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苦手な土地を克服する

皆さんには、苦手だと思う土地や嫌いな土地はありますでしょうか。例えば、元恋人が住んでいた町、とか、不採用に終わった第一志望の企業がある土地、とか、なんかそういう心に傷を残した土地や町って、気まずくないですか?まぁ、気にする人も気にしない人もいるでしょうが、私にはその土地や町に思い出を擦り付けてしまう癖がどうやらあるらしく、嫌なことも幸せな記憶も、町と共にあったりするんですよね。なので、嫌な記憶がこびりついていると、どうもその町を避けてしまうんですけど、今回は、そんな町を克服できたような気がする、お話をしたいなと。

先日、バイトの面接で恵比寿某所に行った。手応えなど感じる暇もなく、あっけなく午前中に終わってしまったため、なんとなしに渋谷へ。渋谷へ行くのはいつ以来だろうか。友人と京都旅行の計画練りと友人の買い物がてらたまたまお互い都合の良い場所が渋谷だったため、それが最後だっただろうか。それはとても良い時間だったのは良いとして、その前だ。その前は去年の春か夏頃だっただろうか。就活と家族間のストレスが溜まっていたらしく、私は逃げ場を探すようにSNSで知り合った人たちと毎週クラブで遊んでいた。終電間近か過ぎくらいにハチ公口で待ち合わせをし、居酒屋で腹を満たしつつ酒を飲み、クラブの中でも酒を飲み、よく分からん人間たちと夜を過ごしていた。そんな夜の過ごし方をやっていたわけだが、根暗、コミュ障、妙なところで真面目な私の性格が邪魔をしたのか、そのストレスの発散方法が私には合っていなかったらしく、虚無感と謎の絶望感に襲われその人間たちとは連絡先やらSNSやらを全てブロック、削除し、今に至る。そんなことしなければ、渋谷は私の中のイメージはただの「スクランブル交差点があるとこ」「ハチ公がいるとこ」「センター街」みたいな、漠然としたイメージで終わっていたのに、「クラブ」「ナンパ」「虚無」「どこからか湧いてできてた絶望感」「私には到底理解しあえぬ人間たち」という何ともマイナスにマイナスを重ねすぎたイメージが定着してしまったため、苦手な土地と化した。それ以来、苦手だと思う漠然とした人間たちに顔を合わすことが無いよう、気をつかうように避けていた。まぁ用事も大して無かったしね。

だがしかし、今日、本日(2020年8月24日月曜日)なんとか克服したように思う。なぜ克服できたのか、私は別の面を見つめることができたからだ。今更ながら渋谷は良い本屋さんが多い。少し歩けば青山ブックセンターもある。
大都会の、喧騒と雑踏、人の欲望やらドス黒い感情やら、室外機の生暖かい熱風やら道の端っこに落ちている誰かのゲロやら、そんなことを無視するように、あるいは眼中に入っていないのか、興味ないのか、本屋さんはただただ、名作を揃え、新人作家もベストセラー作家も文学もエッセイも料理とか美術とか自己啓発本とか美容とかファッションとか健康とか、数多のジャンルをそっと抱き抱えるように、別世界を作り上げている。いや、創り上げていると言った方が良いか。変わりゆく町を見守りながらも、疲れ切った生活から逃げ場を与えてくれる。外は喧騒で溢れているのに、本屋さんへ一歩入ってしまえば、そこは紙の匂いがして、静寂がふよふよと漂っていて、いろんなしがらみから、別の、幸せな思考に手を引いて一緒に歩いてくれる。渋谷にあるからこそ、外と本屋の店内とのギャップがすごい。人間、ギャップに弱いからね。本屋さんに救われることはたくさんあるけれども、まさか、なんか苦手だった土地から救ってくれるとは。これはもう圧倒的感謝。


苦手だな、なんだかあの時は無理していたな、と、そういった記憶がシンクの水垢のようにこびついていた土地だからこそ、良いイメージで払拭しなきゃいけない。嫌な記憶をかき消すことなんて多分誰にも出来ないし、それなら自分でまた思い出なり良いところを発見すれば良いだけのことで。きっとこれは人間関係にも言えることで。そんな処世術を今更ながら発見だなんてさ、私も未熟だなと思っちゃうね。まぁ、遅いも早いも無いけどもっと前から知っていれば良かったなってね。それで、無意識にでもそういう思考回路になってくれたら良いよね。まぁ、克服することだけに注力するんじゃなくて、なんというか、ふとしたときにそういうのが出来たら最高だよね。とかなんとか思ったお話でした。では、また。

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