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私が撮影で使っているアプリを紹介します

はじめに

まず前提として、私はライフワークとして鉄道写真を撮影しています。

一口に鉄道写真と言っても様々な撮影スタイルがありますが、私のスタイルはInstagramや、ここnoteで執筆しておりますマガジン「10年前の鉄道写真」で掲載しているような車両にスポットを当てたもので、同じ趣味者のあいだでは俗に編成写真とカテゴライズされるもの、もう少し戸口を広げて言うならば鉄道のことを扱った図鑑などでよく見られるような絵の写真を撮影しています。

なのでこれより先は、この前提条件の説明を省略するため、本記事ではいわゆる編成写真と呼ばれる絵の写真のことを鉄道写真と定義して進行させて頂きます。

写真を撮影するときの条件というのは被写体により様々だと思いますが、鉄道写真は撮影の自由度がかなり低いほうであると私は考えます。
これはあらかじめ敷かれたレールの上を決まった時間、決まった方向に向かって走るという鉄道における根本から避けられないことで、翻せば自分が撮りたい絵が撮れるように光源をコントロールすることが不可能であるということです。

ポートレートなどであれば逆光であってもストロボを焚いたり、レフ板を使った照り返しで影を薄くしてあげたりできますし、そもそも相手は人間ですから、立ち位置を数cm移動してもらうとか、いい絵を撮ることができる環境に被写体を持っていくことができるので、自然光下においても自由度が高い撮影ができます。
これは自動車やバイク、自転車など他の乗り物でも同じことが言え、自分に所有権があるものならば、被写体をいい環境に自分で持っていくことができるのです。

対して鉄道車両はどうでしょうか。

先述したように鉄道というものは、あらかじめ敷かれた線路の上を、決まった時間、決まった方向に向かって進む、長く巨大な乗り物です。
例えば「ここのロケーションが良いから何月何日の何時に来てほしい」というリクエストはもちろんできません。
光源も太陽光しか無いので、例え撮りたいスポットが自分が望む光線で無かったとしても被写体に振り向いてもらうことなど当然不可能。
レフ板を使ったライティングなど被写体があまりにも大きすぎて個人レベルの撮影では現実的ではありません。
ましてやストロボ(フラッシュ)の使用は列車の最前で車両をコントロールする乗務員さんの視界を塞ぐ行為であり、絶対にやってはいけません。

このように鉄道写真というのは「自分が撮りたい絵を撮影することができる環境に自分が居なければならない」という意味で、撮影の自由度が非常に低いのです。

このため私が鉄道写真の撮影するときは、撮りたい車両が走る時間を可能な限り把握して撮影場所を選定し、唯一の光源である太陽が被写体に対していい具合に当たる時間を事前に割り出してから現地に向かうというのが基本です。

前置きが長くなりましたが、本日の記事で紹介するのはそのルーティーンにおいてよく使用しているアプリです。

無料部分ではアプリの紹介を、有料部分ではアプリの機能をどのように活用しているかを記述しています。

すべてiOSアプリの紹介です。

Androidに関しては私の手元に環境がなく、私が普段使っている機能が同じように活用できるのか検証できないので掲載いたしませんが、「こういう機能を使用してこういうことをしている」というあたりでアプリを探すヒントになりましたら幸いです。

また有料部分で解説するアプリの活用方法については、率直に申し上げてあまり革新的なことは書いておりません。
AppStoreに掲載されているアプリの説明を読んだ段階で、どういう風に活用できるのか推察できたというような場合は、読まなくても問題ないと思います。

また有料アプリや課金によって解放される機能を使用している場合もあります
アプリのインストールや機能の使用にあたってはAppStoreやアプリ内の説明をよく確認いただくようお願い致します。

紹介したいアプリの一覧

ここから先は私がこれら四つのアプリを普段どのように活用しているかについて書いています。
興味を持っていただけましたら、是非お買い上げをお願い致します。

アプリの活用

サン・サーベイヤー(Sun Surveyor)

一言で言うと太陽と月の位置(方位・高度・時間)を予測することができるアプリで、光線状態を読むのに使用しています。

鉄道写真の撮影において最も多用される光線状態は順光です。
要するに撮影者の背後に太陽があり、列車の前面と側面にべたっと光が当たっている光線状態のことを指します。

太陽は東から登って西に沈んでいきますから、ものすごく大雑把に考えると、地図を開いて北を上に見て半円をイメージし、地平から太陽が顔を出したときの角度は時計で例えると3時頃であり、そこから時計回りに進んで6時の位置が正午、9時頃の位置になると沈んでいくということになります。
この基本的な動きを押さえておけば、地図を見るだけでおおよその光線状態を読むことが可能です。

一例として、近鉄大阪線の有名撮影地、恩智〜法善寺の図を見てみましょう。

北から南に向かっていくのが伊勢方面行きの下り列車、逆に南から北へ向かっていくのは大阪方面行きの上り列車です。

先ほど説明した太陽の動きにあてはめてみると、この撮影地のように線路が南北に向かって敷かれている場合は、下り列車が主な撮影対象であり、午前は線路の東側から、午後は西側に立つと車両を順光で撮影できることが分かります。

以上を踏まえて同地点で午前と午後それぞれで撮影した写真を見て頂きましょう。

午前8時頃に線路の東側から撮影した写真がこちら↓
(立ち位置は地図上と若干異なります)

午後4時頃に線路の西側から撮影した写真がこちら↓

いずれも11月頃に撮影した写真です。

このように光線状態というのは実は地図を見るだけである程度の見当がついたりするのですが、太陽の動きというのは厳密に言うと年間を通して一定では無く、陽の長い夏至の時期と、反対に短い冬至の時期では全く異なります。

先ほど太陽の動きを簡単に説明したとき、時計で例えると大体3時の角度が日の出で、9時の角度が日没というようなお話をしましたが、夏至となると日の出は早くなり、日没は遅くなり、太陽の角度もきつくなって日の出が2時の角度、日没が10時の角度になったりしますから、夏場の同じ時間、同じ場所に立ったとて、太陽の角度は側面を正面にした位置にあり、同じ光線での写真は撮れず、前面が影になって真っ黒な写真になってしまいます。

これを踏まえると、今回例に出した恩智〜法善寺間の場合、夏のあいだは撮影に適さず、冬の光線に適した撮影地であることが分かります。

このような微妙な光線の読みを可能にするのが「サン・サーベイヤー(Sun Surveyor)」というアプリです。

このアプリでは撮影予定のポイントを地図で表示し、日付と時間を指定することで被写体となる列車が通過する時間帯に太陽がどの角度にあるのかを図で分かりやすく表示することが可能で、アプリに表示された図を見ると前面と側面にどの程度光が当たるのか推測することができます。

太陽がどの角度にあればどのような日当たりになるかは、太陽が低い位置にあればあるほど車輪や床下機器の隅々にまで光が当たり、高い位置にあればあるほど足回りが影になります。
車体に対する光の当たり方に関してはもちろんアプリではシミュレートできませんが、たくさんの写真を見て、綺麗だと思った写真がどのような光線で撮られているのかを分析し、仮説を立てて現地で写真を撮ってみるということを繰り返していくことで自分の頭の中で予想できるようになっていきます。

サン・サーベイヤーは全ての機能が使用できる買い切りの有料版と無料版のLITEがありますが、無料版のLITEでは場所を検索してその地点の太陽の角度を見る、肝心の機能が使えません

ひとまずLITE版を入れて使い勝手を見ていただいた上で、有料版をインストールするのがおすすめですよ。

デジタル時刻表 JR時刻表 Lite

交通新聞社が制作しているJR時刻表のアプリ版です。

いわゆる乗換検索系アプリのひとつなのですが、「デジタル時刻表 JR時刻表 Lite」には他のアプリには無い機能があります。
それが列車番号検索機能です。
この機能があるからこそ私はこちらのアプリを愛用していると言っても過言ではありません。

列車番号とは、鉄道のダイヤにおいて列車の1本1本それぞれに与えられている数字と記号のことで、本の時刻表を開いた時に、上の行に記載されている321Mというような番号表記がそれにあたります。

「デジタル時刻表 JR時刻表 Lite」の列車番号検索は、この番号を検索して該当列車の始発から終点までの時刻表を見ることができるという機能です。

私が普段、特定の車両を撮影したい場合はTwitterで編成番号を検索して目撃情報を集め、その車両がどういう動きをしているのかを推察しています。
この目撃情報の書かれ方というのはその鉄道会社の言わば界隈によって異なるのですが、特に私鉄系の場合は列車番号が使用されているケースが多く見られます。
私が過去にツイートした車両の目撃情報の一例がこちら↓

こちらは近鉄京都線での目撃情報です。
コロン記号を境に左側が列車番号、右側が編成番号を表しています。
(列車番号の前の漢字は自分が分かりやすいように行先と種別を省略して記載しているもので、本来の列車番号には表記されません)

時折「何某駅を何時何分に何某が出た」というような具合で情報量多めの分かりやすい表記をしていらっしゃる方を目にする場合もあるのですが、やはり母数が多くて拾いやすい情報となると列車番号のみの表記であることが多いです。

しかしながらこの列車番号、ある程度の規則性は存在するものの、パッと見で何時の列車なのかを推測することは多くの場合においてかなり困難です。
先のツイートのように列車番号とそれに充当されていた編成を記録するというようなことを習慣的に続けていれば勝手に覚えている場合もありますが、写真撮影などでよほど足繁く通っている路線でなければ覚えられるようなものではありません。
また、そもそも列車番号が載っている時刻表自体がネット上では珍しいですし、鉄道会社の公式サイトで使用できる時刻表には列車番号が載っていないことも多く、情報源に辿り着くのが難しい場合もあります。

そこで役に立つのが「デジタル時刻表 JR時刻表 Lite」の列車番号検索です。
列車番号検索機能は、2022年4月現在の現行バージョンだと下部メニューの中に開くボタンがあります。
数字とアルファベット大文字の入力に対応しているので、私鉄によくある4ケタ数字の列車番号はもちろん、JRのxxxxMやxxxxxF、京阪のようなBxxxxAなど特殊な表記の番号も検索することができます。
検索すると路線時刻表の中から該当の列車を引き当てることができ、またその列車の行をタップすると、該当列車の始発から終点までの停車駅とその時刻を見ることができます。
この1列車あたりの個別時刻表では着駅と発駅の両方が記載されているので、停車時間の長さから待避の有無や到着番線も推察できる場合があります。
率直に言ってものすごく便利です。

「デジタル時刻表 JR時刻表 Lite」は月額課金制のアプリです。
AppStore内の説明によれば、2022年4月現在公開されている現行バージョンでは初回起動から14日間はすべての機能が無料で使用可能で、無料期間終了後は無課金の状態では「路線図」「乗換案内」「運行情報」以外の機能が使用できなくなるようです。
このため今回紹介した列車番号検索は無料期間終了後、課金が必要です。
現行バージョンでは自動継続チケットと7日間チケットの2種類が販売されているので、利用頻度に応じて丁度いい期間のチケットを買って使用するのがちょうどいいのではないかと思います。
ちなみに私は撮影に行くタイミングで7日間チケットを購入することが多いです。

ひまわりリアルタイム & Windy.com

私が一番よく見ている天気予報は気象庁の公式サイトです。

天気予報による「晴れ」と、写真を撮影する人間が思う「晴れ」には価値観の相違があるようだ、と思わず考えてしまうような場面があるのではないでしょうか。
少なくとも私にはあります。
それもそのはず、私が想像する、言葉を変えると私が欲しい「晴れ」というのは雲一つない青空だったりするのですが、天気予報による晴れの定義は、いずれも降水を伴わないことを前提に、快晴であれば雲の量が1割以下、晴れであれば雲の量が8割以下というように、雲の有無やその量によって判断されているようです。

予報はあくまで予報ですし、また定義の相違によるミスマッチは致し方ないので、自分が撮影に行こうとしている翌日の天気は実際のところどんなものだろうと思ったときに、天気予報を軸にしつつも予報を補完するため、ふたつのアプリを組み合わせて使用しています。

まずひとつめが「ひまわりリアルタイム」です。

気象衛星「ひまわり」が撮影した衛星写真を見ることができるアプリで、宇宙から見た現在の雲の様子を見ることができます。

ふたつめが「Windy.com」です。

チェコの企業が運営している天気予報サービスです。

結論から言いまして、このふたつのアプリを使用して私が翌日の撮影に向けて何をしているかというと、まず「ひまわりリアルタイム」を使用して、その時の日本上空でどういう風に雲がかかっているかを見てから、「Windy.com」を使用して風向きを確認し、日本上空の雲がどういう動きをするのかを予想しています。

今までの経験上「予報では晴れになっているけれど、実際のところ青空が見えて太陽光が車体にべたっと当たる光線下で撮影ができるのか、それとも晴れと言いつつ実際には雲がかかって太陽には期待できないような天候になるのか」ということをこのふたつのアプリを使って予想したとき、割と的中率が高いです。
(重ねて申し上げますが、私の体感です)

私は天気に関してはズブの素人なので、これに関してはもっと効率の良い方法や、オールインワンで予想できる何か別のアプリがある可能性が十分あるのですが、自分が今知る限りでは今のところこの方法が一番早く予想を立てることができるので、ずっとこのふたつのアプリを使用しています。

「ひまわりリアルタイム」と「Windy.com」は無料でインストールできます。
「Windy.com」は課金するとより多くの機能がアンロックされますが、私の使い方では課金で解放される機能は使用しておりません。

以上、私が普段の撮影で活用しているiOSアプリの紹介でした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。

普段は私が過去に撮影した写真を振り返りながら当時と今の変化を見つけて楽しむというコンセプトのマガジン「10年前の鉄道写真」を制作しています。

皆様のフォローと記事のシェアを心よりお待ちしております。

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