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スモールステップの作り方~目標を階層化する~

こんにちは。ゴールデンウィークも明けて少しずつ暖かい空気が日常のようになってきました。
放課後等デイサービスもすっかり前の雰囲気を取り戻しつつあり、一方で対策もしっかり行ったうえで元気に営業中です。
また、ホームスクーリングもうがい手洗いなどの対策を行いつつ学習のパートナーとしてなじみつつあるようです。まだまだ大変な時期は続くかもしれませんが、1つずつできることを増やしていきたいところです。

さて、今回はスモールステップの作り方を中心に、学習サポートの方法を考えてみましょう。

皆さんは何か目標を立てたことがあるでしょうか。それは些細な目標でも大きな目標でもかまいませんが、学校で「目標を立てること」を教えられてもどのように目標を作ったら良いのかについてはあまり教わりません。

そもそも目標とは達成するために立てる計画であり、「できるかも?」と思えるかどうかが重要です。

この目標の立て方は実際にチャレンジして徐々にレベルを合わせられる人もいますが、立てた目標が高すぎる、あるいはその目標をすぐに諦めてしまうというのが多いパターンではないでしょうか。

これは子どもも同じで、特に発達特性のある子にとって目標を立てること、そしてその目標に向かってチャレンジすることというのは簡単なことではありません。
それは「目標を立てる」ということは「計画性を考える」ということと等しいことであり、「目標に向かってチャレンジする」ということは「感情的動きや感情の統制を伴う」ということと等しいからです。
しかし計画性も感情統制もはじめからできる子はいません。さらに感覚過敏やまだ感情統制がうまくできない中ではこうした目標立ては誰かのサポートがあってできることです。そしてその目標立てはなるべく具体的に、そして達成しやすい目標からチャレンジしがいのある目標であるのがちょうどよいです。


スモールステップの組み立て方ですが、積み重ねとは最終的に到達したい目標があってできる方法です。そのためはじめに1つ、本人にとって最もメリットのある目標を立てましょう。
これは確実に本人の了承の上で設定されるのがのぞましいので、突然始めないようにしましょう。それがたとえ4歳、5歳といった年齢であってもです。しっかり伝えた上で始めるのが良いです。

私は授業の中で認知機能にまつわる言葉をよく用い、それを目標にすることもあります。例えば「正しい推論をする」という目標を立てた場合、スモールステップに刻むと以下のようにしました。
ステップ1 文章をじっと読む
ステップ2 文章の中から大事だと思うところを発見する
ステップ3 文章の中から大事だと思うところを見つけ、どうして大事なのか説明する
ステップ4 本当に(一般的に)大事なところを見つけ、自分の答えと比べる
ステップ5 両方の答えを受け止める
ステップ6 両方の答えを受け止め、正確さを高める
ステップ7 そうなった理由を考え、その次に何が起こるかを考える

となります。これは抽象度が高く元々「推論するのは楽しいことだ」という練習を行った上で臨んだ目標ですが、認知機能を目標にすることもできるのです。

今度は生活目標に沿ってみましょう。
生活目標を「きれいに片づける」にしたとしましょう。その中には以下のようなスモールステップを考えることはできないでしょうか。
ステップ1 ゴミをごみ箱に捨てる
ステップ2 遊んだ後のニンテンドースイッチを片付ける
ステップ3 遊んだあとのおもちゃを片付ける
ステップ4 食べ終わった食器をシンクに運ぶ
ステップ5 毎食後に食器を片付ける

などのように組み立てることができます。つまりきれいに片づけるといってもどれから手をつけたら良いのか分からないため、より一層分かりやすい形で示してあげることで行動を促すことができるのです。

こうしした目標設定を立てる際にはいくつか注意点があります。
まずは立てた目標以外に多くを求めないことです。自傷他害のおそれがあるときはやむをえませんが、せっかく立てた目標があっても結果として多くを求められてしまうと目標を立てた意味がなくなってしまいます。目標を立てた際はその目標注力するようにしましょう。
また、できたときに「やればできるじゃん!」というようなことを言うのはやめましょう。これは「今までやってこなかった。」ということを暗に示してしまいます。場面によってはこうした言葉も有効に働くことはありますが、目標あくまで「これまでできなかったことをできるようになる。」ものです。やればできる、ではなく○○することができるようになった、と伝えてあげましょう。

大事なことは具体的に、そしてできるところからです。

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