2023.2.18
私は完全に感情的に行動していた。
何かを買うまでは、一晩考えを置くタイプだ。
今回も同じように、前日の夜も諦め半分過ごし
きれなかった、今日は。
画面には譲られたチケットQR、すでに送金済みのpaypay、私は今電車に揺られている。
思い返せば好きなバンドも追いかけていかなくなり、初武道館が中3でネット友達と行ったことが懐かしい。
この一瞬は二度と訪れないという衝動で、体が反射的に動いていた。
東京を出る1ヶ月前、やりたいことは全てやっておきたいと思っていた。
高校の時に貸したCD。そこからどっぷり聴き込んでいて私の方が先に聞かなくなってしまった。一種の嫌悪感、独占欲から。「好きなバンドがメジャーデビューして遠い存在に〜」的なアレ。曲を聴くと君を思い出してしまうから、そんなものはたかが高校生の思うことで、どうして強がってしまったのかと今だから思う。
君のストーリーが上がった。
私のものと似ていた。
まさか同じ日だなんて、運命だと思った。
開演しても、歌詞は私達のことにしか聞こえない。ライブ中のMCも、終わったら気持ちを伝えるんだ!!!と励ましているようにしか聞こえない。私は主人公、味方はたくさん、伝えるなら今日、胸は高まる一方。
ライブが終わると1年ぶりの君の姿。髪は伸びて、でも中身は変わらなくて君は純粋に楽しんで、コピーバンドをやっていて。こんなに人生を変えてしまったなんてと笑う。
それどころではない私がうざくて、勇気を振り絞って、少し散歩しない??って言ったものの、言いたいことはまったく言い出せない。すぎてく時間、もはや散歩も出発地点まで戻ってきてしまった。
あゆみは自然と駅へ戻る。悲しい。
改札で別れる。ホームへ入っていく。
これでいいのか?
今しかない
自分だけには嘘つきたくない
改札を引き返して地上に出ても
もう君はいなかった
ああ、本当にさよならなんだ
しょうがないんだ、タイミング悪い
そう思いながら電車に揺られ帰路に着く
なんて意気地なし、失うものもないのに
どうにかなりたいなんてなくて
ただ伝えたいだけだったのに
そんなところへ君からの連絡。直接言いたかったことがあってと言うと、
いつも通りの「ごめんね」「そうなんだ」
ああ、もう伝えることすら遅かったんだ
タイミングが全てなんだ
こんなにもすれ違い、引き寄せられて波のように動いているのに、君とはすれ違ってばっかりだ。
「バンド頑張ってね!応援してる!」
これを最後の言葉にして、私は呪われるのだろう。好きなバンドを聴くと君を思い出す、今日のことを一生忘れられない、苦い思い出として心の端に死ぬまでひっそりと置かれるのか。なんでもない瞬間にまでふと思い出してしまうんだろうか。
たぶん、きっと、本当にさよなら。
「ありがと〜、お互い頑張ろうね」
翌朝届いたラインは見ずに消したよごめんね
涙は出なかった、ただ日常に戻るだけ
はやく私も手を離せますように
綺麗さっぱり終わらせられますように
笑っていこう、人間は鏡だから
絶対大丈夫、私は主人公だから
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