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君をみつけた

仙台駅の高架歩道橋。空は真っ白だった。
ガラガラとキャリーケースをおしながらどんどん鼓動がはやくなっていくのがわかる。時計の針は12のところに重なっていた。

1年4か月会うことが出来なかった。お互いの環境とコロナ社会での隔絶。
「僕たちってこのまま会えないのかな」「いつ携帯から出てくるの」
なんて
僕たちの普通は携帯から聴こえる声とビデオで見える顔だけ。お互いの目を見てお互いの手に触れ、体温を感じ、笑い合うことができればどれだけ幸せかずっと考え生きてきた。

それが今日現実になった。

高架歩道橋の上、下はバスターミナルになっていた。僕はバスで来ると言っていた彼女のことを探し、何台ものバスに目を向ける。ショートカットの少し色が抜けてきた茶色で、服はどんなだろうか。彼女のことを探したくて僕は今日の服装をわざと聞かないでいた。
ドキドキしたくて、ワクワクしたくて、感情の高鳴りを味わいたくて、、

「いずみ!!」

遠くから一目散に走る女の子。髪がぐしゃぐしゃになろうと構わず、どれだけまわりが振り向こうと目もくれず、ただ一点を見つめて。

一瞬だった。時間にすると10秒もないのかもしれない。でも僕は確かにこの1年4か月のことを思い出し、時が止まるほどの感覚に襲われた。会えなかった寂しさ、抱きしめられない苦しさ、辛い時にそばに居てあげることの出来ない焦燥感。

そんなものどうでもいいと思えるくらい「この時のために生きていた。」

初めて目と目を合わせた時のこと、初めて手と手を合わせた時のこと、君の温もりを感じたこと。絶対に忘れない。

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