の受入作業」⇒『ハザード:病原微生物が存在している(例えばサルモネラなど)』
ということをそれぞれの製造作業のハザードとして書き出していきます。
【ステップ②】
≪ハザードが重要なものか判断する≫
製造作業のハザードを書き出した次に、書き出したハザードが重要なものか判断します。
ハザードの重要性の判断方法として、製造作業のなかで取り除かなければ食品安全を確保できないものを重要なものとして扱います。
「取り除かなければ食品安全を確保できないもの」という言い回しが分かりにくいかもしれませんが、もっと簡単に言うと「食べたときにケガをしたり食中毒になるようなもの」です。
書き出したハザードが「食べたときにケガをしたり食中毒になるようなもの」に該当するか判断するということになります。
「食べたときにケガをしたり食中毒になるようなもの」は基本的に重要なハザードとして扱うことになるため、重要でないハザードを判断するほうが難しいと思います。
重要でないハザードは、製造作業で取り除かなくても食品安全に影響を与えないものです。
具体例として、冷凍原材料の魚に含まれる「アニサキス」などがあります。
冷蔵の生魚を受け入れして冷蔵出荷するのであれば、「アニサキス」は重要なハザードになりますが、
冷凍原材料の魚を使用している場合は「アニサキス」が死滅するので、ハザードを書き出すステップで「アニサキス」の名前が挙がったとしても重要なハザードとして扱いません。
また、通常の衛生管理で対応できるものは重要なハザードとして扱わないくて良いです。
具体例として、手洗いの徹底によって黄色ブドウ球菌が商品に付着することを防ぐことができるのであれば、黄色ブドウ球菌を重要なハザードとして扱う必要はないです。
ただし、黄色ブドウ球菌が原材料にそもそも含まれている、もしくは作業特性として商品に付着するのを防ぐことが難しい状況であれば重要なハザードとして扱う必要が出てきます。
【ステップ③】
≪重要なハザードを管理する方法を決める≫
重要なハザードを決めた次に、重要なハザードを管理する方法を決めていきます。
食べても食中毒にならないようにハザードを管理することになります。
具体例として、
・原材料に「病原微生物のサルモネラが存在しているハザードがある」
⇒管理方法:「加熱の作業」で『サルモネラを取り除く』
・カットする製造作業で「金属異物が混入する可能性があるハザードがある」
⇒管理方法:「金属検出器の検査作業」で『金属異物を取り除く』
ということを決定します。
≪まとめ≫
ハザード分析は基本的には、
≪ステップ①≫製造工程のハザードを書き出す
≪ステップ②≫ハザードが重要なものか判断する
≪ステップ③≫重要なハザードを管理する方法を決める
の流れを順番にやっていくことになります。
細かい注意点等はありますが基本的にはこのような考え方になるので、まずは上記の3つのステップを理解していただければと思います。
HACCPを学んでいなくても、「食品の危険な病原微生物を取り除くために焼いて食べる」などは経験的にこれまでやってきたことだと思います。HACCPで求められる基本的な考え方は難しくはありません。
ただし、文書で明確にして第三者に取組み内容が明示できるようにすることがHACCPでは重要になります。感覚としてHACCPができていても文書で第三者に明示することができなければ十分な取り組みとは言えません。
これからHACCPを学ぼうとしている方へ向けて、引き続き投稿をしていこうと思います。
また、別の機会があればもっと専門的な内容も書いていこうかと思います。
◆CCPの作業記録を残すために必要な情報
・ CCPの作業記録を残す≪ゴール≫
↓
・「CCPの作業記録を残す」ために
CCPの管理方法を決定する
↓
・「CCPの管理方法を決定する」ために
ハザード分析をする ←最終的に"食品危害を取り除くためのCCPを実施"ために今回はハザード分析についての話でした。
↓
・「ハザード分析をする」ために
製造工程を書き出す
↓
・「製造工程を書き出す」ために
【製品情報を書き出す】
↓
・ 専門知識をもったHACCPチームをつくる
◇用語の説明
ハザード分析 ⇒ 食品の危険なものを調べること
CCP(読み方:シーシーピー) ⇒ 食品の危険なものを取り除くこと
≪具体例(ハンバーグの作り方)≫
ハンバーグには○○という菌がいるか調べてみよう ⇒ ハザード分析
○○という菌がいるから焼いて食べよう ⇒ CCP
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