英語ができないのは日本語訳のせいだという話

日本人英語ができない問題は文法のせいではない、という記事を書きました。じゃあ何のせいなのか。なぜ我々はこんなに英語で苦しんでいるのか。多分「日本語訳」のせいです。

日本の学校は昔から日本語訳が大好きです。英語の授業といえば一人ずつ英文を日本語訳させるのが定番。英語の授業でやる「日本語訳」はだいたいこんな感じです。

We are already very familiar with the harms that smoking causes to the body later in our life.

We are→私たちは
already →すでに
smoking→タバコが
in our life→私たちの人生で
later→後で
causes→もたらす
the harms→害に
very→とても
familiar with→精通している

これ、考えてみればなかなかアクロバティックなことをしていると思いませんか?文の途中から突然始まって前に飛んで後ろに飛んで前に後ろに飛んで飛んで…
英語は左から右へ読んで、アラビア語は右から左へ読んで、とかそういう次元じゃない。ヘプタポッドの非線形言語を解読するレベルです。そりゃ難しいはずです。

時間もかかります。「英語を読むスピードがなかなか上がらなくて共通テストが最後まで解けないんです」って、共通テスト6000語分のヘプタポッド言語を解読しようと思ったら一体何時間かかることか。

英語を話すときはこの逆をやることになるわけですが、これはもっとすごい。今度は日本語文を前に飛んだり後ろに飛んだりしながら英文を作るわけですが、これをすべて頭の中でやる。ヘプタポッドもびっくりです。


そもそもそんな苦労の果に「日本語訳」したところで、理解できるのは中学校程度の易しめの文章だけです。大学入試レベルの文章ともなれば、「日本語訳」で手に入れられるのはせいぜいこんな感じ。

I am happy to join with you today in what will go down in history as the greatest demonstration for freedom in the history of our nation.
  -Martin Luther King Jr., 1963

私は私たちの国家の歴史の中で最大の顕示として歴史の中を流れるであろうものの中で今日あなたに加わることで幸せです

何が言いたいんだか、よくわかりません。ただの単語の羅列のできあがりです。


「日本語訳」学習法は教えやすいこともあって、なんだかんだ学校でも塾や予備校でも広く使われています。というより、戦後日本で中学英語教育が普及して以来現在に至るまでの70年超、あまりにも長い間浸透していたために、まるでそれが唯一の学習法であるかのようになってしまった。そして読解と日本語訳は本来違うものであるのに、同一視されるようになってしまった。そしてそれ以外の英語教育を受けなかった我々は、ほとんどこの「日本語訳」に頼らなければ何もできなくなってしまった。

その結果が、読むのが遅い、聞いたり話したりできない、ついでに複雑な文が理解できない、典型的な「英語のできない日本人」のできあがりというわけです。

そんな我々日本人は、英語ができるのは帰国子女とか、インターナショナルスクール通いとか、留学経験者とか、そういう海外経験豊富な人だけだと思いがちです。
たしかに海外経験が豊富な方が有利ですが、英語ができるようになるのに必要なわけではありません。

ちゃんと勉強すれば海外経験ゼロでも英語が使えるようになります。

そのためには、「日本語訳」をやめましょう。すべてはそこから始まります。

じゃあ代わりにどうすればいいのかは次回!

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