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【ショートショート】ログインボーナス/憂杞

ログインボーナス 『ログインボーナス』という単調な名のゲームアプリをかれこれ十日続けている。こいつを一日一回ごとに起動すると、特に使い道もないアプリ内ポイントが一ずつ貯まっていく。それだけ。本当にただそれだけの、ゲームと言っていいかすら怪しい代物だ。スマホで手軽な癒しを求めてアプリストアを漁っていたらこいつに行き着いたが、起動後に画面に映されるのは白無地の背景と、中央に黒のわびしいゴシック体で小さめに書かれた「10P」の横文字だけ。そのくせなぜか十八歳以上の年齢制限があるか

    • 【短編小説】夜なき人狼/憂杞

      夜なき人狼  この世界は夜を失うことに成功した。あらゆる大陸の名高い魔術師達が捧げた命と、幾百年という歳月の結晶である『第二の太陽』によって。  第一に相当する直径と光度を持ち、対極から付き従うかたちで周回軌道を辿り続けるもう一つの球体。それは、ただ夜を失くすためだけに創られた特殊な発光体だ。第一の太陽が西に沈むとき、同時に第二の太陽が東から昇る。その繰り返しにより世界全域で朝と昼が、つまり夜のない時間だけが絶え間なく循環するようになった。  今も、午前零時過ぎという、十五

      • 回文短歌まとめ(~2024/05/23)

        力無く来が世界の召し待つ魔 標の日枷がひらくなら勝ち ちからなくらひがせかひのめしまつましめのひかせがひらくならかち (2023/4/13 #うたの日 散々な目に遭いながら一首) . 泣くならば顔に隠る夜 実り色に燃ゆる花器の赤薔薇抜かん na ku na ra ba ka o ni ka ku ru yo mi no ri i ro ni mo yu ru ka ki no a ka ba ra nu ka n (2023/5/16 #うたの日 題『色』で回文短歌)

        • #文披31題 参加作品まとめ(短歌)

          こちらの企画に短歌で参加させて頂きました。 (※連作というわけではありません。) Day1. 黄昏が過ぎれば明日も日は昇る微々たるセルの死と引き換えに Day2. よろしくね屋台でぼくを掬ったきみ夏が過ぎたらポイはやめてね Day3. パンはパンでも食べられないパンが今この腑に落ちた 銃声と君 Day4. かしましや窓打つ雨のおとの間に軒より落つる汗を聞きたり Day5. 月もいつかそうなるだろう見下ろせば線香花火  音もなく Day6. 文道の最先端で往ぬ僕は筆

        【ショートショート】ログインボーナス/憂杞

          活動サイトまとめ(※随時追記予定)

          Twitter(雑多アカウント。雑談、作品情報など) https://twitter.com/MgAiYK カクヨム 掌編集、短編ほか うたの日 短歌(「🔎憂杞さんの短歌をもっと見る。」より過去作を閲覧可) エブリスタ 「超・妄想コンテスト」参加用短編 ステキブンゲイ 「この一文に続け!」参加用短編 pixiv 「日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト(さなコン)」参加用短編 TapNovel(ビジュアルノベル) 名義:木蔦木憂杞 「TapNovelゲーム小説大

          活動サイトまとめ(※随時追記予定)