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苦悩とは何か

 今回は「悩み」に関する記事です(ちょっと表現が分かりにくいのでいつか分かりやすく修正できればと思います)。

 厳しいようですが、悩みを本当の意味で解決できるのは自分自身だけです。

 記事を読んで頂ければ、その理由もわかって頂けると思います。そしてこの記事の知識を知恵として応用することによって悩みと向き合うこともできるのではないかと思います。

①苦悩とは何か

 先に結論を書きます。

 苦悩とは、「自分の価値観で現実を捉えた時に発生する、自分にとって不利な思考」です。ピンときた方はおそらくこの先を読む必要はないと思います。ただ少し説明が必要だと思うので、次の章からはこの定義を少し噛み砕きながら説明していきたいと思います。

②「自分の価値観」とは?

 さて私たちは皆同じ価値観を持って生きているでしょうか?哲学的にこの話題を掘り進めると文章が終わらなくなるので割愛しますが、私たちは物理的な面ではある程度共有できる感覚を持っています。例えば2人の人物の目の前に2つのコップとお茶を置いて、「どうぞお互いに注いでお飲みください」と言えば、お互いが互いのコップにお茶を注ぎ合うことができます。しかし、そのお茶の味を問いかけた場合、2人は違う感想を述べるかもしれません。一方が「苦くて嫌」と言い、もう一方が「スッキリして美味しい」と答えることもあるでしょう。その場合、2人は違う価値観を持っていると言えます。現実の世界には一定の組成を持ったお茶が置いてあるわけですが、その組成を「苦くて嫌」と捉える価値観と、「スッキリして美味しい」と捉える価値観です。

 このように、客観的に観測可能な物理的側面以外では、多くの側面において人はそれぞれ違う価値観を持って生きています。自分の主観に基づく世界の捉え方=「自分の価値観」です。文章にすると当たり前に感じるかもしれませんが、普段の生活の中では忘れがちです。そして人は深く何かに悩む時、大抵このことを忘れています。

③「自分の価値観」はいつ、どのようにして創造されるか

 私達は生まれた時にすでに個々の性格傾向を持っています。そして成長する過程で、身の回りの環境、両親や他人との関わり、経験や教育など自分を含めたありとあらゆるものから影響を受けながら、生きている年月が少ないほど柔軟に自分の置かれた世界を受け入れ、適応していきます。適応とは、自分の身を守る術を得ることです。それは免疫や内臓機能といった体の機能だけではなく、思考や認識といった精神的な面でも同様です。(心や体を歪める強力な影響を受けなければ、)基本的には自分の心と体を守るのに有利な方向に適応していき、概ね十代くらいに、未熟ではあるけれどもある程度形を持った価値観(物事の捉え方)を身につけます。二十代、三十代と年齢を重ねるにつれて徐々にその価値観は変容する柔軟性を失うことが多いですが、人によっては年齢を重ねても柔軟にその価値観を変容させ現実に適応していきます。

 現実に適応するというのはつまり、ありのままの世界を受け入れてなお心の安全が保たれる状態に近づくということです。とは言え、ほとんどの人は価値観の変容が歳とともに鈍くなっていき、その人独自の価値観を持って生きていくことになります。そのため、この世界にはまさに十人十色の価値観が人間の数だけ存在しています。歳をとっても常に自分の価値観を変容させて現実世界に適応し続けることができれば、人は苦悩しません。しかし残念ながら多くの人の価値観は途中で変容することをやめてしまいます。

 つまり、大人にとって「自分の価値観」とは、「かつて自分の心を守るのに有利だった捉え方」と言えます。

④RE:苦悩とは

 さて、最初の結論に立ち返りましょう。苦悩とは「自分の価値観で現実を捉えた時に発生する、自分にとって不利な思考」です。

 そして「自分の価値観」とは、「かつて自分の心を守るのに有利だった捉え方」でした。

 つまり苦悩とは、「かつて自分の心を守るのに有利だった捉え方で現実を捉えた時に発生する、自分にとって不利な思考」と言いかえることができます。

 例えば、幼少期や多感な時期をずるい大人に囲まれて生きてきた場合、自分の心を守るには「人を信用するのは馬鹿げているという捉え方(価値観)」や「騙されるのは自分が悪いという捉え方(価値観)」が必要だったかもしれません。しかしその子が大人になった時、これらの価値観が他者とのコミュニケーションに支障を及ぼすかもしれません。自分のことを心から愛してくれる人に対して疑念を持ち、うまく打ち解けられずに悩むようなこともあるのです。

 反対に優しい大人に囲まれて育った場合でも、思春期に周囲からの優しさがいつも保証されているわけではないことを知り、「人の目を意識すること」や「人によく思わること」に重きを置く捉え方(価値観)を身につける場合もあるかもしれません。その子は大人になってから、他の人の目を気にするあまり自分を抑制してしまい、コミュニティの中で辛い思いに苦しむかもしれません。

 苦悩は常に自分の中で生まれます。しかしそのことには気づきにくいです。なぜなら「自分の価値観」は自分自身にとってはどこまでいっても「当たり前のこと」だからです。

 現実の世界とその中で生きている個体としての自分という構造を客観的に見ることができれば、現在の苦悩を生み出している原因を自分の価値観の中に見つけ出すことができます。しかし人の脳が年齢とともにその想像力や思考力の柔軟性を失っていきがちである以上、多くの人は過去に自分を守ってくれた価値観を通して現実を捉え、時に苦悩します。

 苦悩とは、過去に自分がいた世界と現在自分がいる世界がすでに違ったものとなっていることを示すサインです。過去に自分の心を守ってくれた価値観にこだわって苦悩するのか、現在自分を取り巻く世界を見つめ直して価値観を再構築するという試練に身を置くのかは、あなた次第です。 

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