見出し画像

フリーデザイナーの道具選び モニター編2(サブモニター)

iMacなどのようなモニター一体型のPCを使っていないと、PCの買い換えサイクルとモニターの買い換えサイクルは当然だが違ってくる。厳密な色などにこだわらなければ、モニターは優に10年は持つだろう。より大きな、よりきれいなモニターを買い換えると以前に使っていたモニターはサブモニターとして使うことが出来る。今まで私もそうやってお古のモニターをサブモニターとして使ってきたが、今回初めて新規でサブモニターを買うことにした。

買ったのはBenQ PD2700U

現在のメインのモニターは以前「フリーデザイナーの道具選び モニター編」で紹介したBenQ SW2700PT。広色域カラーマネジメント対応モニターである。2560×1440WQHDは作業領域としても十分で、Adobe RGBの広い色域も信頼できるものである。
今回新規にサブモニターとして購入したのが、同じBenQ製のPD2700U。ネットで調べるとデザイナーディスプレイと銘打っているのでこの言葉にややそそられるが、中身はIPSパネルでノングレアというぐらいのもので、色域はsRGBでデザイナーが使うべきモニターかと言えばやや心許ない。しかし最大の魅力は4Kであることだ。

画像1

サブモニターとしての4Kモニター

最近このサイズのモニターでも4Kが増えてきているが、実際、実用性はどうなのだろう。メインのモニターとして、いわゆるAppleのRetinaディスプレイのように使うのであれば、27インチでも5Kは必要だ。4Kをそのままの3840×2160の解像度で表示させては文字が小さくて読めない。Retina解像度である半分の解像度では1920×1080でメインのモニターの作業スペースとしては狭すぎる。かといって5Kの27インチモニターは市場にはほとんど存在せず、あっても高額だ。
そこでサブモニターとして使ってはどうかと考えた。サブモニターだから作業スペースはそんなに必要ない。ブラウザなども無駄に大きく表示されないし、資料として参照する赤字のPDFやOffice系アプリも文字が大きくて見やすい。特にIllustratorやInDesignで作業した後、クライアントに送るためにPDFに書き出すことがルーチン化しているので、PDFの解像度が高いと仕上がりの確認がしやすいのが4Kの最大のメリットだ。

グラフィックデザイナーに4Kは必要か

広色域カラーマネジメント対応モニターでは、まだ4Kや5Kが一般化しているとは言えない。こうしたモニターを必要とする層は高い解像度より、色の正確さを重視するからだろう。デザーナーも同じであるが、高解像度ならではのメリットがある。通常の解像度ではどうしても細い文字や線が実際より太く表示される。そうした線の太りやモアレなどが全体のデザインの印象を大きく変える。いつものモニターで作業していたデザインをMacbook proのRetinaディスプレイで表示してみると、まったく違う印象に見えることがあり、高解像度モニターの導入を考えるようになった。

BenQ PD2700Uの印象

実際導入したPD2700Uの印象は、正直あまり良くなかった。価格が6万円と低価格なこともあり。同じIPSパネルでもSW2700PTとは別物という印象だ、sRGB対応の色域も実用には問題ないかと思っていたが、横に並べると差がはっきりする。光源ムラも結構ある。それでもキャリブレターで色を合わせていくと、どうにか見られるようになってきた。解像度の方はやはり4K。文字や線のなめらかさは素晴らしい。あくまで仕上がりの確認用と資料の参照用のサブモニターとしては合格だろう。
製品にはHDMIケーブルとDPケーブルは同梱されているが、Macに繋ぐのにはUSB-Cへの変換が必要だ。またHDMIだとリフレッシュレートが30Hzになってしまい、動作がカクカクになるのでDP1.4からUSB-Cの変換ケーブルを用意しよう。BenQは最近同シリーズの27インチ4KモニターのPD2720Uという新機種を発売した。スペック的にはThunderbolt 3対応と色域ではP3 95%対応という違いだが値段は倍近くする。上記のような使い方をするのであればオーバースペックかもしれない。

まとめに

モニターは絵描きにとってのキャンバスと作業台だ。作業スペースは広ければ広いほど作業効率をあげられる。デザイナーはクリエイターだと思われがちだが、ものを形にして売る以上、製造業の側面は無視できない。製造業にとって生産性は最重要だ。デザイナーにとって比較的安価に投資できるモニターは生産性を上げる有効な投資だと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?