【２番弟子】今日の小話 #4「自動販売機の怪」

当たったためしがないんだよなぁ、この自動販売機。

まただ、またはずれやがった。

そんなある日、いつもつるんでいる友人が「のどが乾いた」と言うものだからいつもの自販機に行った。どうせ、またはずれるに決まってる。そこに、一人の男の子が、泣いていた。話を聞くと、どうやらお父さんから頼まれたコーヒー代１２０円を、落としてしまったらしい。俺も、友人から預かったお金１２０円しか持って無い（なぜなら俺は無職だからな！）。それを使おうにも、友人にはすでに金を借りているから、勝手にそのお金を使う訳には行かない。しかし俺は、なぐられることを覚悟の上で、男の子にコーヒーを買ってやった。

今思っても不思議な出来事だった。

あの不機嫌な自販機で、あのタイミングで当たりをひくという怪奇現象のおかげで、その子はお父さんにコーヒーを買って帰る事が出来た。そして俺は友人に無事、コーラを渡す事が出来た。早速、友人にその話をすると「いい話だな！」と喜んだ。

かといって借金がチャラになることはなかったけど。

その後、その自販機で何度も試したが、二度と当たる事は無かった。やっぱりあれは、何か不思議な力が働いたとしか思えないのは、俺の考え過ぎだろうか。

なんか面白い展開になると思ったでしょ？　爆笑するような。

なんにもないですよ。

なーんてっ。

写真・文/こーきちくん