雨の日には冷えたスプーンを一てくてくてく一
※お立ち寄り時間…3分
散歩が好きだ。
気分が上がらない時
心がどうしようもなく揺らぐ時
早起きしすぎてしまった時
まだ、夜更けと夜明けの間ぐらい
身体の線がくっきりと見えるような、1番空気が眩しい時間に歩く。
てくてくてく、と。
まずは、自然の多い道を、前に進む。
見たことのない鳥や花々、朝靄、朝日が凝り固まった心を癒してくれる。
とつとつと、1日の始まりが本を開くみたいにだんだんと見えてくる。
次に、住宅地を歩く。
なるべく沢山の家が立ち並ぶ住宅地だ。
ひとつひとつ作られた家をぼんやりと眺める。
この家は、暖炉があるんだな。
レクサスに初心者マーク、随分と背伸びしたな。茶室ほどの小さな扉は、一体何に使うんだろう。
丸い窓から猫が覗いていたり
朝起きかけの子どもがボーっとこちらを見ていたり。
毎日、同じ道だとしても、下を向けば道路の模様が、上を向けば色とりどりの発見がある。
帽子のつばをグッとあげれば、見えなかった景色が広がっている。
特に、同じ時間に散歩を続けていると、犬の散歩や同じように散歩をしている人に出会う。
「おはようございます」
と声を掛け合うだけで、心が少しずつ温まる。
はじめましてから、毎日会うたびに、少しずつ会話が増えていく。
会えなかった日は、どうしてるかな、なんて寂しくなったりする。
ただ、歩くだけ。
それだけでも、楽しみになる。
散歩した理由が綺麗さっぱりになる。
人生は、そんな些細な仕合せで溢れている。
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