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沈黙をコントロールする~言いたいこと/言うべきこと~


教育者や子どもの支援にあたる私たちは、子どもの不適切な行動を見つけるとすぐに中断させたり戒めたりしてその場を収めようと行動が先行してしまいます。そして訴えかけることが誰かに対して危害が加わるような場合はこうした対応が求められますが、そうでない場合は静かにその行動を落ち着かせる必要があります。

そこでコミュニケーションの中で意外に重要な役割を持っているのが会話と会話の「間」であり、ちょっとした沈黙の時間です。
これは自然に生まれる「間」とは異なり意図的に作り出すことで、支援者の意図を伝えやすくなる効果があります。沈黙の方法と活用できる場面を紹介しますね。


沈黙の基本
➀ 4~5回はしっかり反応する
➁ 徐々に反応のパターンを薄くしていく
➂ 子どもの言葉に(正面から)反応しない
④ 沈黙を始める前に一声かける「反応しなくなるけど・・・」
⑤ ポジティブな沈黙/ネガティブな沈黙を使う
⑥ 10秒程度
⑦ 表情をくずさない

これらの基本ルールに基づいて、それぞれの場面ごとに沈黙の方法を記します。また、これらの場面は、会話の注意が教育者や保護者に向いていることが原則です。
また、2~4歳に見られるような注目を浴びるための反復言動に対する対応は2を参考に、そして叱責したくなってしまった場合は3を参考にしてください。

1) 子どものテンションが上がりすぎる場合
遊びすぎたりはしゃぎすぎたり、自分の気持ちが上手にコントロールできないうちは自分の力で落ち着きを取り戻すことが難しい場合があります。
遊んだり楽しい思いを持つことはとても良いのですが、しかし行き過ぎた言動や大声は時としてこらえる必要があります。誰かの耳元で大声を出してみたり大勢が食事している前で楽しく「うんち!」なんて叫び続けたり。


2) 同じセリフ、言葉が繰り返されその反復性を楽しんで止まらなくなる
その言葉が本人にとって面白すぎたり反復すること自体が楽しくなっている場合です。初めのうちは一緒になって楽しむことができるのですが、次第に聞いている側も疲れてきてしまい、それでも同じことを繰り返されるのは時として大きなフラストレーションになります。
一方で「ちゃんと反応してあげないといけないのではないか。」という葛藤もあるため対応に苦慮することもあるでしょう。
前提として、沈黙は無視とは異なります。無視ししているように見せて、実は気にかけていないと沈黙を終えるタイミングが分からなくなるからです。 
必要があれば「今後、僕はあなたの繰り返される台詞に完全に反応しないけど、そのときは新しい話をしてくれることを楽しみにしているよ。」などと伝えておくと良いでしょう。全部を聞いてあげられないときもあるけれど注目しているから安心してほしい、ということを伝えてあげてください。

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