文型が最強に便利すぎるのにみんなわかっていないという話

世間にはびこる文法悪玉論の中で、文型軽視の風潮も強いです。あれだけ文型文型言っていたのに、最近の学校ではあまりやらないらしい。無理もない話です。学校の英語の先生も大半は、そもそも文型が役に立った記憶がないんでしょう。役に立った記憶が無いのだから、積極的に教えようとしないのも無理からぬ話です。僕も昔はそうでした。どの文が第何文型だとかそんなに大事か?と思って、授業にもあんまり時間をかけていませんでした。

でも今は違います。文型の見方を少し変えるとその瞬間、「これは、めちゃくちゃ便利なツールじゃないか!」と思うようになったのです。最近は文型とその関連事項で文法の3割ぐらい使っています。

なぜなら、文型こそが「英語のできない日本人」の突破口になると思うからです。原因ではありません。突破口です。
英語が苦手な人は文型を学ぶだけで一気に三段ぐらいレベルアップできます。

僕が昔思っていた、「どの文が第何文型だとかそんなに大事か?」という疑問。これは今でも変わりません。むしろどうでもいいんじゃないかとわりとはっきり思っているぐらい。
そうじゃない。そうじゃないんですよ文型の真価は。


例えば「あいつは相変わらず顔色悪いな」とか、「仕事が忙しくて疲れたよ」みたいなことを言いたいとき、どう言いますか?
「相変わらず、はどう言うんだ」とか、「仕事が忙しくて、は理由だから…」とか、中高で普通に英語を学んできた日本人は考えると思います。でも、文型とその使い方をマスターすれば、そんなこと考える必要がない

He remains pale.
Busy work made me tired.

みたいな文を一瞬で作ることができます。
これが文型の真価です。
「相変わらず、は…」とか考えるのと比較にならないほど早く文が作れます。

文が作れれば読めるようになります。というか、本当に英文を読めるようにしたければ、文を作る練習は不可欠。理由はまた今度書きます。あと当然ながら単語の勉強は別途で必要です。


さて、なぜ文型を理解するとこのようにパッと英文を作ることができるのか。それは、英語が基本的に「語順」ですべてを決める言語だからです。

日本語は違います。基本的に「は」「が」「を」「に」といった助詞で決まります。順番はかなり自由ですよね。なんなら口語だと、しばしば助詞をかなり省略してしまうので、単語を適当に並べるだけで文が成立します。日本に住み始めた外国人がたちまち日本語でのコミュニケーションができるようになるのは、日本語のこのような性質も大きな理由でしょう。ただ、助詞そのものは結構ややこしいので、コミュニケーションができるようになってから、正確な書き言葉が使えるようになるのはなかなか大変です。漢字もあるし。

英語は語順ですべてを決める言語なので、単語を適当に並べるだけでは文が成立しません。重要なのは語順です。一定の法則で単語を並べていくことで、正確な文が成立します。多少の省略はありますが口語でもこの性質は同じです。話し言葉と書き言葉の距離が、日本語よりずっと近いと言えます。

この「語順」の根本こそが文型です。要するに、文型というのは「どんな単語をどんな順番で並べればよいか」ということです。

ではその文型を決めるのは何か。これが「動詞」です。
文型は動詞で決まります
つまり、動詞が英語の語順を決める

動詞にはそれぞれ固有の用法があります。例えばgoという動詞は、「go to 場所」という用法で使える。これを覚えていれば、「東京に行った」という内容を「I go to Tokyo.」と一瞬で文にできます。goで語順が決まるので、あとは各要素をそこに放り込んでやればいいわけです。とても簡単。

なので理論上はすべての動詞の用法を覚えると、単文(接続詞やら関係詞やらを使わない文)ならなんでも書けるようになる。ただ、これはあまりにも非現実的なので、似たような語順同士のグループで大まかに分けておく。大雑把に言えば、これが文型です。

例えばbeという動詞(amとかareとか活用が謎ですが同じ動詞です)はSVCの用法で使えます。これを「SVCをとる」などと表現します。beは「SVCをとる動詞」ということですね。

文型は5種類あるので、そういう意味では「〇〇をとる動詞」は5種類あるということになります。

SVをとる動詞
SVCをとる動詞
SVOをとる動詞
SVOOをとる動詞
SVOCをとる動詞

すべての動詞はこのどれかです。どの動詞がどのグループに入るか知っていると、とりあえず大まかに使い方がわかる≒何をどの順番で放り込めばいいかわかる≒とりあえず文が作れる、ということになります。

例えばremainはbeと同じく「SVCをとる動詞」で「〜のまま」ぐらいの意味です。Sは主語、Vは動詞、Cは補語というやつでだいたい形容詞です。これが頭に入っていると、「あいつは相変わらず顔色悪いな」みたいなことを言いたいとき、remainさえ決めれば、あとはSとCの各要素に何を入れるか考えるだけで、
He remains pale.という文ができます。

またmakeは「SVOCをとる動詞」で、「OをCにする」ぐらいの意味です。「仕事が忙しくて疲れたよ」というときは、これもmakeだけ決めればあとはSとOとCの各要素に何を入れるか考えるだけです。それだけで
Busy work made me tired.という文ができる。
動詞さえ決めれば、半自動です。

日本語のどの要素をどう訳すのか、などという発想は不要です。「忙しくて〜は理由だから」などと考える必要なんて最初からないんです。考えるべきことは、何の動詞を使うかと、各要素に何を入れるか、基本的にはたったこれだけ。動詞の用法(≒文型)さえちゃんと理解しておけば、このようにあっけないほど簡単に英文が繰り出せます。

これが文型の真の力です。どの文がどの文型か、というのは僕に言わせればどうでもいい話です。ちゃんと文型を理解していろんな文が作り出せるようになれば、どの文がどの文型か、なんて考えるまでもなく分かるようになります。簡単に作れる文は簡単に読めます。


文型の真の力を理解してから、僕自身の英語も大きく変わりました。以前よりずっと様々な状況を簡単に表せるようになったし、これがS、これがV、これがOなどと考えなくても、自然と文の構造が見えるようになりました。そして何より、英語を話すということが苦でなくなった。難しく考えなくても、パッと英語が出て来ます。僕は帰国子女でもないし留学経験も無いですが、特に問題なくネイティブとペラペラ会話できます。

日本語と英語は根本的に違う言語です。日本語と同じような発想ではうまく扱うことができません。ものすごく難しくなってしまう。でも、発想の根本を少し変えて学ぶことで、英語はずっと簡単になります。

じゃあ何を学べばよいのか。次回以降少しずつ書いていきます。



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