in the sea Vol.3「みなそこ」「しおかぜ」
不定期発行ネットプリント「in the sea」のVol.3を発行しました。
今回はエッセイ的な雑記1本と詩1本を載せています。
全国ファミリーマート・ローソン、セブンイレブンにあるコピー機のネットワークプリントを選択してコピー可能です。
今回よりセブンイレブンでもコピーできるようにしてみました。最寄りのコンビニ、お好きなコンビニでコピーしてくだされば幸いです。
〇ファミリーマート、ローソン
ユーザー番号:K2FZYZBCFX
期限:10/7(金) 15時
〇セブンイレブン
予約番号:7S9YTXJ9
期限:10/7(金)23:59
用紙の設定は登録の際にこちらでしてありますが、普通紙/A4を選択、モノクロ・カラーはご自身でお好きなほうをお選びください。どちらでも読み物としての差異はありません。カラーでは文字色がついています。
以下全文公開しておりますので、コピーなしでもお楽しみ頂けるとうれしいです!
みなそこ
ずっと、水の底にいる気分です。ずっと、もう何年も前から。
いつまでも深いところで動けずにいて、まわりはみんな浮き上がる方法を知って行ってしまった。置いて行かれた。そう思うことすらエゴなのだと思う。このまま溺れている方がきっと楽で、何とも競争しなくて済んで、何にもならなくていい。海の底から這いあがる気力はそのとき無くって、もがこうともしなかった。
私は何年も沈んだまま、静かに泡だけ吐き続けていました。だれもが深い海の底に私を置いてきたことすら忘れてしまっても、浮き上がっていった人たちのもとへ泡だけは吐き続けました。もがけない私の抵抗だったかもしれない。いまゆっくり、その泡は海面へ届いている気がする。私のことなんて忘れてしまった人たちがその泡を見て、知っているような知らないような、何かが思い出せそうなそうでもないような、そんな気持ちにしてやりたい。だから私はこのまま浮かび上がることはしないで、水底から、あなた達を引きずり込む算段をずっと、ずーっと考えています。あなたの心を海の底まで。
𓂃𓈒𓏸
しおかぜ
ぼくの吸いかけのたばこ、
君ひとくち噎せもせずぷかっとふかして
「おいしくないね」
って微笑んだ
きれいな横顔だった、きれいだったから、言えなかった
本当は、吸ったことあるんでしょ
「そうかな」
ぼくの返事にもならないつぶやきは
潮風にからめとられてゆく
手の中に残った君の吸いかけのたばこ、ひとくち
「そうかもね」
隣できみ、いつまでもきれいだった
不定期発行「in the sea」Vol.3
発行 2022.10.1
制作 青海七
気が向いたら、どうぞ。そこまでの感情にさせられたなら嬉しいです。