マスコミと日教組の欺瞞③
前回の続きです。
※肩書などはいずれも当時(5年前)のものとなります
※該当先が削除されている場合を除き、可能な限りリンクも張っています
日教組が「あしなが育英会を利用?」
2010年(平成22年)3月19日、産経新聞に『日教組が連合に1億円寄付 子供救援名目、政治行為か?』という記事が掲載されました。
この件は、産経新聞の名物記者、阿比留瑠比氏の著書「決定版 民主党と日教組」にも『日教組が「あしなが育英会」に寄付するとしたカンパの使途』の小見出しを付けて、8ページ(222ページ~230ページ)にわたって記されています。
少し脱線して、あしなが育英会について紹介します。
あしなが育英会のルーツは、会長の玉井義臣氏らによる交通遺児を支援するための運動の中で1969年(昭和44年)に設立された、「財団法人交通遺児育英会」に遡ります。
玉井義臣氏らが設立した「財団法人交通遺児育英会」。今は、交通遺児だけを支援の対象とする「公益財団法人交通遺児育英会」と、災害による遺児らをも支援の対象とする任意団体の「あしなが育英会」に分かれています。
「財団法人交通遺児育英会」が二つに別れた理由の一つには、2012年(平成24年)6月13日の参議院予算委員会での西田昌司議員(自民党)と藤村官房長官(当時)の質疑から、交通遺児だけを対象としたい勢力と、災害などの遺児も対象としたい勢力の間で、内部に路線対立があったことが挙げられています。
質問に立った西田昌司・参議院議員の公式ユーチューブから、当日のやり取りの個所を参考に引用します。
また、国会会議録検索システムからも、「切り取り」とのそしりを受けないよう長目に、該当箇所を引用します。
○「国会会議録検索」システムより抜粋
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=118015261X02120120613¤t=48
○西田昌司君
それでは次に、あしなが育英会問題についてお聞きします。
官房長官、あなたは大学卒業されてからこの交通遺児の育英活動、熱心にされてきたと。ところが、衆議院議員になられてから、その母体である財団法人交通遺児育英会について再三質問されて、まあ非難をされてきているんですが、どういう経過があったんでしょうか。
○国務大臣(藤村修君)
突然で分からない方がちょっとありますので、ちょっと説明させていただきます。
(中略)
その後、別な団体で私は活動をいたしましたが、国会議員になりまして、その交通遺児育英会という財団法人が、ある意味では最近はよく言われる、天下り団体と言われますが、まだ当時はそういうことは余り言われていなくて、母屋でおかゆ、離れですき焼きというふうに、非常に政府から補助金を受けていた団体で天下りの方もたくさんいたんですが、大変その経営が、そういう意味では、その財団法人がある意味で不透明なところがあったり、そういうことを国会で追及をいたしました。
それからもう一つは、その財団は、つまり、交通事故はずっと減ってきました。それから、事故の保険金はずっと上がってきました。そういう意味では、対象とする遺児たちが相当減ってきているのは事実でありました。その中からまた新しい運動として、交通事故だけでなしに災害で親を亡くした子たちもいるじゃないか、その人たちに支援の輪を広げようということで、その財団の中で様々議論がされた、これは私が離れてからでありますが、そんな中で路線の対立というものが多分あったんだと思います。あくまで交通事故の遺児だけが対象とすべきだと。一方で、その奨学金を受けて大学まで行けた人もたくさんいて、その人たちがそういう財団に就職をして運動をしていた。そういう人たちの声は、一方で、自分たちはそういうことでの非常に奨学金を受けて、何とか大学までも行った人もいると。しかし、その他の災害の遺児たち、この人たちにもやっぱり光を当てるべきだと、こういう言わば路線対立が多分あったんだと思います。
そういう中で、私は、その遺児で奨学金を受けて大学まで行った人たちの応援団といいますか、その路線対立については、やっぱりそういうふうに広げるべきだという多分質問もしたと思います。
だから、二つの質問をしていると思うんですね、大きな流れでいいますと。一つは、天下り団体と言われて……
○委員長(柳田稔君)
答弁は簡潔にお願いします。
○国務大臣(藤村修君)
はい、済みません。
その財団の運営に非常にこれは、国の補助金もあるわけですから、ちょっとずさんなところがあるという質問、追及と、それからもう一つは、その路線の中でやっぱり広げるべきだという主張をしたかと思います。
以上です。
○西田昌司君
ちょっと、質問をされたのはそういうことじゃなかったと思います。要するに、天下りだという形でお金を何かたくさん取っているみたいに言われていたんですけれども、事実はそうじゃなかったと思いますし、今言われたように、その要するに補助金で運営しているんじゃなくて寄附金で運営でしょう。ちょっとそれは訂正された方がいいんじゃないですか。
○国務大臣(藤村修君)
この財団、よく調べていただくと分かると思います。当初は、多分運輸省だったと思いますが、自動車事故対策費という形で補助金が助成されていたということはございました。
○西田昌司君
この話、話すと長くなるのでやめます。
それで、要は何が言いたいかというと、今路線の話言われましたね。そこなんですよ。
事務方に聞きますが、要するに、財団法人がこの寄附行為に係っているその事業をしますね。ところが、今官房長官言われるように、違う形でやっていこうと思うと、これは財団法人でできないんですよ。そういう規定になっているんじゃないですか。
○政府参考人(駒形健一君)
お答えいたします。
公益法人は、定款に定められた目的の範囲内において公益目的事業などの事業を実施する必要がございます。公益認定に当たっては、行政庁が公益目的事業の内容を始めとする申請内容を審査し、公益認定の基準に合致するときはその認定を行っているところでございます。
したがいまして、公益法人が申請し、認定された事業以外の事業を実施しようとする場合には、行政庁に変更認定の申請又は変更の届出を行う必要があるところでございます。
仮に変更認定の申請や変更の届出が行われなかった場合には、公益法人認定法違反として、勧告、命令、公益認定の取消しの対象となるほか、罰則についての定めがあるところでございます。
○西田昌司君
今言われましたように、財団法人ができないんです。だから、官房長官がおっしゃっている話は、路線対立と言われているけれども、要は、法令どおりやろうとするとできないわけですよ。それを、できる方を応援するということをあなたはおっしゃったわけです、目的外に。おかしいんじゃないですか。
○国務大臣(藤村修君)
今事務方からも答弁がありましたように、すなわち寄附行為の変更をするしないという、まさにそこが議論の中心であったと思います。
話をこのページのトップにある記事に戻し、2010年(平成22年)3月19日の産経新聞の記事にある、前日の18日に参議院予算委員会で義家弘介議員(自民党)が取り上げた、あしなが育英会と日教組が2009年(平成21年)に合同で行った募金活動について紹介します。
この件については、【あしなが育英会を利用?】の小見出しもある、義家弘介議員の「WiLL 2010年(平成22年)5月号」への寄稿をご覧ください。
○アンタッチャブル日教組(WiLL 2010年(平成22年)5月号)
http://www.yoshiie-hiroyuki.com/pdf/will2010_5.pdf
見出しに「子ども救援カンパ最終報告」とある資料から分かるように、日教組は2009年(平成21年)3月17日に開催した第152回中央委員会で、「困窮、困難な環境・状況にある子どもとその家庭支援につながるよう、とりくむ」ことを決定し、全単組をあげて「子ども救援カンパ」を展開しました。
その中央集会では、日教組の中村讓委員長、日本PTA全国協議会の曽我邦彦会長の他に、あしなが育英会会長の玉井氏、あしなが育英会から奨学金を受けている二人の学生が登壇して「子どもの貧困」を訴え、全国の日教組でカンパ運動が行われることとなりました。
今回は以上です。
次回に続きます。
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