見出し画像

マスコミと日教組の欺瞞④

前回の続きです。

※肩書などはいずれも当時(5年前)のものとなります
※該当先が削除されている場合を除き、可能な限りリンクも張っています

カンパの行方

 全国で行われることとなった「子ども救援カンパ」は、日教組のHPにある2009年(平成21年)6月3日付の記事を見ると、その使途に関する説明が次のようになっています。

=子ども救援カンパの使途=
「あしなが育英会奨学金」に寄付します。また、連合を通じて「保護者の厳しい就労状況等により学校へ修学できない子ども、外国籍・病気・障害のある子どもの支援」、「学生・青年に対する職業訓練、求職支援、障害者の作業所への支援」などを行っているNPO団体等へ寄付します。

 ご覧いただいてわかるように、あしなが育英会奨学金に寄付することを冒頭で謳っていますので、あしなが育英奨学金への寄付が主目的と判断されるのが普通でしょう。
 その一方で、「連合を通じて」以降に記された使途、そもそも、あしなが育英会や日教組などがメインとなって寄付金を募ったにもかかわらず、「連合を通じ」た寄付が行われることを謳っています。
 このことに疑問を抱かれる方も多いのではないでしょうか。

 参考のため、このカンパ活動がどのようなものであったか、2010年(平成22年)3月15日に開催された日本教職員組合第98回臨時大会での配布資料「子ども救援カンパ最終報告)」で確認します。
 その資料の2ページ目、「街頭行動・カンパ活動・中央集会のとりくみ」には次のよう記されています。

6月9日、「あしなが育英会」の街頭募金発祥の地、池袋にて本格的にカンパ活動を始めました。日教組中村讓中央執行委員長、あしなが育英会玉井義臣会長をはじめ、奨学生、あしなが育英会の役職員と日教組本部役職員など約100人が、学びたくても学べない子どもたちへの支援と連帯を訴えました。

 では、集められた寄付金の収入・支出の額や内訳は、どうなっているのでしょうか。
 大まかな寄付金の収入・支出の額や内訳は、日教組が公開している先ほどの資料「子ども救援カンパ最終報告)」の1ページ目にある通りです。

 さらに詳しい使途を、その資料の6ページで確認します。
 収入を見ると、あしなが育英会の奨学生も参加して実施された「街頭行動等」で集まった金額は64万円弱に過ぎず、95%以上が単位組合からの寄付となっています。

 義家弘介議員がWiLL2010年(平成24年)5月号に寄稿された内容によると、実質的には半強制的なものとして、全国の組合員一人あたり500円が、北教組では特別に1,000円が課せられていたことも付け加えておきます。

 文部科学省の統計によると、このカンパが行われた平成21年度の日教組加入者は約28万人です。
 ノルマの500円に加入者数を掛ける簡単な算数から、ノルマだけで約1億4,000万円になりますので、「子ども救援カンパ」の収入に占める単位組合からの割合が圧倒的となるのが当然であること、また、寄付金総額も予め分かっていたものと推測できるでしょう。

 次に支出を見ると、収入から振込手数料、本部と単組のカンパ宣伝経費として約430万円が引かれたあと、「連合・トブ太カンパ」に1億円、「あしなが育英会」に残りの約7,200万円が支払われていることが分かります。

 あしなが育英会への寄付を目的の冒頭で謳い、あしなが育英会会長の玉井氏や奨学生までもが街頭に立って集めた寄付金にもかかわらず、あしなが育英会に寄付されたのは総額の4割強の約7,200万円にとどまり、6割弱のちょうど1億円が民主党の支持母体の一つである連合に「連合・トブ太カンパ」の名目で支出されています。

 また、寄付で集めた全体額から見れば小さいかもしれませんが、「子ども救援カンパ」と題して集めた約1億7,000万円から、本部と単組のカンパ宣伝経費として約430万円を計上した中村讓委員長(当時)の感覚は、私には理解不能です。

 週刊新潮の記事によると、取材に応じた一軒の店だけで月に約100万円の飲み代を日教組の公費から支出しているだけでなく、昨年2月、日教組の人事委員会で1,000万円の使途不明金が問題になった際、「俺の支払いは大分県教組がもっている」と発言することで、前委員長の岡本氏は言い逃れたとのことでした。

 なお、連合に寄付された1億円の使途は、先ほどの資料「子ども救援カンパ最終報告)」の5ページ目で確認できます。

おわりに

 前回と今回の事例の中では「子どもの貧困」を煽る勢力を取り上げましたが、その中の一つにNHKを含むマスコミ(テレビ・新聞)があります。
 奇しくも、この文章をまとめていた2016年(平成28年)10月、中日新聞が「新貧乏物語(第4部)子どもたちのSOS」と題して連載していた記事の捏造が発覚しました。

 複数回に分けて紹介した前回と今回の事例を合わせて考えると、「子どもの貧困」を根拠に様々な活動を行っている大人たちは、自分たちのイデオロギーのため、子供たち、中でも特に厳しい環境に置かれている子供たちを利用しているとも言えるのではないでしょうか。

 ここまでお読みいただいた方には、マスコミの報道に疑問を感じておられる方も多いと思われますので、ぜひとも「日本マスコミ文化情報労組会議」のHPをご覧いただきたいものです。
 また、「日本新聞労働組合連合」の声明・見解、「日本民間放送労働組合連合会」の声明・報告、「日本放送労働組合(NHKの組合)」の委員長見解にもアクセスし、報道に携わる人たちによって組織される労働組合の実態を知っていただき、今後のマスコミによる報道を受け止める際の参考にされることを望みます。

終わり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?