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【ひきこもり】 彼が絶対に言わないこと。

以前、ひきこもり息子はこの大仏に似ている、と書きました。
髪型、ぽてっとしたクチビル、このあたりがソックリ。
奈良の大仏様ってモデルの本来の肌の色は? 国籍は? 
息子はアフリカ系ジャパニーズ。つまり、父親はアフリカの方です。
この外見的な特徴がいじめや現状のひきこもりにも無縁ではないと。
やはり、そう思ってしまいます。

子どもは親を選べない・・・と言いますが。容姿だって、選べないわけで。
生まれる前から、負の重荷を背負わせてしまったわけで。
やっぱり彼には何の責任もなく、私のせいでしかありません。
親の勝手で押し付けられたものを無条件に受け入れることだけを強いられ、その特徴をプラスに活かしてもらえなかったことにも申し訳ない気持ちしかありません。

強く生きて欲しかった。

差別や偏見に負けず、それを跳ね除ける強さを。お金や権力に頼るのではなく、自分自身の知恵で生き抜く賢さを。そう願い続けてきました。
でも、願うだけではなにも届けられなかった。そりゃそうですよね。

これまで一度も、彼の口から「容姿のことでいじめられた」と聞いたことはありません。
「なぜ、こんな外見に産んでくれたのだ!」と責められたこともありません。

まだ手を繋いで歩いているころは、私がいれば人種差別の言葉を投げつけるような人はいませんでしたが、好奇の目、意味不明な英語での話しかけは数知れず。
保育園の先生はよく、「ヤメて!って言えない姿を見ていると、こちらが腹が立って割って入ってしまう」と言ってくれました。
大人の見ていないところでは、なにがあったか、想像もできません。

でも、彼は一度も「肌が黒いといじめられた」「髪の毛を笑われた」と私に言ったことはありません。
もう、ずっと小さなころから、親に気を遣ってくれていたのか・・・。
筆箱によく、真っ二つに折れた鉛筆が入っていたこと。消しゴムが「どんだけ無くなるんだ!?」と不思議に思ったこと。ランドセルの蓋が「こんなところから千切れる?」と思う部分が取れて修復不可能になったこと。
どれもこれも、彼はなにも言い訳したことがありませんでした。

小5、6年のころの担任はとても熱心で、小6の夏休み明け、
「やっと、いじめられているって話してくれたんですよ。原因の子が謝って、もうしないと約束してくれました!」と興奮しながら報告してくれたことがありました。
あんなにいい先生にさえ、心を開くまでに1年以上かかった・・・。それは、先生にはいじめの現場を捉えることは難しく、本人の口からはなかなか「いじめられている」と言ってもらえなかったからでした。

外見のことも、発達障害のことも、彼には他の人とは異なる要素がありすぎて、
しかも私には何ひとつフォローできておらず。
時間と共に、すべては解決できていたのかと思っていました。

高校時代は人気のパフォーマーに似ていると、そこからあだ名をつけられ、その高校では成績も優秀で。卒業後に送られてきた卒業アルバムにも優しいメッセージが添えられ、差別や偏見を微塵も感じるところがありませんでした。
それでも、全く何もなかったわけではないでしょうね。

大学入学時、ちょっとしたメンタルチェックが行われていました。
その用紙を見て、「他人の目が気になる」にマークされていたのを覚えていますが、「そうだよな」とスルーしてしまった・・・。

なんで私は、安心してしまったのだろう。
どこで彼は、ひきこもることを決心したのだろう。
彼だけが4年も、独自の緊急事態宣言を続けていると見るべきなのか、本当にひきこもっていることが一番居心地が良いことなのか・・・。
なぜ、なにも言ってくれないんだろう? 

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