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ジョン・ヒロボルタの2番弟子、こーきちくん(高柳孝吉)の記録

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TVBros.ジョンが出会った読者たちのジョン・ヒロボルタの2番弟子こーきちくん(高柳孝吉)の記録
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2015年2月の記事一覧

【2番弟子】今日の小話 #12「空腹のおすそ分け」

【2番弟子】今日の小話 #12「空腹のおすそ分け」

腹が減った。時計を見る。22時を指している。腹が減ったし、遅い夕食を作ろう。最近の定番メニュー、納豆かけご飯である。食べようとした時、思わぬ来訪者があった。来るのは別に珍しい事でも無いのだが、何でまたこんな時間に……。

「あの、これ、良かったらどうぞ!」その女性は、一切れのパンを僕に手渡し、恥ずかしげにそそくさと帰っていった。頂いたパンを手に、僕はしばらく立ち尽くしていたが、早速、渡りに舟とばか

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【2番弟子】今日の小話 #11 「バレンタイン、その後日談」

【2番弟子】今日の小話 #11 「バレンタイン、その後日談」

今年のバレンタインデーは奇跡的に気持ちの余裕があった。ある既婚の女性から、嬉しい義理チョコを進呈していただいたからである。あれから約一週間が経過した。その女性から送られてきたひとつの小包。実はその女性、まだ新婚一年目くらいの新妻さんで、先輩の奥さんでもある。中身はクッキーと、再びチョコレート。手にとったら手紙がクッキーの下から、はらりと落ちた。目を通すと、こんな一節が添えられてあった。

「作りま

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【2番弟子】今日の小話 #10 「思い出、そして今日から始まる」

【2番弟子】今日の小話 #10 「思い出、そして今日から始まる」

大好きな椎名林檎さんがデビューするずっと以前の話だ。俺がまだ二十代の若かりしころ、ある女性を好きになった。二十代の若さゆえ俺は、猛烈なアタックをした。既婚の女性、叶うはずもない恋。今では考えられない話だが、まだ若かったんだなぁ。俺はその後も猛アタックを続けたのだが、恋は儚く散ったのだった。

それから二十年の歳月を経た今日、思わぬ再会を果たした。だが、再会したのは彼女ではなく、当時、一緒にいた仲間

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【2番弟子】今日の小話 #9 「ある恩師からのおめでとう」

【2番弟子】今日の小話 #9 「ある恩師からのおめでとう」

ずっと言い続けていた。

「お笑いをやりたい。」みんなに「お前にできるわけがない」と言われた。そんな中、ずっと応援し続けてくれた数少ない一人の女性、Nさん。年齢は俺とたいして違わないのだろうが、長年に渡って色々な方面から僕を支え続けてくれた大切な恩師とも呼べる人。結局離れる時が来たが、お付き合いの最後の方は僕の醜態によって決別みたいな形になってしまった。しかし、別れる間際になって、わざわざ僕の所に

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【2番弟子】今日の小話 #8 「返せなかった文房具」

【2番弟子】今日の小話 #8 「返せなかった文房具」

「フェスボルタ 〜鬼〜」で、みやまるボルタさんから、カンペを手に貼るためにのりをお借りした。フェスも終わり、打ち上げもお開きとなって、その帰りの別れ際、のりの事を知ってか知らずか、みやまるボルタさんは、何も言わずに疲れを隠したような感じで、フェスの余韻覚めやらぬ笑顔で「ありがとうございました! また次回!」と言い、ひとまずのお別れをした。群馬に着いてから、何気なくタバコを出そうとポケットに手を突っ

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【2番弟子】今日の小話 #7 「飲み代を立て替えて下さった“ファン第一号”の方を忘れない」

【2番弟子】今日の小話 #7 「飲み代を立て替えて下さった“ファン第一号”の方を忘れない」

俺のnoteに“好き”を、付けてくれた。全く面識は無いが、自ら「売れない物書き」と公言している方。夜中に目が覚め、気が付くと、俺が寝ている間に、そっと付けていて下さった。こんな群馬の辺境で埋もれていた俺のつたない文章を読んで頂き、認めて下さる方が出来て来たんだ、と凄く嬉しい気持ちになった。

いつもの喫煙所でタバコを吸うと、ふと、ある方の事を思い出した。ついこの間、「フェスボルタ ~鬼~」の打ち上

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【2番弟子】今日の小話 #6 「昨日までのごめんね」

【2番弟子】今日の小話 #6 「昨日までのごめんね」

知らなかった。ずっとメールをくれてたなんて。去年からの話だ。金が無く、携帯を止められた。金が無い事、心配掛けたくないから友人には黙っていた。その間、友人とは、直接会って話していた。何回も、何回も。

やがてちょっとまとまった金が入り、携帯は復活した。その日いつもと変わらぬ笑顔を見せてくれた友人と別れ、復活して初めて携帯のメールボックスを開くと、その友人からの何通ものメールが。

『最近元気無いけど

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【2番弟子】今日の小話 #5「雪の中のレイディ」

【2番弟子】今日の小話 #5「雪の中のレイディ」

雨が降り始めた。傘をさし、コンビニへと歩く。洗濯もしてないパーカーに、膝の薄汚れたジャージ。浮浪者まがいのぼろぼろの格好。これが普段の俺の一張羅なのだ。

人が振り返る。コンビニの店員は迷惑そうな顔をして、ふた回りも年下であろう彼はタメ口で接客をしてきた。片方が壊れて右耳しか聴こえていないイヤホンで俺が聴いているのは、BOØWYだ。マーシーンのようにひたすら接客しているお前なんかより、ロックしてる

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【2番弟子】今日の小話 #4「自動販売機の怪」

【2番弟子】今日の小話 #4「自動販売機の怪」

当たったためしがないんだよなぁ、この自動販売機。

まただ、またはずれやがった。

そんなある日、いつもつるんでいる友人が「のどが乾いた」と言うものだからいつもの自販機に行った。どうせ、またはずれるに決まってる。そこに、一人の男の子が、泣いていた。話を聞くと、どうやらお父さんから頼まれたコーヒー代120円を、落としてしまったらしい。俺も、友人から預かったお金120円しか持って無い(なぜなら俺は無職

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【2番弟子】今日の小話 #3 「道端のミー」

【2番弟子】今日の小話 #3 「道端のミー」

いつもとは通う道に、彼女はいた。三毛猫のミー。誰のモノでも無い、彼女だけの人生(?)を全うしている。俺のたった一人の友達、ミー。しかし、この辺で、野良猫に対する住民からの苦情で、保健所が動き出したらしい。俺のアパート、犬猫は禁止だ。それでも、俺はかくまおう。そう決めて、ミーと逢瀬を重ねて来たいつもの道へ行った。いつもひなたぼっこしているいつもの時間だったが、いない。また、どうせどこかでスズメとでも

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【2番弟子】今日の小話 #2 「土木構築現場の鬼」

【2番弟子】今日の小話 #2 「土木構築現場の鬼」

土木建築現場で、みんなから「鉄人」と呼ばれている男がいた。エッチラ、オッチラ、昨日も今日も明日も。

でも、今日に限っては、“明日”は無かった。
ひ弱な同僚を助けた為の大怪我。助かる可能性は、限りなく薄い。どうした鉄人! あの力自慢はどこいったんだ! 吸引器なんか着けやがって…。
一番怒ったのは、いつも怖い親方だった。

馬鹿野郎!と、やり場のない怒り。それでもみんな、鉄人の分も働かなきゃならない

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【2番弟子】今日の小話 #1 「灰皿と老人」

【2番弟子】今日の小話 #1 「灰皿と老人」

いつもの喫煙所、いつものタバコ。だが、何かが足りない。

あのじじいだ。また来たよ。いつも文句を垂れてるうるせえじじい。ゆっくりタバコも吸えやしねえ。墓場鬼太郎の子泣き爺の役があったら、文句無し、オファーが来るに違いない。だけど、何故だか憎めない。そのじじいがある日を境にパッタリ来なくなった…。

2ヶ月、3ヶ月…。俺はイライラし始めた。仕事もろくに手に付かない(ほんとは無職だけどな!)。

そん

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47歳無職こーきちくん、ジョン・ヒロボルタに弟子入りする

47歳無職こーきちくん、ジョン・ヒロボルタに弟子入りする

皆さんこんちは!

わたくし、こーきちくん、通称「高柳孝吉」と申します。ブロス誌面には46歳と書かれていましたが、すみません。

年齢詐称してました、47歳です。

ブロス誌面に自己紹介を載せて頂いてから舞台に立つまでに誕生日を通過していたという(笑)。
現在、居住しているのは群馬県ですが、生まれは華のお江戸、文京区千駄木、ちゃきちゃき、生粋の下町っ子です。不細工なうえに金も無い、あるのは借金と発

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