映画『The Witch 魔女』の、素人視点からの感想(ちょいネタバレ)



映画について実績のないシナリオライターの個人的レビューです。
『The Witch 魔女』は映画.comで3.7ポイント(2020/10/07現在)の高得点でした。
Netflixなどで配信されているので、一度観てみることを強くオススメします。



映画のあらすじ
組織ぐるみの能力開発によって特殊能力を得た少女は、あまりに過酷な実験から逃げ出し、通りがかりの農家夫婦によって育てられていた

大きくなると実験の副作用なのか余命宣告されてしまう。手術の費用を稼ぐためにテレビに出演。それがもとで居場所を組織に知られてしまう。
友人や育ててくれた夫婦を危険にさらさないため、少女は組織と戦う

……というのが主なあらすじ。



良かったところ
バイオレンスなアクションと、血にまみれながら笑顔を浮かべるキム・ダミの怪演

いやぁ、普通なら苦しみの表情とか浮かべるところをあっけらかんと殺戮を繰り返す様が、役柄とマッチしていて怖かったです。素晴らしい演技力なのではないでしょうか。


気になったところ
ストーリー面が気になりました。
特に3点について記載したいと思います。


【1】悪の組織について
そもそも何の組織で、何がしたいの……?

悪役の前後関係が見えてこないんです。

いや、そういう能力があれば戦争商売とかで儲けられるし、べつに語らなくてもいいのでは……と思うんですが、平和目的が暴走してとか、そういう背景があると悪役への説得力が増すと思うんです。

たとえば、『BLACK LAGOON』にも殺戮を繰り返す双子の姉妹(あるいは兄弟)のヘンゼルとグレーテルが出てきますが、彼女たちは無策な政治が生み出した孤児という悲しい運命がありました。

そういう悪役のストーリーが全くなく、ただ単に悪い奴らをしていてもなにも怖くないです。
組織が壊滅しても、だからなに……で終わってしまいます

……というか、この組織、主人公がテレビに出てくるまで探そうともしていなかったの?(死んでいたと思うなら、死体を回収するため探したりしなかったのかな。研究材料でしょ?)



【2】事件が始まるまでが遠すぎるし、冗長
組織が動きだし、主人公と接触するのが映画の中程です。
あまりにも遅すぎます。ハッキリ言ってしまうと半分、いらないです

とはいえ、そこで彼女が普段何をしているかとか、平和な部分を見せないと映画の説得力がなくなる……というのもわかります。

キャラへの愛着にもつながりますし、そういう場面は必要でしょう。
ただし、キャラクターを好きになってもらう日常シーンが必要です。

『ジョン・ウィック』という映画があります。引退した暗殺者が、病死した愛する嫁が残した子犬を殺され、その復讐のために再び銃を握るという話ですが。

彼が再び銃を握るまでには様々な葛藤があるのです。そこまでも面白く、殺戮マシーンになってからも面白い。

日常シーンでもそういった流れがないと人を惹きつけるのは難しそうです。
日常と非日常の切り替わりも遠くなかったと思います。
(すみません、確認しようとしたらNetflixの配信がありませんでした……)



【3】どんでん返しが唐突
ネタバレになるのであまり突っ込んでは書けないのですが、ようするに組織に追い詰められていたのではなく、おびき寄せていたのさ。
ということです。そんな伏線どこかにありましたっけ……と首をかしげてしまいました。

いや、たんに見逃していただけかもしれませんが、観客が違和感を持てない時点で伏線は伏線の意味を失います。

ラストは一気に強くなる主人公。
主人公を応援していいのか、組織を応援していいのか。
このクライマックスは、主人公に共感できないかなと。
もっと制限を付けるなりして、ピンチにすれば良かったのでは……?

薬物で神の力を手にするという映画『LUCY』でも、主人公への共感性はぶん投げていましたので、最近のトレンドなのかもしれませんが。



以上、素人のレビューでした。

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