英語ができないのは文法のせいじゃないという話

日本人は英語を小学校から勉強しているわりに、あんまり英語できない、とよく言われますがなぜでしょう。いろいろと理由はあるんでしょうが、まずなぜか蔓延しているひとつの誤解を解消しておきたいと思います。日本人が英語ができないのは文法のせいじゃない。

なんでこんなに文法悪玉論が広まっているのかよくわかりません。文法を気にしていると話せないだの読めないだの。じゃあ君は文法を気にせずにいれば話せるのかとか読めるのかとか、意地悪なことを聞きたくなる。実際のところ英語をある程度使える人は、海外経験が長いとかインターナショナルスクールに通っていたというのでない限り、だいたい普通に文法やっていたと思います。僕も結構バリバリに文法やってます。仕事だし。でも英語はそれなりに使えます。

実際英語ができる人に「英語を使うときあなたは文法を気にしていますか?」と聞いて、「はい」か「いいえ」で返ってくるとは思えないんですよね。「日本語を使うときにあなたは文法を気にしていますか?」と聞かれても、「さあ、気にしているような気にしていないような…」ぐらいしか答えようがない。

そもそもこれ、質問が間違っていると思うんですよ。文法というのは「気にする」ものじゃない。文法というのは「使う」ものです。いろいろなことを言いたいときに使う「ツール」であって、いちいち気にするべき「ルール」では無いわけです。(もちろん、時制とか複数形のような多少「ルール」としての性質もありますが)

英語には「語順」という要素があります。日本語であれば、わりとどんな順番でも意味を成す文が作れますが、英語はそうはいきません。

私は傘を駅においてきた
=私は駅に傘をおいてきた
=傘を駅に私はおいてきた

I left my umbrella at the station.

この語順を決めるのが英文法最大の役割です。だから英文法が頭の中に入っていれば、深く考えることなく文が作れます。英文法があやふやな人はこの語順をいちいち考えなければいけない。でも知らないものを考えても答は出ないので、結局適当な語順でわかったようなわからないような英文(らしき何か)を発し、「文法を気にしていたら話せない」と仰る。

幼少期に海外で暮らしていたりすると、自然とこういった語順が感覚的に身についていきます。が、そうではない大半の日本人がこういった語順を感覚的に身につけるのは極めて困難です。

その代わりに文法を学んで繰り返して練習しておけば、いつでもパッと取り出せる知識として語順を身につけられます。感覚そのものにはなかなかかないませんが、知識だって何度も使っているうちに感覚に近づいていきます。そういったいわば「感覚的知識」を身につければ、準ネイティブぐらいのスピードで様々な文(それも文法的にそれなりに正確な文)を繰り出すことができるようになるわけです。

最初はSVCなんかの単純な文からで構いません。とにかくパッと出せるように練習。関係詞やら接続詞やらの複雑なことは後回しです。単純な文がパッと出せるようになったら、少しずつ複雑な文に移行していけばいい。気がつけば様々な文をスムーズに扱えるようになり、「文法を気にしますか?」という質問は意味不明になっているでしょう。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?