10年越しの調理実習
2013年11月15日。
私は家で1人でカレーを作った。
当時中学1年生。学校を休むようになってから1ヶ月が経とうとしていた時だった。
その11月15日は、学校のみんなは校外学習で大きな広場に行って、レクをしたりカレーを作っていた。
本当は校外学習を楽しみにしていた自分がいた。が、体調が優れない日が続き、学校を休み続けていた為、校外学習に参加することは、私や学校の先生の視野からはなくなっていた。
「お母さん、私も家でカレーを作りたい」
そう母に伝えると、母は材料を買い揃えてきてくれた。
母に時々アドバイスをもらいながら、最初から最後まで1人でカレーを作った。市販のルーを使ったから、味は美味しい。しかし、玉ねぎや人参にはうまく火が通らず、ちょっと固くて微妙なカレーが出来上がった。
本当はみんなと作りたかったカレー。少しでもみんなと同じことをしたくて家で1人で黙々と作った。
あれからちょうど10年。
2023年11月15日。
高校2年生になった私は、調理実習をしている。
年齢も、肌の色も、普段食べているものも、皆バラバラのクラスみんなで混ぜご飯と青菜の胡麻和えと味噌汁を作っている自分がいる。
「私がやりたかったのは、これだ」
中学時代は不登校の時間が長く、自分が思い描いていた中学校生活は送れなかった。高校生になることも出来なかった。
だけど、あれから少しづつ周りの人に助けられながら自分の足場を固めて、その足場を自分の道にして、今こうして自分がなりたかった高校生をやっている。
現実を言えば、自分が思い描いた高校生活とはかけ離れているが、確実に、高校生をやっている自分がいる。
10年という月日は、数字だけ見たら長く感じる。しかし、過ごしてみると短く感じたりもする。
いろんな回り道をしてきてしまったかもしれないが、10年越しで、色とりどりのクラスメートと調理実習をするこの日を、10年前の自分に教えてあげたい。
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