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読書感想文

本のタイトル:自分の価値を最大にする ハーバードの心理学講義

第一章 あなたを閉じ込めている檻

ポイント

・人それぞれに持っている世界観(文中では相互に作用するいくつもの「評価基準」の総体としての価値観と表現されている)がその人自身の人生に大きく影響する。

・人は自分の世界観に従って出来事や経験や他者や自分自身の位置づけ、意義を認識する。

・評価基準には序列があり、持っている評価基準からその序列まで一人一人異なっている。

・世界観が貧弱(=「評価基準」が少ない、或いは極端に少数の「評価基準」に執着する)だと人生がつまらないものになる。

次章へのつなぎ:評価基準を豊かにする方法を第二章以降で紹介する。

第二章 「自分の性格」を理解する

ポイント

パーソナリティは「タイプ」でなく「尺度」で理解する。

・心理学分野で信頼性が高く好んで使われる指標=ビッグファイブ

自分の結果 誠実4.5/7、協調4.5/7、情緒安定6.5/7、開放5/7、外向3.5/7

次章へのつなぎ:性格は変えられる。

第三章 別人を演じる

・パーソナリティは遺伝的、社会的、個人的な動機によって、時に複数の表現型で現れる。しかしそれは「偽の自分」ではなく、どれも動機を持った自然なふるまいといえる。むしろ、どのような人格特性を表に出すかを選択できるのは、成熟した大人であることを意味する。

・この「変化できる」性格のことを「自由特性」と呼ぶ。

・ただし、生まれ持った性格とギャップのある性格を求められることが慢性化すると、精神面で支障をきたすリスクは高まるから、生まれ持った性格にそった行動をとれる、回復できる場所を持つことも大切。

次章では次のキーワード「セルフコントロール」について書かれている。

第四章 「たまねぎ」か「アボカド」か

ポイント

・行動は性格にも状況にも影響を受けるが、その程度は人によって異なる。自分自身を客観的にみて、状況に合わせた立ち居振る舞いをすることをセルフコントロールと呼び、セルフコントロールが高い人ほど生き方やコミュニケーションにおいて柔軟さや迅速さを見せる。

・自分のセルフコントロール度=12/18

・一方で、セルフコントロールが低い人から見ると、その言動は八方美人に映ったり、「自分を偽っている人」というレッテルを貼られる可能性がある。

・つまりこの章のタイトルは、自身の中の「核」となるような像に従って生きている(アボカドのように中心に種のある)タイプ=低セルフコントロール、自分自身を状況の中の一部として認識して振舞う(たまねぎのように中心がないように見える)タイプ=高セルフコントロールを意味している。

・セルフコントロールの高低は本来持っている性格というよりも、その人がどのような「原則」に従っているかに依存している。或いはその人がどの程度「客観視」や「振る舞いの選択」に長けているかも影響するかもしれない。つまり、「他人への配慮」や「自分以外に対する受容」といった原則に従えばセルフコントロール高めの志向性を持つし、「本来の自分」「周囲に流されないこと」といった原則に従えばセルフコントロール低めの志向性をもつことになる。

・いずれにしても高いほど良い、低いほど良いということはなく、大切なのは自分自身のセルフコントロール度合を知り、自分自身の志向に合った適切な環境が分かるということ。

次章では次の視点「自己解決型」と「他者依存型」という運命感について書かれている。

第五章 主体的に人生を生きる

ポイント

・「運命」は自身の選択と外部の力、どちらが握っているか?

・自己解決型(自分の運命は自分が握っていると考える)と他者依存型(運命は外的な要因によって決まっていると考える)、どちらに近いかという視点がある。

・自分の結果=51点 *49点~59点はグレーゾーン。48点以下なら他者依存型傾向、60点以上なら自己解決型傾向。

・自己解決型の傾向が強い人ほど、出来事や状況に対して自分自身で道を切り開いたり解決したりすることができる可能性が高いと考えている。このことは人生において希望を強く持てる根拠にもなるため、幸福度を増す可能性につながっている。

・一方で、できると思っていたことが幻想であったことを思い知った時には激しく打ちのめされる。つまり、幸福度を一気に失うリスクにもなっている。

・この可能性とリスクの天秤が存在することを理解し、バランスをとることが大切。

次章は話題が少し転換し、ハーディネス(心のタフさ)について書かれている。

第六章 性格は寿命も左右する

ポイント

・健康に対して影響力を持っているのはハーディネス。これはコミットメント、コントロール、チャレンジという3つのC(←みんなこういうの好き)で表される。

・(私自身の感想として)コミットメントはパーソナリティと、コントロールは運命感と、チャレンジは認知(≒世界観)と関連しているように見える。

・ハーディネスが高い=3つのCの要素をうまく使えている(高ければよいというものではない)

・そのほか健康と幸福に影響する、Sence of Coherence、環境も紹介。

第七章 クリエイティビティは「才能」ではない

ポイント

・クリエイティブ度(?) 自分の結果 +11点(-12点~+18点 10点以上でクリエイティブな人との類似性ありとのこと)。

・クリエイティビティとIQ(知能指数)には相関関係が見られなかった。

・クリエイティブ(と各研究で定義された人々)の特徴として、子供時代の過ごし方、物事の見方(意義や意味に関心を持つ傾向)、一部のパーソナリティ(内向性が強い傾向)、混沌をそのまま受け入れる傾向、複雑・非対称・緊張的なものを好む傾向があげられる。

・似て非なるものとして、ナルシシスト、奇行、精神障害があげられる。

・クリエイティビティを発揮して成功するにはサポーターの存在が欠かせない。

・(感想として)この章はやや寄り道的な位置づけにある印象だが、クリエイティビティと幸福との関係について文末で触れられており、どちらかといえばクリエイティブな人は単独では過敏性ゆえに幸福を損ないやすく、良きサポーターの存在によって自身と周囲に幸福をもたらす可能性を持っているとのこと。

第八章 住んでいる場所が「生活の質」を決める

・生活の質に影響する因子はパーソナリティと環境の関係性。

・こと環境適正の側面からパーソナリティを測る指標として、ビッグファイブよりも適切な指標として「ERI」を紹介している。これは自分に合った住環境を見つけるための指標であり、パーソナリティと環境のかみ合わせをみるための指標ともいえる。

第九章 「パーソナル・プロジェクト」を追求する

ポイント

・パーソナル・プロジェクト≒やることリスト(短期的~長期的、重要性の高いもの~低いもの、一人で行うもの~複数人で協力するものなどすべて)

・人は1日に平均15くらいのパーソナル・プロジェクトに取り組んでいる。

・パーソナル・プロジェクトはいくつかの条件を満たす限り、幸福になるための鍵となる(と著者は考える)。その条件とは、「意味(意義)」、「成功可能性(文中では「有効性」と書かれている)」、「コントロールできる可能性」。

・「意味(自分自身にとっての意義深さ)」と「成功可能性」がともに高い場合に幸福につながる。ただし、コントロールが困難となり幻想が打ち砕かれると心身ともに大きなダメージを受ける。これを回避するのには経験者の助言が役に立つし、状況を細かく把握することによってコントロール可能な範囲をあらかじめ想定し、コントロール不能となることを予防することも(ある程度)できる。

・著者は人格や世界観といった特性を変えることが「持っているもの」であるのに対してパーソナル・プロジェクトは「行うこと」であるため変化させることができる点が重要であると述べ、もしパーソナル・プロジェクトが幸福につながりにくい状況になった時には内容を見直すこともできるし、単に時間がたって色あせただけであれば現状を再度把握しなおす(リフレーミングする)ことで再活性化を図ることもできるとのこと。

第十章 自分を変える挑戦

ポイント

・幸福につながる「パーソナル・プロジェクト」の内、最も中核に位置してその人の人生や他のプロジェクトと密接に結びついているものを「コア・プロジェクト」と呼ぶ。

・全体のまとめとして、第九章までの内容を振り返りながらコア・プロジェクトを成功させるための具体的な方法をいくつか紹介している。

・パーソナリティとその幅(自由特性)、評価基準(とその総体としての世界観)、セルフコントロールの高低や運命感といった切り口でみた「自分自身」を知ることが重要。

まとめ

この本を手に取ったのは、「「人間」についてより適切な理解を深める」という(この本の言葉でいえば)私自身のコア・プロジェクトに何らかのヒントを与えてくれるかも、と(直感的に)考えたからです。

結論としては、これまで自分が描いていたイメージを補強してくれました→本著のエッセンスを書き出すとこんな感じ。出てくるキーワードを拾ってイメージ化したものです。

特性まとめ

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本著から私が汲み取ったメッセージのまとめ

 まずは自分自身、つまり自分の世界観及びそれと密接に結びついているパーソナリティやセルフコントロール度、そしてクリエイティブさを含めた能力をよく知ること。

 そして自身の世界観に照らして高い意義が感じられ、能力に照らして成功可能性の高いコア・プロジェクトを持ち、それに打ち込むことが幸福の源泉になる。

 失敗するリスクを減らすために経験者の言葉に耳を傾けつつ、行動のコントロールを自分が握る覚悟を持つことが大事。

 最後に残念な点としては、いくつもの学術論文を引用しているのにそれらの文献のリストが付いていないことです。(もしかしたら原著にはついているのかもしれませんが・・・)自分自身が過去に読んだことのある文献(と思われる)記述に関してはどの程度の信頼性があるものか判断できるものの、その他については判断材料がないのでどうしても”参考まで”の情報にしかできません。

 とはいえ、各章の構成は分かりやすく事例も多く紹介されているので読み物として人に勧めやすいなと感じました。

 このnoteでは本文中に出てくる具体例や具体的方法についてはあえて一つも触れていません。もし実践に生かすためのガイドラインが必要だと感じたら、何かのヒントが得られるかもしれません(*'▽')

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