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托卵(たくらん)を阻止🛎️

 カッコーやホトトギスの仲間は、自分で子育てをしない。では。ウグイスなどの巣へ行き、ウグイスの卵をどかす。そして、そこに自分の卵を産みつける。ウグイスは健気にも、その卵を孵し雛をはるかに大きい幼鳥までに育てる。この行いを托卵という。
 昨日の昼頃だ。ウグイスが大きな声で鳴いていた。鳴き方は、谷渡りとう鳴き方だ。ウグイスは秋冬はジュ・ジュと地味な地鳴きをする。また、春夏は、ホー・ホケキョと求愛などのさえずりをする。 
 さらに、ウグイスは一夫多妻(5)制のため、広くまた強く谷渡りという鳴き方もある。「ケキョ・ケキョ・ケキョ...」と何回も連続して鳴く。これは、警戒音とも威嚇と言われる。

 午後の仕事中に、けたたましいウグイスの谷渡りを耳にした。直後、ホトトギスが「ホト トギス」と大きな声で鳴いていた。さながら、ウグイスとホトトギスのバトルに聞こえた。また、同じ大木の上の近距離のバトルのようだ。ウグイスは体長12cmでホトトギスは28cm。体格は約4倍の大きさだ。そのバトルで、ウグイスは一歩も引かなかった。数分続いた挙句、ホトトギスが逃げた。
 そうか、ウグイスの留守を狙ってホトトギスが托卵にやって来た。そこへウグイスの雄が来て、ホトトギスとバトルをしたと気がついた。たぶん、間違いない。また、そうしたバトルがあることを知らなかった。ウグイスの谷渡りは、天敵を呼び寄せない程度のものであり、バトルまでやるとは思っていなかった。
 ボクがバードウォッチングを始めて10年を過ぎた。これまでも、多くの野鳥の習性を見聞きしてきた。もちろん多くのさえずり合戦を聞いてきた。しかし、巣営を渾身の力で守る野鳥の雄の役割を知ったのは、昨日のウグイスが初めてだ。
 かつて、ウグイスの捕獲が禁止される前、ホー・ホケキョを連続で鳴かす会があったと聞いていた。1986年の鳥獣保護法で捕獲は禁止され、そうした大会は無くなった。その大会では、谷渡りで鳴いたら連続はストップとなったそうだ。だから、谷渡りはウグイス愛好家は谷渡りを好まない。
 しかし、やわなバードウォッチーのボクにとっては、いささか嫌悪の念はない。それどころか、キビタキとウグイスの陣取り合戦で、いろいろな鳴き声を聴くのは大好きだ。ただ、昨日のようなストーリーある野鳥の鳴き声合戦は初めてだ。

 昨日から今朝にかけ、撮りためた録音な写真、そして大きさをハンドブックで調べたのは久しぶりぶりだ。まったく野鳥観察に踏み込んでいなければ、大きな声で鳥が鳴いている程度で終わったはずた。また、興味のない方にはまったく気にはしないのがあたりまえだ。それが普通だ。 
 野鳥は繁殖期にニ回繁殖を行う。時期的には二回目だ。その間、雌は抱卵し雄は餌の調達と巣を守るのが大きな役割だ。ホトトギスを一概に悪者にはしたくはない。ただここでは、ウグイスの雄を自然界の勇姿としと讃え、永久に記憶する。

かわせみ💎

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