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【2番弟子】今日の小話 #8 「返せなかった文房具」
「フェスボルタ 〜鬼〜」で、みやまるボルタさんから、カンペを手に貼るためにのりをお借りした。フェスも終わり、打ち上げもお開きとなって、その帰りの別れ際、のりの事を知ってか知らずか、みやまるボルタさんは、何も言わずに疲れを隠したような感じで、フェスの余韻覚めやらぬ笑顔で「ありがとうございました! また次回!」と言い、ひとまずのお別れをした。群馬に着いてから、何気なくタバコを出そうとポケットに手を突っ込んで取り出すと、何かが地面に落ちた。
あの“のり”だ。
「今探して来ますね! ありました! 使って下さい、カンペ貼るんですか(笑)?」
カンペ貼るのに無かったら大変だと、嫌な顔一つせず探してくれたみやまるボルタさん。その好意を、だらしない俺は、すっかり忘れてしまっていた。地面に転がっているそのノリを通行人が、過失とは言え、蹴飛ばして行った。俺は慌ててのりを拾い、ついた汚れをはたき、タバコ吸う前にポケットにしまった。
次にフェスボルタで会った時、あの時のお礼を言おう。また、フェスボルタに行こう。あのクソ忙しい時に探してくれた、とても小さい事だけど俺にとっては大きい恩に報いるために。あの小さなのりを返す為に…。
あれから短い期間にも色々なことがあった。今となっては、フェスボルタの主催者ジョン・ヒロボルタさんは俺の師匠となり、そしてあの時、必死にのりを探してくれた好青年みやまるボルタさんは、今では兄弟子となった。兄弟子となってもこれまでと変わらず優しく接していてくれている。あの時、のりを探してくれた時と変わらないまま…。
ってここから面白い話になるところですよ。とっておきのギャグを考えたんですよ。
ウソです。なーんにもありません。
なーんてっ。
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