#文披31題 参加作品まとめ(短歌)

こちらの企画に短歌で参加させて頂きました。
(※連作というわけではありません。)

Day1.
黄昏が過ぎれば明日も日は昇る微々たるセルの死と引き換えに

Day2.
よろしくね屋台でぼくを掬ったきみ夏が過ぎたらポイはやめてね

Day3.
パンはパンでも食べられないパンが今この腑に落ちた 銃声と君

Day4.
かしましや窓打つ雨のおとの間に軒より落つる汗を聞きたり

Day5.
月もいつかそうなるだろう見下ろせば線香花火  音もなく

Day6.
文道の最先端で往ぬ僕は筆ではなくて指を折ります

Day7.
短冊の願いはつどい星になる夢と現の鵲橋になる

Day8.
今の世も異状はないと重力に諭されているサラサラサラと

Day9.
詣でゆくわれらへ御手をふり扇ぐ足なき巫女のような葉柳

Day10.
透明なままにただようさみしさに幽けき触手を掴んで離す

Day11.
木の陰を重ね合わせた場所にいる幹の一つに背中あずけて

Day12.
スイカバーに馴染みし吾子と切り分けた赤き霙のかたまりを食む

Day13.
増税の世に求められ生まれゆくクローン前島密1円

Day14.
晦冥にやがて溶けゆく黒猫は撫するわたしをあまやかに殺す

Day15.
なみなみに願いを注げ 溢れても波はかなたへ雫を運ぶ

Day16.
きいきいと子供が揺れるちさき吾が漕ぐより錆の増えたぶらんこで

Day17.
『僕』として生まれてバッドエンドへと落ちゆく僕の名前は『勇気』

Day18.
この海が群青に見えるまで深く沈んできみは愛に溺れた

Day19.
倒れたるわれの身に沁むその味を氷五つで薄める猛暑

Day20.
おおいなる入道雲の夕立に綿菓子はみな溶けてなくなる

Day21.
短夜に光るてんびんの傾きを見よ隣の国燃やさずに

Day22.
さよならの言葉とともに受け取った黄薔薇は今も枯れていないよ

Day23.
闇もまた太陽なのだ夏空にムーランルージュの輝きを見る

Day24.
振動を枕に押し付けた口から感じるだけの深夜二時希死

Day25.
曇天の雲はみんなの羽毛布団『きらきら星』も今はお休み

Day26.
幸福になると飽きられ今までの僕はライブ標本だったかと

Day27.
みずでっぽう打ちまくってたポッチャマが真っすぐ放つバブルこうせん

Day28.
言わないわ貴方と飲んだシャンパンの泡が人魚姫だったなんて

Day29.
ざぎざぎざぎざぎざぎざぎ詐欺集団口を揃えて言葉濁して

Day30.
『冷やし中華はじめました』の貼り紙をいきなり貼ったみたいな猛暑

Day31.
林檎飴のあかりに釣られる蛾であった僕も自由に飛べた夏祭り

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?