ふみ

大学院生

ふみ

大学院生

最近の記事

繁華街の厨房にいる、菊婆の話

私が、私自身のために、菊婆のことを忘れないようにするために、いろんな気持ちを忘れないために、ここに書く。 菊婆(キクばあ)は、14時から23時の間いつも店にいる。 学校が終わった後、何にもない時、1人でいたいけど1人でいるのは無理な時、めっちゃいいことがあった時、いろんな時があったけど、14時から16時の間ならいいよっていってくれて、仕込みの手伝いをしながら何にも話さなかったりたくさん話したり、いろんなことをした。 菊婆はたしか65〜70歳くらいのおばあちゃんだけど、い

    • バイト先にいる、器用なあの子から感じた影の部分

      はじめに  私は現在、カフェで朝方にアルバイトをしている大学生。このアルバイトをしていて、今まで経験したアルバイトでは比べ物にならないくらい私の胸を刺す言葉達に出会っている。これを手放して、忘れてしまうのはとてももったいないと思ったので、ここに書いて忘れないようにしたいと思う。 1.器用なあの子  私は大学生になってずいぶん経ってからカフェのアルバイトを始めたので、出会う人たちは大体自分より年下が多い。このバイト先の10代や二十歳なりたての子ってどことなく何か雰囲気が違

      • 20歳、「クリスマス限定のケーキをどうしても食べたい」という友達

         クリスマスが近くなってきたときだった。  突然、高校からの友人達のLINEグループが動き出した。 元々は同じ部活の同期だった人達の集まりで、住んでいるところが近い者同士で3年ほど前からよく会うようになった。メンバーは5人ほどで、定期的に集まって近況報告をしたりする。 LINEグループが動き出したのは、そのうちの1人、ささみ(仮名)がこんなことを言い出したからだ。 「クリスマス限定の美味しいケーキをどうしても食べたい」  私はびっくりした。ささみは、高校時代からとにか

        • 私は何者になるのか?

           先生は、ばっと立ち上がって、少し遠くにあった棚から本を引っこ抜いて、私に見せた。本を開いて、その中にいたある人の名前を指さし、この人が私の先生だと言わんばかりの顔をした。その本は、学生の共同研究室にも置いてあったものだった。  その先生は、私が勉強している分野ではとても有名な先生の教え子だった。 「先生からは、たくさんのことを教えてもらった。」 「自分の研究室の先生には、君の研究はよくわからないとまで言われたから、僕は自らその先生のところへばかり行って、論文の添削まで

        繁華街の厨房にいる、菊婆の話

        • バイト先にいる、器用なあの子から感じた影の部分

        • 20歳、「クリスマス限定のケーキをどうしても食べたい」という友達

        • 私は何者になるのか?