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【2番弟子】今日の小話 #3 「道端のミー」

いつもとは通う道に、彼女はいた。三毛猫のミー。誰のモノでも無い、彼女だけの人生(?)を全うしている。俺のたった一人の友達、ミー。しかし、この辺で、野良猫に対する住民からの苦情で、保健所が動き出したらしい。俺のアパート、犬猫は禁止だ。それでも、俺はかくまおう。そう決めて、ミーと逢瀬を重ねて来たいつもの道へ行った。いつもひなたぼっこしているいつもの時間だったが、いない。また、どうせどこかでスズメとでもじゃれっこしているに違いない。だけど…。不安がよぎった。ミー。ミー!俺は、必死になって探した。

後で知った事だが、その時すでにミーは、他の金持ちの家に貰われて行ったそうだ。その知らせを受けた時、僕は、アパートで、「助かったんだ、ミーは。」と部屋に用意してあったミーの寝床になる筈だった段ボール箱と、好きだろうとワクワクして買って来たシャケ缶を前に、ちょっぴり泣いた。

いつも通う道を通る度に、辺りを見回して寂しく微笑む。今にも垣根からミーが出て来そうな気がして。




えっ? これで終わりって思った? それとも面白い展開になるかと思ったでしょ? だって俺、漫談家ですから。爆笑するような展開になると思ったでしょ?


なんにもないですよ。





なーんてっ。

写真・文/こーきちくん

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